新規開設や増床など、許可前から機能などを把握し、開設時の条件などを検討—地域医療構想ワーキング



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 地域で、新規開設や増床を予定している病院がある場合には、開設許可などを待たずに、地域医療構想調整会議への出席を求め、どのような医療機能を担う予定なのかなどを把握し、例えば過剰な機能への参入を予定している場合などには「開設許可に当たっての条件付与」などを検討する必要がある—。

6月22日に開催された地域医療構想に関するワーキンググループ(医療計画等の見直しに関する検討会の下部組織以下、ワーキング)では、このような点について確認を行いました。

調整会議には「定期開催」と「臨時開催」、両者で地域の状況を把握

地域医療構想調整会議(以下、調整会議)では、毎年の病床機能報告結果などをもとに、地域医療構想の実現に向けて、地域の医療機関の自主的な機能分化などを調整していきます(定期開催)。厚労省は調整会議の適切な開催を担保するため、都道府県に対して▼開催状況▼データ共有の状況(未報告医療機関への対応や、報告内容の経年比較など)▼具体的な機能分化・連携に向けた取り組み(心血管疾患医療体制における役割や、新公立病院改革プランに則った役割など)―について、国(厚生労働省)へ四半期ごとに報告するよう求める考えです(関連記事はこちらこちら)。

 
ところで、地域においては断続的に新規の病院開設や増床なども行われ、これらは既存の病床機能報告データなどには含まれません。これを放置すれば、地域医療構想の実現に向けた計画・議論が大きく狂ってしまうため、新規開設や増床などを行う医療機関については、調整会議で常に情報共有しておく必要があります(臨時開催)。

この点、厚労省医政局地域医療計画課の担当者は、「開設計画などが判明した場合には、『開設等の許可を待たず』に、調整会議への出席を求め、▼新病院や増床病床で担う医療機能の方向性▼当該機能を担う上での、雇用計画や設備整備計画―について確認する」よう、都道府県に求める考えです。

確認する中で「地域で不足している回復期機能を担おうと考えている」ことなどが判明すれば、円滑な開設許可を出すことになりますが、仮に「地域では急性期が過剰なようだが、あえて急性期機能を担う新病院を開設したい」といった計画が明らかになった場合にはどうすればよいのでしょう。この点、厚労省は、都道府県知事が「『不足する機能』の医療を提供することを条件に開設を許可する」といった条件付与を検討するよう求めています(医療法第7条第5項)。

この点に関連して中川俊男構成員(日本医師会副会長)は、【基準病床数】>【既存病床数】>【2025年の病床の必要量】となっている地域において、遠方から「病床過剰地域でないので、新規開設をする」との要望が出されたときにどう対応すべきか、という問題提起を行いました。中川構成員は「病床の必要量よりも既存病床が多くなっている(2025年には過剰となる)という点を持って、開設申請を却下すべき」と求めましたが、医療法第7条第4項では「小僧設備、人員配置の要件を満たす場合には、許可しなければならない」旨が規定されており、単純に「2025年に病床過剰になる」ことを理由とする不許可(却下)は難しそうです。もっとも、調整会議での議論を経て、上記の「不足する機能」を提供するよう条件を付与することなどが考えられそうで、個別ケースごとに判断していく必要があるでしょう。

 
なお、厚労省は、既存医療機関が(a)診療体制の変更や、統廃合などによって4機能に大きな変更が見込まれる場合(b)前年の報告内容と異なる報告をしている場合—にも、調整会議の臨時開催によって、状況説明を求めるよう依頼しています。

例えば、A病院が「2017年に回復期、6年後の2023年に急性期」などと報告している場合、急性期が過剰になる場合には、都道府県知事は当該医療機関に機能転換の命令(対公的医療機関)・要請(対民間医療機関)を行えます。しかし、「2016年に回復期、2022年に回復期」と報告したB病院が、翌年に「2017年に急性期、2023年に急性期」と報告した場合には、仮に急性期が過剰であっても機能転換命令などは行えません(法律の立て付け上不可能)。しかし、実質的にはA病院もB病院も「過剰な急性期」を担うことを表明しているため、厚労省は(b)のように「調整会議への参加、説明を求める」ことが必要との整理を行っているのです。

慢性期が過剰となる地域、個別病院の入院患者像などを把握せよ

6月21日のワーキングでは、慢性期機能について「病床機能報告内容」と「地域医療構想」との比較を行い、次のような検討を行う方針も確認されました。

(1)慢性期機能(報告結果、以下同)が、病床必要量以下である場合:慢性期・在宅医療・介護施設を一体的に整備していくための検討を行う(関連記事はこちらこちらこちら

(2)慢性期機能から介護療養病床を除いた結果が、病床必要量以下である場合:介護療養病床の今後の役割(医療療養などに転換するのか、介護医療院に転換するのか)をまず確認し、次いで、医療療養や一般病床(13対1・15対1)の役割を確認する

(3)慢性期機能から介護療養病床を除いてもなお、病床必要量より多い場合:介護療養病床・医療療養病床の役割を確認し、さらに一般病床(13対1・15対1)の役割を確認する

報告結果から慢性期病床(さらに介護療養の内数)と必要病床数を比較し、地域での対応を検討する
報告結果から慢性期病床(さらに介護療養の内数)と必要病床数を比較し、地域での対応を検討する
 
このうち(3)は、「慢性期が過剰になっている」地域ですが、個別療養病床などにおける患者の状況(医療区分、退院先など)を見て、「真に慢性期機能を果たしている」病院(例えば医療区分2・3の患者を多く受け入れ、死亡退院が多いなど)なのか、「介護施設への転換が適切である」病院(前者の逆)なのか、個々に把握していくことが求められます。急性期の機能分化ばかりに目が行きますが、(3)に該当する地域は現在219区域あり、早急な状況確認が必要です。
慢性期過剰地域では、個別医療機関の患者像(医療区分や退院先)を把握し、当該医療機関の機能を明らかにする必要がある
慢性期過剰地域では、個別医療機関の患者像(医療区分や退院先)を把握し、当該医療機関の機能を明らかにする必要がある

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