地域包括ケア病棟の2分論、少なくとも2017年度データを見てから議論すべき—日病協



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 中央社会保険医療協議会などでは、地域包括ケア病棟について、例えば「在宅で急変した患者を多く受け入れている病棟」と「急性期後の患者を多く受け入れている病棟」などに2分する議論が出ているが、現段階での議論は時期尚早である。少なくとも2017年度のデータを見てから議論すべきではないか—。

 全国公私病院連盟や国立大学附属病院長会議、日本病院会、全日本病院協会など13の病院団体で構成される日本病院団体協議会では、現時点ではこういったスタンスをとっていることが、18日に開催された定例記者会見で明らかにされました。

8月18日の日本病院団体協議会・代表者会議後に記者会見に臨んだ原澤茂議長(全国公私病院連盟常務理事、埼玉県済生会支部長、埼玉県済生会川口医療福祉センター総長)
8月18日の日本病院団体協議会・代表者会議後に記者会見に臨んだ原澤茂議長(全国公私病院連盟常務理事、埼玉県済生会支部長、埼玉県済生会川口医療福祉センター総長)
8月18日の日本病院団体協議会・代表者会議後に記者会見に臨んだ山本修一副議長(国立大学附属病院長会議常置委員長、千葉大学医学部附属病院長)
8月18日の日本病院団体協議会・代表者会議後に記者会見に臨んだ山本修一副議長(国立大学附属病院長会議常置委員長、千葉大学医学部附属病院長)

認知症治療病棟、急性期対応を行うが、9割の患者は在院日数61日以上

2016年度改定直後のデータでは、現状を反映していない可能性も

 地域包括ケア病棟(病室含む、以下同じ)は、(1)急性期からの受け入れ(post acute)(2)在宅・生活復帰支援(3)緊急時の受け入れ(sub acute)―の3機能を合わせ持つ病棟・病室として、2014年度の診療報酬改定で創設されました。

 2018年度の診療報酬改定に向けて、中医協や下部組織である「入院医療等の調査・評価分科会」で議論が進んでいますが、その中で「機能に応じた2分論」が浮上しています。これは、厚生労働省の調査から、▼自院や他院の急性期病棟からの受け皿(前者55.4%、後者15.8%)として活用している病院もあれば、5.4%と少数派ながら「在宅医療の後方支援として、急変時などの受け皿」として活用している病院もある▼「自宅や特別養護老人ホームなどから入棟した患者」と「それ以外の患者」とを比較すると、前者で「患者の状態が不安定で急性期治療を行っているので入院継続が必要」という割合が高い—ことなどが分かったことから、浮上したものです(関連記事はこちらこちらこちら)。

この点について日病協の代表者会議では、「厚労省の示したデータは、手術と麻酔を出来高評価とした2016年度の前回診療報酬改定直後のもので、病院側が十分に改定内容に対応できておらず、現状を適切に反映していない可能性がある。少なくとも、改定から1年を経過した2017年度のデータを見てから機能に応じた評価が必要かといった議論をすべきではないか」という意見が多数出ていることが、原澤茂議長(全国公私病院連盟常務理事、埼玉県済生会支部長、埼玉県済生会川口医療福祉センター総長)と山本修一副議長(国立大学附属病院長会議常置委員長、千葉大学医学部附属病院長)から明らかにされました。

入院医療分科会では、2016年度・2017年度の2度に分けて、2016年度改定後の状況を調査しており、2017年度調査の結果は今秋に報告されます。地域包括ケア病棟の2分論を含めた見直し論議は、秋以降に本格化すると見られます。

 
なお、日病協では2018年度診療報酬改定に向けた第2回要望の検討も進めています。現在、各団体からの要望を受け、▼急性期病棟(主に7対1・10対1)▼地域包括ケア病棟▼精神病棟▼慢性期病棟▼医療介護連携(訪問看護やリハビリなど)―の5つの柱に沿って取りまとめ作業を行っている最中で、原澤議長は「11月末の代表者会議で取りまとめる方向で検討している」ことを明らかにしましたが、医療経済実態調査の公表時期如何によっては少し遅れる可能性もあります(関連記事はこちら)。

 

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