看護必要度IIの詳細、入院時支援加算における専従・専任看護師の規定など解説―疑義解釈1【2018年度診療報酬改定】(1)



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 厚生労働省は3月30日に、2018年度の診療報酬改定の疑義解釈(その1)を公表しました。今後も五月雨式に疑義解釈が示されていきます。

 2月7日に中央社会保険医療協議会で答申が行われ、3月5日には新点数表や施設基準の告示等が行われるとともに、改定説明会が開かれました。このように改定の姿が明らかになったわけですが、その内容については医療現場からさまざまな「疑問」(疑義)が出されます。疑義解釈では、こうした医療現場の疑問に、厚労省が回答を行うものです(厚労省のサイトはこちら)。

 膨大な量のQ&Aが示されていますので、ここでは【急性期一般入院基本料】【入退院支援加算】に焦点を合わせて、眺めてみます。

急性期一般入院料2と3、診療報酬改定に向けた参加が要件に

7対1・10対1一般病棟入院基本料については、【急性期一般入院基本料】(急性期一般入院料1-7)に再編・統合されます。看護配置等に基づく基本部分と、重症患者割合に基づく実績評価部分を組み合わせた7段階の報酬で、7対1と10対1の中間的評価となる【急性期一般入院料2】(重症患者割合が看護必要度IIで24%以上、1日につき1561点)と【急性期一般入院料3】(同じく23%以上、1日につき1491点)が設定されています。

7対1・10対1一般病棟入院料を重症患者割合を実績評価指標として再編・統合する。中間的評価となる急性期一般入院料2・3は、現行7対1相当の急性期一般入院料1などからしか転換できない
7対1・10対1一般病棟入院料を重症患者割合を実績評価指標として再編・統合する。中間的評価となる急性期一般入院料2・3は、現行7対1相当の急性期一般入院料1などからしか転換できない
改定説明会1の1 180305
 
この【急性期一般入院料2】と【急性期一般入院料3】については、「厚生労働省が入院医療を担う保険医療機関の機能や役割について分析・評価するために行う調査に適切に参加すること」という見慣れない施設基準が設けられています。この調査について、厚労省は次のような点を明らかにしました。
▽調査は、「中央社会保険医療協議会の議論に資する目的で実施される調査」であり、2018年度下半期から2019年度上半期に実施される予定(2020年度の次期改定を見据えた調査であることが分かる)
▽対象となる調査は「2018年度以降に実施されたもの」で、届け出実績は求められない
▽「不測の事態により調査票が未着であった場合」や「調査対象となっていない場合」など、調査への参加が困難な場合は、「やむを得ない事情が存在する」として、調査に参加しなくとも施設基準を満たさないことにはならない

 昨今の診療報酬改定は、「データ」が重視され、例えば、中医協の下部組織である「入院医療等の調査・評価分科会」では詳細な調査を実施しています。上記の施設基準を満たすためであることはもちろん、現場の状況に沿った改定実現のためにも、こうした調査に積極的に参加することが必要でしょう。

看護必要度II、「手術や麻酔中に用いた薬剤」も評価の対象となる

急性期一般入院基本料等の実績を評価する指標として、「一般病床用の重症度、医療・看護必要度(以下、看護必要度)を満たす患者の割合」(以下、重症患者割合)が用いられています。2018年度改定では、この看護必要度について次のような大きな見直しが行われます(関連記事はこちらこちら)。
(1)看護必要度の定義を一部見直し、▼「A項目1点以上かつB項目3点以上」(現在は重症患者に非該当)のうち、「診療・療養上の指示が通じる」「危険行動」のいずれかに該当すれば、「重症患者に該当」と扱う▼C項目の開腹手術(現在は5日間)について、所定日数4日に短縮する―こととする
(2)従前からの看護必要度評価票に基づく重症患者割合の計算方法を「看護必要度I」、、新たにDPCのEF統合ファイルに基づく計算方法を「看護必要度II」とし、それぞれで重症患者割合の基準値を設定する(例えば、7対1相当の【急性期一般入院料I】では看護必要度Iで30%以上、看護必要度IIで25%以上)
(3)看護必要度I・看護必要度IIのいずれを用いた場合でも、重症患者割合は「3か月の平均」とし、これまでに「1割以内・3か月以内変動の救済ルール」は廃止する

まず(1)の「C項目の回復手術の所定日数短縮(5日→4日)」については、「4月1日以降に開腹手術を受けた患者から4日とする」と明確に示されました。したがって、例えば3月30日に開腹手術を受けた患者であれば、4月1日以降も「5日間」、C項目1点をカウントできます。

さらに「点滴同時3本以上の管理」等の点滴使用の場合の項目における「持続的に点滴する場合」は「24時間より短い時間で行う持続点滴」も対象となることが明示されています。

 
また、(2)の看護必要度IIについては、新たな仕組みゆえ、次のような多くの解説がなされています。
▽看護必要度ⅡでA項目の評価を行う場合、「手術や麻酔中に用いた薬剤」も評価の対象となる
▽看護必要度ⅡでA項目の評価を行う場合、「点滴ライン同時3本以上の管理」と「輸血や血液製剤の管理」で共通するレセコードが入力されている場合、それぞれの項目で評価の対象としてよい
▽看護必要度ⅡでA項目の評価を行う場合、内服薬のレセコードが入力されていない日には、当該コードに該当する内服を指示している場合でも評価の対象とならない
▽看護必要度ⅡでA項目の評価を行う 場合、内服薬についてレセコードとして該当薬剤が入力されておらず、当該薬剤を事前に処方しており内服の指示を行った日は、評価の対象とならない
▽看護必要度ⅡでC項目の評価を行う場合、手術等のレセコードが入力されていない日でも、当該コード該当手術の実施から所定日数の間は、C項目に該当する
▽2018年4月から看護必要度Ⅱを用いる場合、「2018年1-3月の入院患者」が過去実績の評価対象となるが、その場合、厚労省マスタ(●●●)を用いて、改定後の重症患者割合(【急性期一般入院料I】では看護必要度Iで30%以上、看護必要度IIで25%以上)を用いて評価する
▽2018年4月から看護必要度Ⅱを用いる場合、「4月16日まで」に届け出ればよい
▽看護必要度Ⅱから看護必要度Ⅰに切り替える場合、届け出前3か月において看護必要度Iの基準を満たしていればよい
▽例えば、【急性期一般入院料1】と【地域包括ケア病棟入院料1】を届け出る場合などには、看護必要度Ⅰと看護必要度Ⅱを別々に用いてもよい(揃えなくてよい)

 DPC病院の中には、「収益に関係ない」としてEF統合ファイルへの出来高情報記載がおろそかになるケースもあるようです。今回の疑義解釈からは「EF統合ファイルを、しっかりと記載してほしい」との厚労省メッセージも伺えます。
改定説明会1の2 180305
改定説明会1の3 180305
 
 また(3)の「1割以内・3か月以内変動」の救済ルール廃止に関しては、▼2018年4月から入院料等の変更を行う場合には、「2018年1-3月の入院患者」が過去実績の評価対象となり、重症患者割合は改定後基準(【急性期一般入院料I】では看護必要度Iで30%以上、看護必要度IIで25%以上)とする▼2018年6月から入院料等の変更を行う場合には、「2018年3-5月の入院患者」が過去実績の評価対象となり、重症患者割合は改定後基準とする―といった例示がなされています。

 さらに、重症患者割合については、「直近3か月の入院患者全体(延べ患者数)に対し、看護必要度の基準を持たす患者の割合であるため、1か月ごとに算出するのではなく、『毎月、直近3か月ごと』に算出しなければならない」ことが示されています。

 なお、DPC制度においては「短期滞在手術等基本料3は適用しない」こととされましたが、▼平均在院日数▼重症患者割合―からは除外されています。この点について、「短期滞在手術等基本料3の手術を実施し、入院4日目に退院した患者で、当該期間中に短期滞在手術等基本料3の対象手術を複数実施した場合」など、2018年度改定前から「短期滞在手術等基本料が算定できない」とされていた場合は、▼平均在院日数▼重症患者割合-から除外されないといった例示もなされました。

入院時支援加算で求められる「入院前支援を行う専従、専任の看護師」の兼務規定を整理

 2018年度改定で注目される点の1つに、「入退院支援加算の見直し」があげられます。入院前から、「入院生活」「退院」「退院後の生活」を見据えて行う支援を【入院時支援加算】(退院時に1回、200点)として評価するとともに、従前の【退院支援加算】から【入退院支援加算】に名称変更を行っています(関連記事はこちら)。

入退院支援見直しのイメージ
入退院支援見直しのイメージ
 
 新設された【入院時支援加算】を算定するためには、入院前に▼身体的・社会的・精神的背景を含めた患者情報の把握▼入院前に利用していた介護・福祉サービスの把握▼褥瘡に関する危険因子の評価▼栄養状態の評価▼服薬中の薬剤の確認▼退院困難な要因の有無の評価▼入院中に行われる治療・検査の説明▼入院生活の説明―を実施し、それを踏まえて「入院中の看護・栄養管理等に係る療養支援計画」を立て、患者・病棟職員と共有することが求められます。今般の疑義解釈では、上記の評価や説明を、例え外来であっても「入院当日」に行った場合には算定できないことを明確にしています。グローバルヘルスコンサルティング・ジャパン(GHC)が3月24日に開催した2018年度改定セミナーで厚労省保険局医療課の迫井正深課長は「入院は非日常であり、『入院前からのサポート』を行うことが、効率的な医療提供はもちろん、患者の満足度向上に深く関係する」ことを強調しています。【入院時支援加算】は「外来での支援」ではなく、「入院前からの支援」が重要ポイントとなる点に留意が必要です(関連記事はこちら)。

また【入院時支援加算】を届け出るためには、ベースとなる【入退院支援加算】の施設基準(例えば入退院支援加算1では病棟への専従看護師等配置など)を満たすとともに、「入院前支援を行う者として、入退院支援部門に『入退院支援・地域連携に十分な経験を有する専従看護師1名以上』または『入退院支援・地域連携に十分な経験を有する専任看護師および専任社会福祉士各1名以上』の配置」などが求められます(許可病床数200床未満の病院では、『入退院支援に十分な経験を有する専任看護師1名以上』配置などの緩和措置)。

今般の疑義解釈では、「入院前支援を行う専従看護師」について次のような考えが明らかにされています。
▽【入退院支援加算】で求められる「入退院支援部門の専従・専任看護師」と兼ねることはできない
▽【入退院支援加算1】で求められる「病棟配置の専任看護師」と兼ねることはできない(病棟配置の専任看護師が入退院支援部門の専任看護師を兼ねる場合も含む)
▽非常勤でもよい

 また「入院前支援を行う専任の看護師・社会福祉士」については、次のような考えが示されました。
▽【入退院支援加算】で求められる「入退院支援部門に配置される専任職員」を兼ねてよい
▽【入退院支援加算1】で求められる「病棟配置の専任職員」を兼ねてよい。ただし、【入退院支援加算1】で、病棟配置の専任職員が入退院支援部門の専任職員を兼ねる場合は、【入院時支援加算】の専任職員と兼ねることはできない

 さらに、【入院時支援加算】で求められる「入院前の支援」(上記の患者情報や栄養状態、服用薬剤の把握など)については、「その内容に応じて適切な職種が実施する」ことが明確にされました。例えば栄養状態は管理栄養士が、服用薬剤は薬剤師が把握・確認することが適切と言えます。

 【入院時支援加算】は、2018年4月1日以降入院予定の患者に対して、3月中に入院前支援を実施した場合でも、要件を満たしていれば算定可能です。

 なお、GHCでは【入退院支援加算】に関連し、PFMを理解するためのセミナーを7月21日に開催します。日本病院会副会長で小牧市民病院事業管理者の末永裕之先生、佐久総合病院副統括院長の西澤延宏先生をお招きし、円滑な退院支援に向けた「ボトルネック」をどう解消していくかを学びます。奮ってご参加ください(お申込みはこちら)(関連記事はこちら)。

 

 

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