医療費増を高齢化の範囲に抑えるため、2%台半ば以上のマイナス改定を―財政審(1)



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 高齢化や医療技術の高度化により診療報酬総額は増えていく中で、診療報酬プラス改定は「単価」を引き上げ、さらなる医療費を招く。マイナス改定を行っても診療報酬総額は増えるため、医療機関の増収は確保される。医療費の伸びを高齢化の範囲に抑え、国民皆保険の持続可能性を確保するために、「2%台半ば以上」のマイナス改定が必要である—。

 財政制度等審議会の財政制度分科会が10月25日、こういったとりまとめを行いました。ここでは改定率に関する財政審意見を紹介し、具体的な提案内容については別稿でお伝えいたします。

物価・賃金水準に比べ、累次の改定で診療報酬は高水準

 保険医療機関の収入の大半は診療報酬ですが、公定価格であるため定期的(原則2年に一度)な見直し(診療報酬改定)が必要となります。具体的には、▼医学・医療水準の高度化への対応▼医療現場の課題解消に向けた対応▼物価や賃金動向の変動への対応―などが診療報酬改定の重要な目的と言えます。物価や賃金が上昇する中で診療報酬が引き上げられなければ、医療機関経営が立ち行かなくなる(医療従事者の給与増を行分ければ人材確保ができない)ためです。

この点について財政制度分科会は、「累次の改定によって診療報酬本体の水準は、物価・賃金の水準に比べて高くなっている」と指摘。
財政審2 171025
財政審3 171025
 
さらに、▼診療報酬総額(医療費の総額)は高齢化・医療技術の高度化により毎年増加しており、国⺠負担の増加を抑制する観点からは診療報酬単価を抑制することが必要▼診療報酬改定が⼀定程度マイナスであったとしても、診療報酬総額は増加するため、医療機関の増収は確保される—ことも強調。

現在、医療費は年間2.5%程度のペースで増加していますが、こうした状況を踏まえて医療費の伸びを⾼齢化などの範囲内とし、国民皆保険の持続可能性を確保するために、1回あたり「2%半ば」以上のマイナス改定が必要と訴えています。
財政審1 171025
 
一方で、医療技術の高度化などに対応するためには、相応の財源、つまりプラス改定が必要となります。

今後、年末の予算編成過程に向けて「改定率」に関する攻防が各所で続けられ12月下旬に改定率が決定されます。

 

 

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