「認定がん医療ネットワークナビゲーター制度」、10月から新たな展開、次の3年間で1000人養成へ



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 「日本癌治療学会」は10月、がん患者やその家族の方々が必要とするがん治療や生活の情報について相談・支援する専門職を育成する「認定がんナビゲーター制度」を全国展開します。業務内容に応じて、専門家の資格を「シニアナビゲーター」と「ナビゲーター」の2つに区分。資格を新たに分けたことによって重要な業務内容を段階的に広げられるように配慮し、3年後に全国で約1000人の専門職の育成を目指します。

医療介入しない専門家

 認定がんナビゲーター制度は、がん医療を受けるために必要な医療関連情報、生活支援情報などに関する適切な助言、提案、支援を行うために十分な知識と素養を習得した「認定がん医療ネットワークナビゲーター」を認定する制度です。ナビゲーターは、がん医療に関する地域医療ネットワークに参加する施設・組織に所属していることが条件。日本癌治療学会が指定するe-ラーニングおよびセミナーの受講、実地見学を修了することで認定されます。

 主な業務は、地域のがん診療情報や医療サービス、臨床試験・治験の情報を適切に収集し、がん患者や家族の方々の求めに応じて情報提供することです。地域連携クリティカルパスの運用支援もします。医療への介入は行わず、がん患者や家族の相談に応じたり、がん拠点病院やその中の「認定がん専門相談員」に繋げたりする市井のサポーターのような役割を担います(関連記事『拠点病院は現場の使命感で支えられている、今こそ「医療の質評価」の普及を――九がん・藤院長』)。

新たに相談対応なしのナビゲーター

 認定がんナビゲーター制度は、厚生労働科学研究費補助金で2014年度から3年間のモデル事業を経て現在、3県(群馬、福岡、熊本)で展開しており、昨秋から約20人のナビゲーターが随時誕生し活躍しています。

 4月にモデル事業から全国展開に移行しましたが、10月から新たな体制で次のステップへ進みます。既に活動しているナビゲーターは、「シニアナビゲーター」に名称変更。現在はがん患者や家族の方々からの相談対応を業務のひとつとしていますが、これを除いた資格を新たに「ナビゲーター」として、シニアナビゲーターとすみ分けます。新たなナビゲーターは、具体的な相談に対応せず、主に医療施設などへの訪問活動を通じて、適切ながん情報の市民への周知やがん拠点病院の認定がん専門相談員などとの連携を行います。

 10月までは資格の移行期間として、10月20日開催の「第55回日本癌治療学会学術集会」で正式に新制度を告知し、本格始動します。新制度移行後は、3年で各都道府県に20人ずつのシニアナビゲーターおよびナビゲーターの育成を目指しています。

 認定がんナビゲーター制度は、米国のキャンサーナビゲーションに近い制度と言えます(関連記事『がん患者の不安と徹底して向き合い導く「キャンサーナビゲーション」って何だ?』)。キャンサーナビゲーションは、がんの闘病生活に必要な知識を有する専門家が、がん患者一人ひとりを個別にサポートする仕組みで、国内でも日本癌治療学会による今回の取り組みのほか、がん対策推進協議会でもその必要性が検討されており、がん患者とその家族をより手厚く支える仕組みが国内でも整備されつつあると言えそうです(関連記事『がん治療の専門家やキャンサーナビゲーターの育成・配置を―がん対策推進協議会』)。

この記事に関連したPR日米がん格差 「医療の質」と「コスト」の経済学』(アキよしかわ著、講談社、2017年6月28日発行)

watanabe がんサバイバーの国際医療経済学者、病院経営コンサルタント、データサイエンティストの著者による、医療ビッグデータと実体験から浮かび上がるニッポン医療「衝撃の真実」。
がん患者としての赤裸々な体験、米国のがん患者(マイケル・カルフーン氏、スティーブ・ジョブス氏)との交友を通じて、医療経済学者、そして患者の視点から見た日米のがん医療の違い、課題に切り込み、「キャンサーナビゲーション」という制度の必要性を訴える。こちらをクリックするとアマゾンのサイトにジャンプします
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