かかりつけ薬剤師の推進目指すが、「かかりつけ」を名乗ることへの批判も―中医協総会 第377回(5)



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 2018年度の調剤報酬改定では、前回改定に引き続き「かかりつけ薬剤師」の推進、調剤料の評価見直し、大規模薬局チェーンの適正化などを進めてはどうか―。

 12月8日に開催された中央社会保険医療協議会・総会では、こういった点も議論されました(関連記事はこちらこちらこちらこちら)。ただし、診療側委員からは「院内調剤と院外処方とで、評価の格差が大きすぎる」との指摘が相次いでおり、年明けにどのような調整が行われるのかにも注目が集まります。

12月8日に開催された、「第377回 中央社会保険医療協議会 総会」
12月8日に開催された、「第377回 中央社会保険医療協議会 総会」

かかりつけ薬剤師を推進、調剤基本料の特例除外の廃止も検討

 2016年度の前回改定では、「患者のための薬局ビジョン」(2015年10月)を踏まえた調剤報酬体系の大幅な見直しが行われました。内容は多岐にわたりますが、(1)患者が選択した「かかりつけ薬剤師」が、処方医と連携して患者の服薬状況を一元的・継続的に把握して服薬指導を行うことを評価する【かかりつけ薬剤師指導料】の新設(2)かかりつけ薬剤師の役割を評価するような、【基準調剤加算】の組み換え(3)【薬剤服用歴管理指導料】の見直しによる「お薬手帳」の普及促進(4)多剤投薬されている患者の減薬を評価する【重複投薬・相互作用等防止加算】の新設(5)同一グループを含めた大型門前薬局に係る評価の適正化—などがポイントと言えます。

 いずれも「患者のための薬局ビジョン」の大きな柱である「対物業務から対人業務への転換」を強く推し進める見直しと言えます。2018年度の次期調剤報酬改定でもこの考え方が引き継がれることになります。

 まず(1)の【かかりつけ薬剤師指導料】については、算定回数・算定薬局数ともに増加してきており(全処方箋の1.28%に相当)、患者は「自分の飲んでいる薬をすべて把握してくれている」という安心感を覚え、薬局側には「丁寧な服薬指導ができるようになった」「重複投薬・飲み合わせのチェックが行いやすくなった」と調剤業務の質の向上につながっているとの実感がわいているようです。厚生労働省保険局医療課の中山智紀薬剤管理官は、こうした点を踏まえて、さらに「かかりつけ薬剤師の普及・推進」を図る必要があるとし、次の2点の見直しを行ってはどうかと提案しました。

2016年度改定で新設された【かかりつけ薬剤師指導料】の概要
2016年度改定で新設された【かかりつけ薬剤師指導料】の概要
 
▼患者の同意に基づく【かかりつけ薬剤師指導料】を適切に推進するため、「同意の必要性」を患者・薬剤師の双方で確認することとし、「同意書の基本的様式」を明らかにする

▼かかりつけ薬剤師としての業務を一定以上行っている場合に調剤基本料の特例対象から除外することとしているが、この規定について、廃止を含めた見直しを行う

 後者は、「通常であれば、いわゆる門前薬局や大規模薬局チェーンなどで低く設定される【調剤基本料】について、かかりつけ薬剤師としての業務を行っている場合には、高い【調剤基本料】を算定できる」という規定(特例除外)の廃止を示唆するものです。厚労省の調査によれば、「常勤換算した薬剤師1人当たりの【かかりつけ薬剤師指導料】の算定件数」は、「0回超~10回以下」が多いのですが、一部には「100回以上算定」する薬局もあり、その4割が「特例除外」薬局となっています。かかりつけ薬剤師の趣旨や業務内容に照らせば、1人の薬剤師で算定できる件数にはおのずから上限ができ、「100回以上算定」の中には不適切なケースが含まれている可能性もあります。

【かかりつけ薬剤師指導料】を極めて頻回に算定している薬局があり、その4割程度は【調剤基本料】の特例除外対象薬局である
【かかりつけ薬剤師指導料】を極めて頻回に算定している薬局があり、その4割程度は【調剤基本料】の特例除外対象薬局である
2016年度改定における【調剤基本料】の特例除外の概要
2016年度改定における【調剤基本料】の特例除外の概要
 

対物業務から対人業務への転換を促進

 また中山薬剤管理官は、「患者のための薬局ビジョン」の大きな柱である「対物業務から対人業務への転換」を促す必要性を強調し、次のような見直し案も提示しました。

▼対物業務から対人業務へのシフトを促す観点から、【調剤料】の評価の見直しなどについて、前回改定に引き続き進める

▼【薬剤服用歴管理指導料】について、「お薬手帳」の活用を十分に推進できていない薬局の評価の引き下げを行う

▼薬剤服用歴の記録について、「次回の服薬指導の計画」を加えるなどの見直しを行う

▼医療機関の求めに応じて、「服薬期間中の患者の服薬状況などをフォローアップし、医師らと共有する」ことで、服薬アドヒアランスの向上や、患者の薬物療法の安全性に資する業務を推進する

2016年度改定における【薬剤服用歴管理指導料】見直しの概要
2016年度改定における【薬剤服用歴管理指導料】見直しの概要

大手チェーン薬局や門前薬局など、報酬をさらに適正化

調剤報酬については、「薬局が本来行うべき業務が加算として評価されており、適正化すべきである」「大規模チェーン薬局などでは収益が向上しているが、医療保険の1プレイヤーであり、報酬を適正化すべきではないか」といった指摘もなされます。ここに「医療費財源の適正な配分」という観点も加わり、2016年度改定の「(5)同一グループを含めた大型門前薬局に係る評価の適正化」に代表されるような見直しも行われています。あえて単純な構図にしてみれば、▼かかりつけ薬剤師機能は高く評価する▼それ以外の機能は適正化する—と言えるでしょう。

2016年度改定における、大規模チェーン薬局や門前薬局に対する【調剤基本料】適正化の概要
2016年度改定における、大規模チェーン薬局や門前薬局に対する【調剤基本料】適正化の概要
大規模チェーン薬局では、収益率がよい
大規模チェーン薬局では、収益率がよい
 
2018年度の次期改定に向けて中山薬剤管理官は、次の2点の「適正化」案も提示しました。

▼薬局の収益状況や医薬品の備蓄などの効率性も踏まえ、▽店舗数の多い薬局▽特定の医療機関から処方箋を多く受け付けている薬局▽不動産の賃貸借等の関係がある薬局—などの評価を見直す【報酬の引き下げ】

▼「患者の薬物療法の安全性向上に資する事例の共有」を【基準調剤加算】の要件に加える。また、副作用報告について、今後の薬局における手引きの整備状況を踏まえて要件化する【要件の厳格化】

2016年度改定における【基準調剤加算】見直しの概要
2016年度改定における【基準調剤加算】見直しの概要
 
 例えば前者について、具体的に「どの程度の点数に設定するのか」「低い点数を算定する薬局の基準(例えば処方箋の集中率など)をどう考えるのか」などは年明けの議論に委ねられます。なお、医療資源の乏しい地域では、どうしても1つ医療機関からの処方箋が集中するため、一定の配慮が行われます。

週30時間以上の勤務で「かかりつけ」と言えるのか、と診療側委員は批判

 前述のような調剤報酬の適正化が既に行われ、かつ新たな提案も行われていますが、診療報酬の大幅なプラス改定が望めない中では「医科、歯科、調剤間でのパイの奪い合い」が生じ、支払側のみならず、診療側内部からも「適正化」に向けた強い要望が出されます。

 12月8日の中医協総会では、診療側の今村聡委員(日本医師会副会長)らが「院外処方と院内調剤の格差が大きすぎる」と強い調子で指摘しました。また、同じく診療側の松本純一委員(日本医師会常任理事)は、【かかりつけ薬剤師指導料】について「かかりつけ医は24時間・365日の対応が求められる。一方、かかりつけ薬剤師では週32時間以上の勤務が要件となっており、これが『かかりつけ』と呼べるのだろうか」と批判しています。

単純比較は難しいが、通常の院外処方>門前薬局など>院内調剤の順で報酬が低くなる
単純比較は難しいが、通常の院外処方>門前薬局など>院内調剤の順で報酬が低くなる
 
 また支払側の吉森俊和委員(全国健康保険協会理事)や幸野庄司委員(健康保険組合連合会理事)らは、▼【薬剤服用歴管理指導料】について、「毎回1、2種類の同じ薬を取りにくるだけ」といったような場合の点数引き下げ▼処方箋集中率を下げるためだけの、大手チェーン薬局内での処方箋付け替えに対する指導監督の強化―などを行うよう要望しています。

 これらの要望・指摘が、年明けからの詰めの論議の中でどう扱われるのか、今後の調整に注目が集まります。

 

 

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