7対1などの重症患者割合、看護必要度と診療報酬請求区分との相関を検証し、負担軽減を進めよ—日病協



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 7対1病棟などの施設基準となっている重症患者割合(重症度、医療・看護必要度の基準を満たす患者割合)について、現在の「重症度、医療・看護必要度」による測定方法と、「診療報酬請求区分」による測定方法とで相関があるかどうかなどの検証を進めるべき—。

全国公私病院連盟や国立大学附属病院長会議、日本病院会、全日本病院協会など14の病院団体で構成される日本病院団体協議会は9月21日に緊急記者会見を開催。原澤茂議長(全国公私病院連盟常務理事、埼玉県済生会支部長、埼玉県済生会川口医療福祉センター総長)と山本修一副議長(国立大学附属病院長会議常置委員長、千葉大学医学部附属病院長)が、このような見解を明らかにしました。

また2018年度の次期診療報酬改定では、現場の混乱を避けるために、「重症度、医療・看護必要度」による測定方法と「診療報酬請求区分」による測定方法との選択制を認めてはどうかとも提案しています。

9月21日の緊急記者会見を行った、日本病院団体協議会の原澤茂議長(全国公私病院連盟常務理事、埼玉県済生会支部長、埼玉県済生会川口医療福祉センター総長、向かって右)と山本修一副議長(国立大学附属病院長会議常置委員長、千葉大学医学部附属病院長、向かって左)
9月21日の緊急記者会見を行った、日本病院団体協議会の原澤茂議長(全国公私病院連盟常務理事、埼玉県済生会支部長、埼玉県済生会川口医療福祉センター総長、向かって右)と山本修一副議長(国立大学附属病院長会議常置委員長、千葉大学医学部附属病院長、向かって左)

現場の混乱も考慮し、2018年度改定では測定方法の「選択」を認めてはどうか

診療報酬調査専門組織「入院医療等の調査・評価分科会」(以下、入院医療分科会)において、2018年度の入院医療改革に関する検討が進められており、「重症度、医療・看護必要度」(以下、看護必要度)も重要検討課題に据えられています。

現在、7対1病棟では、入院患者について毎日、看護必要度のABC項目それぞれを測定し、▼A項目2点以上・B項目3点以上▼A項目3点以上▼C項目1点以上—の患者(重症患者)割合については「25%以上でなければならない」という施設基準が定められています。また10対1病棟では、「毎日測定する」ことが義務付けられ、重症患者割合が一定以上であれば加算で評価されます。

入院医療分科会では、この評価手法が異なる点をどう考えるかという論点を示したほか、「測定方法の妥当性」も検討課題の1つとしています。重症患者の測定は、上記のとおり「▼A項目2点以上・B項目3点以上▼A項目3点以上▼C項目1点以上」とされていますが、医療現場にとって毎日の測定が相当な負担になっており(とくに病棟の看護師、医事課、さらにC項目追加で医師の負担も増大)、これを「軽減してほしい」との要望が多数あります。

そこで入院医療分科会では、診療報酬請求区分と看護必要度A・C項目との解析を行い、現在の「看護必要度に基づく重症患者割合」の測定結果と、「診療報酬請求区分に基づく重症患者割合」の測定結果とを比較し、両者にどのような分布の違い・相関関係があるかを検証することを決定しました。仮に、両者に一定の相関が認められれば、診療報酬請求区分による重症患者割合を施設基準として設定し、現場の負担を軽減していくことも期待できます(診療報酬請求区分は、DPC病院であればEF統合ファイルから抽出可能)(関連記事はこちら)。

看護必要度の各項目と、診療報酬の項目には、関連の深いもの(ファイ係数が高い、0.7以上)ものから、関連の薄いもの(ファイ係数が小さい、0.3未満)までさまざまある
看護必要度の各項目と、診療報酬の項目には、関連の深いもの(ファイ係数が高い、0.7以上)ものから、関連の薄いもの(ファイ係数が小さい、0.3未満)までさまざまある
いくつかの診療報酬を組み合わせることで、看護必要度の項目との関連がより深くなることもあり、そういった工夫を随所で行う
いくつかの診療報酬を組み合わせることで、看護必要度の項目との関連がより深くなることもあり、そういった工夫を随所で行う

 
この検証に対し、入院分科会では一部委員から「検証する意味がない」との批判がありますが、9月21日の記者会見で日病協の山本副議長は「現場の負担軽減につながることを期待したい。是非、進めるべきである」との考えを明確にしました。9月15日の記者会見において原澤議長の発言(「検証は進めるべきだが、2018年度診療報酬改定での置き換えは無謀」と受け取ることが可能)から、「日病協は消極的」と誤解を受ける可能性があったため、緊急記者会見を開き「日病協は検証や負担軽減に積極的に取り組むべきと考えている」との姿勢を改めて明確にしたものです。

もっとも、2018年度診療報酬改定で一気に「診療報酬請求区分に基づく重症患者割合の測定」に移行するとなれば、現場に混乱が起こる可能性も考えられます。山本副議長はこの点を踏まえ、現在の「看護必要度に基づく重症患者割合」の測定結果に加えて、「診療報酬請求区分に基づく重症患者割合」の測定結果を『新たな選択肢』とし、「医療機関が自ら選択できる」ような方向としてはどうかと提案しています。具体的な選択方法については、これからの議論になりますが、例えば病院長が「自院では医療現場の負担軽減を進める。このため診療報酬請求区分での測定方法とする」といった判断が考えられるのではないかともコメントしています。

  

 

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