7対1入院基本料の厳格化、透析医療の診療報酬適正化など進めよ―財政審、経済財政諮問会議



Pocket

 2018年度の次期診療報酬改定に向けて、中央社会保険医療協議会で議論が進められています。それとは別に、主に「財政再建のために社会保障費を抑制すべき」という観点で財政制度等審議会や経済財政諮問会議でも、具体的な改定内容に関する議論が行われています。

 10月25日には財政制度等審議会の財政制度分科会(以下、財政審)で、10月26日には経済財政諮問会議で具体的な提言がなされました。目立つ項目を眺めてみましょう。

財政審などの提言、中医協論議にどこまで影響するのか

 10月25日の財政審では、2018年度に「2%台半ば以上のマイナス改定をすべき」との意見をまとめたほか、次のような改定内容に踏み込んだ提言を行っています。

▼急性期病床の適正化(7対1病床について、2025年に向けてどの程度病床数を適正化していくか⾒通しを示し、重症度、医療・看護必要度など算定要件の⼀層の厳格化を行う。⼊院基本料ごとに医療内容を検証し、看護職員配置ではなく、提供している医療の機能(⾼度急性期、急性期、回復期等)により評価される仕組みを⽬指す)

財政審は7対1の適正化があまりにも進んでいないとして、2018年度の次期改定における施設基準厳格化などを求めている
財政審は7対1の適正化があまりにも進んでいないとして、2018年度の次期改定における施設基準厳格化などを求めている
 
▼⽣活習慣病治療薬などについて、臨床上の有効性・安全性を前提としつつ、経済的な観点も踏まえた「医薬品選択のガイドライン」を策定する。あわせて、⽣活習慣病治療薬などの適切な処⽅を進めるための診療報酬上の対応の在り⽅を検討する
財政審は、我が国において高額な生活習慣病治療薬が多く処方されているとし、患者の特性や病状の進行度に応じた使用を促すガイドライン作成や、これを支える診療報酬設定などを要望している
財政審は、我が国において高額な生活習慣病治療薬が多く処方されているとし、患者の特性や病状の進行度に応じた使用を促すガイドライン作成や、これを支える診療報酬設定などを要望している
 
▼「患者の状態像にそぐわない20対1病床への転換」防⽌のために医療必要度の要件(現在、療養病棟入院基本料1では医療区分2・3の患者割合が80%以上とされている)の厳格化等や、介護医療院について、⼈員配置や費⽤⾯での効率化が進むような報酬・基準を設定する。療養病床の⼊院患者のうち医療の必要度の低い患者について在宅医療などで対応を進めるような改定内容とする
医療法上の看護配置などを満たさない医療療養(いわば25対1)が、報酬の高い医療療養20対1へ安易に移行することは好ましくないとして、20対1医療療養(療養病棟入院基本料1)の施設基準厳格化が必要と指摘している
医療法上の看護配置などを満たさない医療療養(いわば25対1)が、報酬の高い医療療養20対1へ安易に移行することは好ましくないとして、20対1医療療養(療養病棟入院基本料1)の施設基準厳格化が必要と指摘している

 
 また10月26日の経済財政諮問会議では、民間議員から、7対1病床の基準:要件の厳格化などのほか「透析医療の実態に応じて診療報酬の適正化を図る」「保険者などによる糖尿病患者の重症化予防を促進する」という、かなり具体的な提言が行われています。

透析の医療費、透析予防への取り組みには大きな地域差があり、経済財政諮問会議の民間議員は「是正」(医療費の養成、積極的な予防推進)を行うべきと強く求めている
透析の医療費、透析予防への取り組みには大きな地域差があり、経済財政諮問会議の民間議員は「是正」(医療費の養成、積極的な予防推進)を行うべきと強く求めている
 
 7対1病床の施設基準の1要件となっている「重症度、医療・看護必要度の基準を満たす患者割合(重症患者割合) 25%以上」については、中医協総会で厳格化を強く求める支払側委員と、「累次の改定で混乱した現場が、ようやく沈静化しつつある」として厳格化に強く反対する診療側委員との間で意見に大きな隔たりがあります(関連記事はこちら)。

また、入院医療の技術的課題を集中的に検討する「入院医療等の調査・評価分科会」(中医協の下部組織)では、「7対1と10対1とで重症患者割合の活用方法が異なっている(7対1では施設基準、10対1では加算)ために分布状況が大きく異なっており、評価指標としての妥当性を検証する必要がある」「医療現場の負担軽減を図るために、重症度、医療・看護必要度の評価票に基づく計算方法と、診療報酬請求区分に基づく計算方法との検証を行う」方針を固めています(関連記事はこちらこちら)。

7対1では、施設基準の規定されたカットオフ値である25%ギリギリの病院が圧倒的に多い(上段)が、10対1では、加算で段階的に評価されるため看護必要度該当患者割合は比較的2項分布に近くなっている(下段)
7対1では、施設基準の規定されたカットオフ値である25%ギリギリの病院が圧倒的に多い(上段)が、10対1では、加算で段階的に評価されるため看護必要度該当患者割合は比較的2項分布に近くなっている(下段)
 
こうした中医協論議に、財政審や経済財政諮問会議の意見・提言がどのように影響するのか、「改定論議の俎上に上げられるか」も含めて、今後の中医協などの議論に注目が集まります。

 

 

MW_GHC_logo

 

【関連記事】

医療費増を高齢化の範囲に抑えるため、2%台半ば以上のマイナス改定を―財政審(1)
社会保障費、2018年度予算では5000億円の伸びに抑えるだけでなく、さらに努力を—経済財政諮問会議
2018年度改定、医療費の伸び、国民負担など考慮せよ—骨太方針2017を閣議決定、ここでもプラス改定を牽制
2018年度診療報酬改定で入院基本料の報酬水準や要件など検討せよ—経済財政諮問会議で骨太方針2017素案
紹介状なし外来患者の定額負担、500床未満の病院にも拡大の可能性—経済財政諮問会議
2018年度同時改定、「国民の負担増を考慮せよ」とプラス改定論議を牽制—財政審

臓器移植後の長期入院、患者からの「入院料の15%」実費徴収禁止の対象に―中医協総会
要介護者への維持期リハ、介護保険への完全移行「1年延期」へ―中医協総会(2)
回復期リハ病棟のアウトカム評価、次期改定で厳格化すべきか—中医協総会(1)
統合失調症治療薬クロザピン使用促進に向け、精神療養の包括範囲を見直し—中医協総会(2)
向精神薬の処方制限を2018年度改定で強化、薬剤種類数に加え日数も制限へ—中医協総会(1)
医療安全管理部門への「専従医師」配置を診療報酬で評価すべきか―中医協総会(2)
医療体制の体制強化で守れる命がある、妊婦への外来医療など評価充実へ―中医協総会(1)
抗菌薬適正使用に向けた取り組みや医療用麻薬の投与日数をどう考えるか—中医協総会(2)
小児入院医療管理料、がん拠点病院加算と緩和ケア診療加算を出来高評価に—中医協総会
レセプトへの郵便番号記載、症状詳記添付の廃止、Kコードの大幅見直しなど検討—中医協総会
認知症治療病棟でのBPSD対策や入退院支援の在り方などを検討—中医協総会
2018年度から段階的に診療報酬請求事務の効率化や、診療データ活用などを進める—中医協総会
地域包括ケア病棟、「病院の規模」や「7対1の有無」などと関連させた議論に—中医協総会(1)
医療療養2、介護医療院などへの移行に必要な「経過措置」を検討—中医協総会
オンラインでのサービス担当者会議などを可能にし、医療・介護連携の推進を—中医協・介護給付費分科会の意見交換
要介護・維持期リハビリ、介護保険への移行を促すため、診療報酬での評価やめるべきか—中医協・介護給付費分科会の意見交換(1)
複数医療機関による訪問診療を認めるべきか、患者の状態に応じた在宅医療の報酬をどう考えるか—中医協(1)
かかりつけ薬剤師指導料、対象患者は高齢者や多剤処方患者に絞るべきか—中医協総会(2)
生活習慣病の重症化予防、かかりつけ医と専門医療機関・保険者と医療機関の連携を評価―中医協総会(1)
訪問看護、2018年度同時改定でも事業規模拡大などが論点に―中医協・介護給付費分科会の意見交換(2)
医療機関での看取り前の、関係者間の情報共有などを報酬で評価できないか―中医協・介護給付費分科会の意見交換(1)
7対1・10対1入院基本料、看護配置だけでなくパフォーマンスも評価する報酬体系に―中医協総会(1)
主治医機能に加え、日常生活から在宅までを診る「かかりつけ医機能」を評価へ―中医協総会(1)
2018年度診療報酬改定に向け、臨床現場でのICTやAIの活用をどう考えるか―中医協総会(1)
2018年度改定に向け入院医療の議論も始まる、機能分化に資する入院医療の評価を検討―中医協総会(1)
2018年度改定に向けた議論早くも始まる、第1弾は在宅医療の総論―中医協総会

入院時食事療養費の細分化や委託費高騰などで、給食部門の収支は極めて厳しい—入院医療分科会(2)
短期滞在手術等基本料3、2018年度改定で4つのオペ・検査を追加へ—入院医療分科会(1)
ICU、施設数・ベッド数の減少とともに病床利用率も低下傾向—入院医療分科会(2)
救急医療管理加算、総合入院体制加算などの見直し論議スタート—入院医療分科会(1)
DPCデータ用いた重症患者割合の測定、看護業務効率化につながる可能性—中医協・基本小委
地域包括ケア病棟、自宅等からの入棟患者の評価を充実へ—入院医療分科会(2)
看護必要度、急性期の評価指標としての妥当性を検証せよ—入院医療分科会(1)
療養病棟、リハビリ提供頻度などに着目した評価を検討―入院医療分科会(3)
看護必要度該当患者割合、診療報酬の算定状況から導けないか検証―入院医療分科会(2)
DPCデータの提出義務、回復期リハ病棟や療養病棟へも拡大か―入院医療分科会(1)
入院前からの退院支援、診療報酬と介護報酬の両面からアプローチを—入院医療分科会(3)
地域包括ケア病棟、初期加算を活用し「自宅からの入院患者」の手厚い評価へ—入院医療分科会(2)
看護必要度該当患者割合、7対1と10対1で異なっている活用方法をどう考える—入院医療分科会(1)
療養病棟、医療区分2・3患者割合を8割・6割・4割ときめ細かな設定求める意見も—入院医療分科会
回復期リハ病棟、「退院後のリハビリ提供」の評価を検討—入院医療分科会(2)
地域包括ケア病棟、「自宅からの入棟患者」割合に応じた評価軸などが浮上—入院医療分科会(1)
看護必要度、2018年度改定だけでなく将来を見据えた大きな見直しを行うべきか—入院医療分科会
退院支援加算、「単身高齢者などへの退院支援」ルールを求める声—入院医療分科会(3)
地域包括ケア病棟、機能に応じた「点数の細分化」案が浮上か—入院医療分科会(2)
看護必要度割合は7対1病院の7割で25-30%、3割の病院で30%以上—入院医療分科会(1)
病棟群単位の届け出を行わない理由や、看取りガイドラインの活用状況など調査—中医協総会(2)
5月から夏にかけ一般病棟や退院支援を、秋から短期滞在手術やアウトカム評価などを議論—入院医療分科会

Pocket