診療報酬ネットマイナス改定で収支920億円改善―協会けんぽ



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 来年度(2018年度)の診療報酬改定率がネットでマイナス1.19%になった影響で、全国健康保険協会(協会けんぽ)の単年度収支が920億円改善する見込みである―。

 協会けんぽは、12月26日に公表した来年度(2018年度)の「政府予算案を踏まえた収支見込(医療分)」の中で、このような推計結果を示しています。診療報酬改定などを踏まえた来年度(2018年度)の単年度収支は4511億円となり、9年連続の黒字決算となる見通しです。診療報酬改定などの影響を除いたとしても、被保険者増に伴う保険料収入の増加などで、2851億円の黒字になると推計しています。

協会けんぽは、2018年度政府予算案を踏まえて単年度収支を試算した
協会けんぽは、2018年度政府予算案を踏まえて単年度収支を試算した

9年連続黒字、準備金は2.6兆円に

 協会けんぽは、主に中小企業のサラリーマンとその家族が加入する公的医療保険です。2009年度に5000億円近い赤字決算に陥ったことから、財政健全化のため、▼国庫補助割合の16.4%への引き上げ▼平均保険料率の引き上げ(現在は10.00%)―などの特別措置が行われました。これらのほか、後発医薬品の使用推進などの保険者としての努力や、賃金水準の上昇などによって2010年度から黒字に転換し、2016年度まで7年連続の黒字決算となっています(関連記事はこちら)。

2010年度から、単年度収支の黒字が続いている
2010年度から、単年度収支の黒字が続いている
 12月22日に決定した来年度(2018年度)の政府予算案では、8月の概算要求時点で、高齢化などの影響で6300億円程度増えると想定されていた社会保障関係費の伸びが、4997億円まで圧縮されています。診療報酬のネットマイナス改定(▼本体プラス0.55%▼薬価マイナス1.65%▼材料価格マイナス0.09%―で、ネットでマイナス1.19%)などによるもので、医療給付費の伸びは1068億円(2017年度の政府予算案では医療給付費の伸びが2271億円だった)に抑えられています(関連記事はこちら)。

 こうした内容の政府予算案が決定したことを受けて、協会けんぽでは、来年度(2018年度)の単年度収支を試算しました。それによると、平均保険料率を10.00%に据え置く場合、収入は10兆3468億円、保険給付費などの支出は9兆8957億円で、単年度収支は4511億円の黒字になる見込みです。直近のデータを基に試算すると、今年度(2017年度)の収支も3914億円の黒字となる見通しで、2010年度からの黒字決算が、2018年度まで9年間続くことになります。

 大災害などが発生して保険料収入などが激減する一方で支出が急増するような不測の事態に備えるために義務付けられた積み立て金(準備金)の額は、昨年度(2016年度)の1兆8086億円から2017年度には2兆2001億円、2018年度には2兆6512億円と推移すると見られます。

 来年度(2018年度)の収支見込みを収入・支出に分解すると、収入は前年度から3840億円増える見通しで、▼被保険者の増加▼被保険者の賃金水準の上昇―による保険料収入の増加が増収要因として挙げられています。一方、支出も前年度を3243億円上回る見通しですが、そもそも、来年度(2018年度)には加入者の増加などで保険給付費が増えると予想され、診療報酬のネットマイナス改定などが実施されなくとも、支出の増加幅が5083億円に達すると協会けんぽは推計しています。

 診療報酬のネットマイナス改定による医療費の伸びの抑制効果は、協会けんぽの加入者以外の高齢者にも及び、協会けんぽから高齢者医療への拠出金(後期高齢者支援金や前期高齢者納付金など)も減ることから、来年度(2018年度)の診療報酬改定には、協会けんぽの収支を920億円改善させる効果があると推計しています。

 

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