200床未満の医療提供施設で勤務するリハ専門職との連携を、多様な介護サービスで評価―第155回介護給付費分科会(2)



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 自立支援・重度化防止に資する介護を推進するために、「外部のリハビリテーション専門職と介護サービス事業所との連携」への評価を拡充する。ただし、連携するリハビリテーション専門職が、許可病床200床以上の病院に勤務している場合は原則、評価しない―。

 12月6日の社会保障審議会・介護給付費分科会で厚生労働省が示した「審議報告」(2018年度介護報酬改定に向けた介護給付費分科会での議論を整理したもの)の案には、このような方針が盛り込まれています。

12月6日に開催された、「第155回 社会保障審議会 介護給付費分科会」
12月6日に開催された、「第155回 社会保障審議会 介護給付費分科会」

リハビリ提供する中小病院や診療所と、介護サービス事業所との連携を評価

 「審議報告案」を見ると、サービス類型などごとの見直しの方向性は、おおむね、メディ・ウォッチでこれまでにお伝えしてきた通りです。ただし、委員の意見を踏まえて一部が修正されています。

 具体的には、厚労省が示してきた見直し案のうち、(1)訪問介護の【生活機能向上連携加算】で、医療機関で勤務する理学療法士らとの連携も評価する(2)認知症対応型共同生活介護(グループホーム)の【医療連携体制加算】に、手厚い看護体制が要件の新区分を設ける(3)居宅介護支援の【退院・退所加算】の報酬体系を見直し、「医療機関でのカンファレンスへの参加」をより高く評価する(4)特定施設入居者生活介護に【退院時連携加算】を創設し、医療機関からの退院直後の受け入れを評価する―について、当初案の一部を変更しています。1つずつ見ていきましょう。

 まず、(1)の【生活機能向上連携加算】は、▼「外部のリハビリテーション専門職」と、訪問介護事業所のサービス提供責任者とが共同で、利用者の身体状況などのアセスメントを行う▼アセスメント結果に基づいて訪問介護計画を策定する▼「外部のリハビリテーション専門職」から必要な助言を得つつ、訪問介護を行う―といったプロセスを評価するものです。

訪問介護の【生活機能向上連携加算】の現行の算定要件では、訪問・通所リハビリテーション事業所が連携先だと規定されている
“訪問介護の【生活機能向上連携加算】の現行の算定要件では、訪問・通所リハビリテーション事業所が連携先だと規定されている
 現在、「外部のリハビリテーション専門職」として、「訪問・通所リハビリテーション事業所の理学療法士・作業療法士・言語聴覚士」との連携だけが評価されていますが、厚労省は、「医療提供施設の理学療法士・作業療法士・言語聴覚士・医師」を加えることなどを、11月1日の介護給付費分科会で提案していました。

 しかし、鈴木邦彦委員(日本医師会常任理事)らが「地域包括ケアシステムで主な役割を担うのは中小病院や診療所だ」と主張してきたことから、厚労省は今般、連携対象を「リハビリテーションを実施している医療提供施設(原則として許可病床200床未満)の理学療法士・作業療法士・言語聴覚士・医師」に改めています。

 また厚労省はこれまでに、「外部のリハビリテーション専門職」との連携を、訪問介護以外のサービスでも評価する案を示してきました。例えば、▼【生活機能向上連携加算】を通所介護や定期巡回・随時対応型訪問介護看護などにも設ける▼介護老人福祉施設(特別養護老人ホーム)などの【個別機能訓練加算】に新区分を設けて、「外部のリハビリテーション専門職」との連携を評価する―などです。「審議報告案」では、これらについても、「外部のリハビリテーション専門職」が「原則として許可病床200床未満の医療提供施設」で勤務している場合などに限って評価するとしています。

 これらの修正を受けて鈴木委員は、「大病院・中小病院・診療所のうち、大病院は急性期機能に特化すべきで、医療機関の機能分化を促す良い提案になった」と評価しました。ただし、医療資源が乏しく、大病院が幅広い入院医療の機能を一手に担わざるを得ない地域もありますし、リハビリテーションに特化した200床以上の病院もあります。そうした病院との連携が、例外として【生活機能向上連携加算】などで評価されるかが注目されます。

グループホームへの准看護師配置も評価

 (2)の【医療連携体制加算】の見直しの内容も、鈴木委員の要望などを踏まえて一部変更されています。この加算には、医療ニーズが生じた入居者に対応可能な体制整備をグループホームの事業所に促す狙いがあり、「医療面からの適切な指導や援助を介護職員に行うことができる看護師1人以上の確保」が現在の主な要件です。事業所職員に看護師がいなくても、外部の病院や訪問看護ステーションとの連携により、24時間体制で連絡が取れれば算定できます。

 厚労省は11月15日の介護給付費分科会で、【医療連携体制加算】に新区分を設け、▼事業所の職員として看護師を常勤換算で1人以上配置している▼たんの吸引などの医療的ケアを提供している実績がある―の両方を満たす事業所を、より高く評価する方針を提示。これに対して鈴木委員が、「看護師の確保が困難だ。准看護師でも認めてほしい」などと強く要望していました。

 これを踏まえて「審議報告案」には、2つの区分を新設する方針が盛り込まれました。具体的には、事業所の職員として常勤換算1人以上の「看護師を配置している」事業所への評価と、「看護職員を配置している」事業所への評価をそれぞれ設けるとしています。

 「看護職員」には看護師と准看護師が含まれるので、「看護師の確保はできないが、准看護師であれば配置している」事業所でも、「看護職員を配置している」事業所向けの加算を算定できるイメージです。ただし、外部の看護師の関与(病院や訪問看護ステーションの看護師との連携体制の確保)が求められます。

老健退所前のカンファへのケアマネの参加も高く評価

 (3)の【退院・退所加算】の見直し案は当初、介護支援専門員(ケアマネ)が「医療機関で行われるカンファレンスに参加」して利用者の情報を収集したケースで高く評価するものでした(関連記事はこちら)。

 しかし、東憲太郎委員(全国老人保健施設協会会長)が、「介護老人保健施設(老健)が開催するカンファレンスには、行っても評価されないので行かないという事態を招かないか」と指摘したことから、「審議報告案」では、老健が開いたカンファレンスに参加した場合も、同じように評価するとしています。

有料老人ホームに、老健退所者の受け入れも促す

 また、(4)の【退院時連携加算】(特定施設入居者生活介護の新たな加算)も、当初案では、「医療機関から退院して特定施設(有料老人ホーム等)に入居した利用者」だけを算定対象としていました(関連記事はこちら)が、「審議報告案」では、「老健の退所後に特定施設に入居した利用者」も対象に加えるとしています。

 今年(2017年)6月に公布された改正介護保険法では、老健の役割を明確化し、「主として心身の機能の維持回復を図り、居宅における生活を営むことができるようにするための支援が必要である要介護者」を受け入れる施設だと規定しています(地域包括ケアシステムの強化のための介護保険法等の一部を改正する法律)。居宅介護支援の【退院・退所加算】や特定施設入居者生活介護の【退院時連携加算】に関する対応案の修正は、この法改正の趣旨を踏まえたものだとも言えます。

改定の4本柱は「地域包括ケアシステム」などで、診療報酬と足並み揃う

 ちなみに「審議報告案」は、(I)地域包括ケアシステムの推進(II)自立支援・重度化防止に資する質の高い介護サービスの実現(III)多様な人材の確保と生産性の向上(IV)介護サービスの適正化・重点化を通じた制度の安定性・持続可能性の確保―の4つの柱で整理されています。

 近くまとまる2018年度診療報酬改定の基本方針では、(a)地域包括ケアシステムの構築と医療機能の分化・強化、連携の推進(b)新しいニーズにも対応でき、安心・安全で納得できる質の高い医療の実現・充実(c)医療従事者の負担軽減、働き方改革の推進(d)効率化・適正化を通じた制度の安定性・持続可能性の向上―の4本柱が、基本的な視点となります(関連記事はこちらこちら)。介護給付費分科会の「審議報告案」の4本柱と見比べると、同時改定らしく足並みが揃っています。

【更新履歴】
「外部のリハビリテーション専門職」との連携への評価について、一部「原則として許可病床200床以上」の医療提供施設に勤務している理学療法士等との連携が評価されると記載しておりましたが、「原則として許可病床200床未満」の誤りです。また、「特定施設(有料老人ホーム)」との記載を「特定施設(有料老人ホーム等)」と改めます。お詫びして訂正させていただきます。記事は訂正済みです。

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