機能強化型相当の訪問看護を実施する病院、介護報酬の訪問看護費を引き上げよ—日看協



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 機能強化型訪問看護ステーション相当の訪問看護提供体制を有し、重度者や頻回入院などの困難事例に対応可能な病院については、介護報酬の訪問看護費を一定の要件下で引き上げるべきである。看護小規模多機能型居宅介護(看多機)のサービス拠点を増やすために、サテライト型の看多機を認めるべきである—。

 日本看護協会は10日、厚生労働省老健局の蒲原基道局長(当時)に、このような内容を盛り込んだ2018年度介護報酬改定に向けた要望書を提出しました(日看協のサイトはこちら)(関連記事はこちらこちら)。

緊急入院にも対応できる「病院からの訪問看護」の推進を

 厚労省に宛てた要望は、大きく次の6点です。

(1)訪問看護サービスの安定的供給と迅速な対応体制の整備
(2)看護小規模多機能型居宅介護の整備促進と機能強化
(3)特別養護老人ホームにおける医療ニーズ対応の機能強化
(4)介護保険施設における多職種協働による自立支援のケアの評価
(5)医療ニーズ等を踏まえた適時適切なケアマネジメントの推進
(6)介護医療院の創設趣旨に即した人員・施設基準の整備

 このうち(1)の訪問看護については、▼ICTを活用した死亡診断において、訪問看護師が医師への情報提供を行なった場合にターミナルケア情報提供料として評価する▼機能強化型訪問看護ステーション相当の体制を有し、重度者や頻回入院などの困難事例に対応可能な病院について訪問看護費を引き上げる▼緊急時訪問看護加算の評価を引き上げる▼特別管理加算対者への緊急訪問時における夜間・早朝加算、深夜加算について、「緊急訪問の都度算定できる」ようにする(現在は月初回の緊急時訪問は加算が算定できない)▼訪問看護ステーションからの理学療法士などの訪問について、「看護師との共同によるりハビリ実施計画の作成」「看護師によるアセスメントの実施」などを運営基準に明記する—よう具体的に要望しています。

とくに「病院からの訪問看護」について、日看協は「人材・物品などを豊富に有しており、緊急・頻回の入院に対応しやすいとうアドバンテージを活かし、地域の事業所と連携して訪問看護に取り組む病院の拡大を図ることが必要」との考えを説明しています。2016年に日看協が行った調査では、訪問看護を提供する病院のうち「24時間対応体制がある」のは26.5%、「自院の退院患者以外への訪問も行っている」のは29.8%、「在宅看取りを行っている」のは26.9%にとどまっており、報酬の引き上げによって緊急対応や看取り対応に力を入れる病院が増えることが期待されます(関連記事はこちらこちら)。

看多機の整備に向けて、サテライト型の認可や加算の新設を

また(2)の看多機は、医療ニーズの高い要介護高齢者の「在宅限界」を高めることが狙って、2012年度に「小規模多機能型居宅介護」(小多機)と「訪問看護」の複合型サービスとして創設されたものですが、2016年4月時点で、事業所数は318、利用者数は5100人にとどまっています。このため、日看協は▼サテライト型を認める▼事業開始時支援加算を2021年度の次々回改定まで延長する▼訪問介護要員を加配し、訪問による生活支援強化を「訪問介護体制強化加算」として評価する—ことで拠点を整備するべきと主張。さらに、「緊急的な医療対応に向け、宿泊だけでなく『通所』の時間帯にも事業所内での医師の往診を認める」ことで、より医療ニーズの高い利用者へのサービス提供を確保し、在宅限界をさらに高められると主張しています。

ただし、2018年度介護報酬改定について議論する社会保障審議会・介護給付費分科会ではサテライト看多機について「人員基準の緩和が行われ、小多機との違いがさらに見えなくなる」との反論(鈴木邦彦委員:日本医師会常任理事)も出ており、厚労省の判断に注目が集まります(関連記事はこちら)。

多職種共同による「排泄自立」支援を評価すべき

一方、(4)の多職種共同に関しては、▼経口移行加算・経口維持加算の評価の引き上げ▼排池自立支援加算(排池自立支援について、看護職員がアセスメントし多職種協働で自立支援計画を立て、中長期的に取り組むことを評価)の新設―を要望。

(5)のケアマネジメントに関しては、▼医療的ケアマネジメント加算(▽医療・看護の基礎資格を有し、ケアマネ実務経験年数1年以上の者によるケアプラン策定▽併設・外部事業所と連携し、医療職の専門的見地からケアプラン策定への助言が得られる体制確保―を評価)の新設▼特定事業所集中減算の廃止―を求めています。

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