「初の成功例」に最適なのはコスト削減―事例で学ぶ、病院経営データ分析入門(3)



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 ベンチマーク分析に基づく院内の改善活動は、病院が提供する医療の質や経営にどのような影響を与えるのか――。その具体的な内容を、「病院ダッシュボード」のユーザー事例をメディ・ウォッチでご紹介させていただいた記事を振り返りながら紐解いていく連載企画。今回は、コスト削減の用途におけるソリューションとして、病院ダッシュボードを活用している事例を確認します。

パスの作成・改善は最も好ましいゴールの一つ

 経営戦略室を軸に、院内の全部署を巻き込んだ経営改善活動を推進したことで、年換算で1億4000万円のコスト削減に成功――。

 病院ダッシュボードのユーザー会で、諏訪中央病院の経営戦略室の杉田勇氏は、クリティカルパス作成や特別食加算の算定割合向上など具体的な事例を紹介しました。

 こうしたコスト削減活動の中でも、特に重要なのはクリティカルパスの作成です。改善活動の起点と言える診療科ミーティングで最も好ましいゴールの一つは、クリニカルパスの作成・改善です。「パスには改善要素が詰め込まれることになるので、最も分かりやすく、効率的な改善につながる」(GHCアソシエイトマネジャーの澤田優香)ためです(関連記事『医師が思わず耳を傾ける院内プレゼンの鉄則―入門講座2016~17(3)』)。

 例えば、明和病院の事例。パスの見直しではまず、病院ダッシュボードで要因分析をし、改善が必要な項目を掘り下げて調査します。その上で、具体的な分析結果をもとに医師にヒアリング。診療内容の見直しが可能か医師に検討してもらい、標準化(ルール化)を進めていきます。結果、2万4000円だった抗生剤の平均使用金額は、1万335円と半額以下になりました。

 また、さらなる経営改善に向けてコスト削減活動を実施する市立加西病院は、なかでも強みとする診療科である神経内科と消化器外科で使う薬剤の改善事例について紹介しました。後発薬剤への薬剤変更をシミュレーションしたコスト削減金額を神経内科部長へ提案したところ、薬剤変更が実現。結果、今回の改善によるコスト削減効果は年換算で約190万円になりました。

市立加西病院の事務局医事課医事係主任(現在:医事課病歴係係長)で診療情報管理士の笹倉道昭氏
市立加西病院の事務局医事課医事係主任(現在:医事課病歴係係長)で診療情報管理士の笹倉道昭氏
病院合併時代に欠かせないコスト削減術、市立加西病院がユーザー会で講演

材料コストの見直しで年間8000万円の削減

 2014年度には▼循環器領域で5172万円▼眼科領域で1062万円▼BPC領域で511万円▼整形外科領域で774万円―など、合計8339万円のコスト削減に成功し、2013年度に陥った経営の一大危機から2年後の2015年にはV字回復を果した――。

 名古屋第二赤十字病院の事例から学ぶべきことは、材料コストの削減についてです。

 コスト削減の支援で実績の多いGHCマネジャーの本橋大樹は、「小手先ではなく、本腰を入れた改革を実行する必要性があるのなら、まずはコスト削減から着手するのが効果的である」と指摘します。本橋によると、コスト削減から着手するのが効果的である理由は、大きく5つあります。

(写真2)コスト削減活動は院内のヒーローになるチャンス
(写真2)コスト削減活動は院内のヒーローになるチャンス
病院改革の出発点はコスト削減、突破口開くたった3つの要点―コスト削減塾2016年春(1)

連載◆成功事例で学ぶ、病院経営データ分析入門
(1)改革の突破口はベンチマークにあり
(2)急性期一本か機能分化か、決断どうする?
(3)「初の成功例」に最適なのはコスト削減
(4)なぜ、高度急性期の4割が導入するのか
(5)強みが明確になれば、患者は集まる
(6)専門コンサルによる勉強会で使いこなせる
(7)トップランナーからの学びでさらなる飛躍を



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