DPC病院や地域医療支援病院は病床稼働率の維持に苦労、規模が適正か検討しては―厚労省



Pocket

 病院の機能別に病床稼働率を見ると、地域医療支援病院やDPC病院では、年々下がってきているが、新規入院件数は増加している―。

 こういった状況が、厚生労働省が2月1日に公表した2016年度の「病院機能別 制度別医療費等の状況」から明らかになりました(厚労省のサイトはこちらこちら)。「在院日数の短縮に新患獲得が追いついていない」状況であり、地域の医療ニーズに比べて現在の病床規模が適正なのか、という点も検討する必要がありそうです(前年度の記事はこちら)。

1日当たり入院単価、特定機能病院で7万2141円、地域医療支援病院で6万436円

 「病院機能別 制度別医療費等」は、病院を▼特定機能病院▼地域医療支援病院▼DPC病院—などの機能別に分類し、また患者が▼被用者保険▼国民健康保険▼後期高齢者医療制度―など、どの医療保険に加入しているのかで分類し、医療費を詳しく分析するものです。どの医療保険制度に加入する人が、どの機能病院にどれだけかかり、どれだけの医療費がかかっているのかなどが分かります。病院経営的には「どういった患者を積極的に受け入れれば、収益向上につながりやすいのか」といった視点で分析結果を眺めることができるでしょう。

 まず病院機能別の1日当たり医療費(いわば単価)を見ると、医科入院では▼特定機能病院7万2141円(前年度に比べて1788円・2.5%上昇)▼地域医療支援病院6万436円(同802円・1.3%上昇)▼DPC病院5万6470円(同450円・0.8%上昇)▼療養病床のみの病院2万1584円(同107円・0.5%上昇)―などとなっています。いわゆる高度急性期・急性期機能を持つ病院ほど、単価が上昇していることが分かります。

 また、療養病床のみの病院を除けば、「病院機能に関わらず『未就学児』で単価が高い」状況にあります(▼特定機能病院では8万8230円で、当該病院における医科入院全体よりも1万6089円・22.3%高い▼地域医療支援病院では7万1719円で、同じく1万1283円・18.7%高い▼DPC病院では7万2106円で、同じく1万5636円・27.7%高い)。

逆に、75歳以上の後期高齢者では、療養病床のみの病院も含めて「病院機能に関わらず単価が低い」状況です(▼特定機能病院では6万9485円で、当該病院における医科入院全体よりも2656円・3.7%低い▼地域医療支援病院では5万4941円で、同じく5495円・9.1%低い▼DPC病院では4万9597円で、同じく6873円・12.2%低い)。

 
 また医科入院外に目を移すと、単価(1日当たり医療費)は▼特定機能病院2万4527円(前年度に比べて1251円・5.4%上昇)▼地域医療支援病院1万9581円(同552円・2.9%上昇)▼DPC対象病院1万8098円(同360円・2.0%上昇)▼療養病床のみの病院7376円(同4円・0.1%低下)―などとなっています。

入院と異なり、未就学児では単価が低く、例えば▼特定機能病院で1万7594円(当該病院における医科入院全体よりも6933円・28.3%低い)▼地域医療支援病院で1万4055円(同5526円・28.7%低い)▼DPC病院で1万2017円(同6081円・33.6%低い)—などという状況です。

逆に国民健康保険の加入者では単価が高く、▼特定機能病院で2万6647円(同2120円・8.6%高い)▼地域医療支援病院で2万1314円(同1733円・8.9%高い)▼DPC病院で1万9826円(同1728円・9.5%高い)—などとなっています。

1日当たり医療費は病院の機能によって異なる、さらに患者の属性(どの医療保険に加入しているか)によっても特徴がある
1日当たり医療費は病院の機能によって異なる、さらに患者の属性(どの医療保険に加入しているか)によっても特徴がある
 
傷病種類や診療報酬の支払方式(包括か、出来高か)なども勘案した、詳しい分析に期待したいところです。

平均在院日数、75歳以上の後期高齢者や国保加入者で長い

 次に、平均在院日数を見てみましょう。

▼特定機能病院16.3日(前年度に比べて0.4日短縮)▼地域医療支援病院15.2日(同0.2日短縮)▼DPC病院16.6日(同0.2日短縮)▼療養病床のみの病院169.7日(同8.3日短縮)―などとなり、短縮傾向が続いていることが分かります。

未就学児では、在院日数が短い傾向にあります(地域医療支援病院では8.5日(同0.2日短縮)、DPC病院では9.1日(同0.1日短縮))が、特定機能病院では重篤な症例などが多く14.9日(同0.2日短縮)と比較的長めです。

逆に在院日数が長いのは75歳以上の高齢者です(▼特定機能病院では17.3日、当該病院における医科入院全体よりも1.0日長い▼地域医療支援病院では19.0日、同3.8日長い▼DPC病院では21.7日、同5.1日長い▼療養病床のみの病院では175.1日、同5.4日長い)。

また70歳未満でも、国保加入者は被用者保険加入者に比べて在院日数が長い傾向にあります(▼特定機能病院では2.4日▼地域医療支援病院では4.1日▼DPC病院では4.2日▼療養病床のみの病院では62.2日―長い)。国保加入者では「無職者」が増加しており、退院困難な患者が増えていることも予想されます。2018年度の次期診療報酬改定では、【入退院支援加算】(退院支援加算から名称変更)の算定対象患者に「生活困窮者」などが追加されますので、例えば無職者への入退院支援をこれまで以上に強化することで、「加算の算定」「在院日数の短縮」などにつながります。診療報酬改定に限らず、医療政策情報を積極的に収集し、かつ現場の業務に結び付けていくことが重要です(関連記事はこちらこちらこちらこちらこちらこちら)。

多くの機能で、新規入院患者数の増加(新患獲得)、平均在院日数の短縮がみられる
多くの機能で、新規入院患者数の増加(新患獲得)、平均在院日数の短縮がみられる

稼働率は低下傾向、「適正な病床規模はどの程度か」を検討する必要あり

 さらに、病床の稼働率に目を移してみると、次のように推移しています。

【特定機能病院】▼2013年度:82.2% → ▼14年度:82.0% → ▼15年度:82.8% → ▼16年度:82.9%

【地域医療支援病院】▼2013年度:81.9% → ▼14年度:81.4% → ▼15年度:81.2% → ▼16年度:80.5%

【DPC病院】)▼2013年度:80.3% → ▼14年度:80.0% → ▼15年度:80.3%→▼16年度:80.1%

平均在院日数が減少傾向にある中で、多くの病院では病床稼働率低下に苦しんでいる状況がうかがえます。

地域医療支援病院やDPC病院では、病床稼働率が減少傾向にある
地域医療支援病院やDPC病院では、病床稼働率が減少傾向にある
 
在院日数の減少は「空床の拡大」を意味し、同時に新規入院患者を多く受け入れなければ、病院経営は厳しくなっていきます。しかし、新規入院件数が前年度に比べてどれだけ増加(あるいは減少)しているのかを見ると、▼特定機能病院3.1%増▼地域医療支援病院6.5%増▼DPC病院4.3%増▼療養病床のみの病院5.5%増―などとなっており、多くの病院(DPC以外の一般病院ではマイナス6.6%)では、新規入院患者に向けた努力をしていることが伺えます。

さらなる努力を検討することはもちろん重要ですが、地域の患者数は限られており、かつ大都市を除けば患者数そのものが減少している(人口が減少傾向にある)中では、努力にも限界があるでしょう。

稼働率上昇が見られない地域医療支援病院やDPC病院では、「現在の規模(ベッド数)が適正なのか、地域の医療ニーズに比べてベッド数が多すぎないか」という点も含めた検討が必要です。

 

 

MW_GHC_logo

 

【関連記事】

DPC病院や地域医療支援病院など、多くの機能で「在院日数短縮に新患獲得が追いつかず」―厚労省

入院前からの退院支援、診療報酬と介護報酬の両面からアプローチを—入院医療分科会(3)

現行7対1相当の【急性期一般入院料1】、重症患者割合は30%に決着―中医協総会 第387回(1)
早期の在宅復帰を目指し、入院前からの【入退院支援】を診療報酬で評価―中医協総会 第386回(4)
DPC・II群要件の診療密度、薬剤料は「最も安い後発品」に置き換えて計算―中医協総会 第386回(3)
地域包括ケア病棟、自宅等患者を多く受け入れる中小病院の評価を手厚く―中医協総会 第386回(2)
7対1・10対1を再編した急性期一般入院料、重症患者割合をどう設定するか—中医協総会 第386回(1)

Pocket