【15年度介護報酬改定答申1】重篤な身体疾患のある人が多く入所する介護療養、「療養機能強化型」として新評価



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 2015年度介護報酬改定をめぐる論議が決着しました。6日に開かれた社会保障審議会介護給付費分科会で新単位数が了承され、上部会議である社会保障審議会が近く15年度の改定案を塩崎恭久厚生労働相に答申することになります。4月1日から新単位数が施行されます。

2月6日に開催された、第119回「社会保障審議会・介護給付費分科会」
2月6日に開催された、第119回「社会保障審議会・介護給付費分科会」

 既報の通り、介護報酬全体の改定率は全体でマイナス2.27%ですが、処遇改善(プラス1.65%)やサービス充実(プラス0.56%)の部分を除くと実質マイナス4.48%という厳しいものとなりました。このため、多くのサービスで基本報酬が引き下げられています。

 厚生労働省は3月上旬に関連通知を出し、4月1日から新単位数が動き出しますが、4、5月は審査支払いシステムの改修が間に合わないため、両月のサービス分にかかる請求内容は11月以降に再審査が行われます。

 答申の内容は広範囲にわたりますので、医療に関連の深いものを中心に見ていきましょう。まず、介護療養型医療施設と介護老人保健施設です。

 メディ・ウォッチでは今後、15年度介護報酬改定の内容を詳しく説明する連載を開始しますので、お楽しみに。

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入所者の状況に応じて、介護療養を3区分に

 介護療養型医療施設については、「医療ニーズの高い中重度要介護者への対応」「看取り・ターミナルケア中心の長期療養や、喀痰吸引、経管栄養等の医療処置を担う機能」を重視し、「療養機能強化型」という新類型が2通り創設され、全部で次の3類型になります。

(1)療養機能強化型A(新設)

(2)療養機能強化型B(新設)

(3)通常型

療養機能強化型介護療養型医療施設の新設イメージ
療養機能強化型介護療養型医療施設の新設イメージ

 看護6対1・介護4対1の体制を持つ多床室について、要介護5の入所者の報酬を比較すると、基本報酬は現在、1日当たり1320単位ですが、▽療養機能強化型Aは1307単位▽療養機能強化型Bは1287単位▽通常型は1251単位-となります。通常型では、1人1日当たり69単位(5.2%)の減額です。

 療養機能強化型Aを算定するための要件は、病院については次のように設定されました。いずれも算定日の属する月の前3か月間で満たすことが必要です。

▽重篤な身体疾患を有する者・身体合併症を有する認知症高齢者の割合が50%以上

▽喀痰吸引、経管栄養、またはインスリン注射を実施する者の割合が50%以上

▽「回復の見込みがないと医師が診断」「ターミナルケア計画を作成」「医師・看護師・介護職員などが共同してターミナルケアを実施」のすべてを満たす入所者の割合が10%以上

▽生活機能を維持改善するリハビリを行っている

▽地域に貢献する活動を行っている

▽看護6対1以上かつ介護4対1以上

 診療所の介護療養や療養機能強化型Bでは、これらの数値要件が若干緩和されます。

老健施設では、在宅復帰機能の評価を継続

 介護老人保健施設については、本来の目的である「在宅復帰」に力を入れている「強化型(在宅機能強化型)」「加算型(在宅復帰・在宅療養支援機能加算)」と、「通常型」とで評価の差が広がりました。

 従来型老健の多床室に入所する要介護3の人について、3類型の報酬を改定前後で比較すると、基本報酬と「在宅復帰・在宅療養支援機能加算」の合計は、▽強化型では963単位から948単位に15単位(1.6%)引き下げ▽加算型では925単位(基本報酬904単位と加算21単位)から904単位(877単位と27単位)に21単位(2.3%)引き下げ▽通常型では904単位から877単位に27単位(3.0%)引き下げ-となります。報酬の水準を全体として下げつつも、「強化型」と「加算型」では引き下げ幅を小さくし、相対的に手厚く評価することが分かります。

 在宅復帰を促すためには、退所後も切れ目のない在宅サービスを提供する体制を構築することが重要です。このため、「入所前後訪問指導加算」を再編し、▽本人・家族の意向を踏まえ、生活機能の具体的な改善目標を含めた施設・在宅双方にわたる切れ目のない支援計画の策定▽支援計画策定における多職種カンファレンスの実施-を要件とする同加算(Ⅱ)が新設されます。単位数は480単位です。現在の入所前後訪問指導加算は、見直し後は加算(Ⅰ)にスライドさせ、450単位に引き下げます。

経口摂食に注力する施設を手厚く評価

 介護療養と老健施設を含む介護保険施設に対しては、入所者の口腔・栄養管理を充実するための評価も行います。口からの食事摂取が、要介護度の維持・向上に極めて有用だとの考えによるものです。

 例えば、摂食・嚥下障害があったり、食事摂取の認知機能の低下が著しかったりする入所者に対して、経口維持支援を充実するために「経口維持加算」の評価を引き上げます。具体的には、現在の「経口維持加算(Ⅰ)」と「経口維持加算(Ⅱ)」を組み換え、単位数を充実させます。

 加算(Ⅰ)は、現に経口で食事を摂取しているものの、摂食機能障害や誤嚥のある入所者に対して医師、歯科医師の指示に基づいて管理栄養士、看護師、ケアマネジャーなども含む多職種が共同して食事観察・会議を行い、入所者ごとに経口維持計画を作成した上で栄養管理を行った場合、1か月に400単位を算定できます。

 また加算(Ⅱ)は、加算(Ⅰ)の食事観察・会議に、医師、歯科医師、歯科衛生士、言語聴覚士が加わった場合、加算(I)のほかに1か月100単位を算定できます。

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