後発品の薬価、現在3区分の価格帯をさらに集約していくべきか—中医協・薬価専門部会



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 現在、3価格帯に集約されている同一成分の後発品について、2018年度の薬価制度改革においてさらに集約していくべきか。また中間年の薬価改定で一部品目の薬価を引き下げた場合、価格帯をどう考えていくか—。

 26日に開催された、中央社会保険医療協議会の薬価専門部会では、こうした点について意見交換を行いました。

4月26日に開催された、「第131回 中央社会保険医療協議会 薬価専門部会」
4月26日に開催された、「第131回 中央社会保険医療協議会 薬価専門部会」

新規収載の後発品価格、現在の「先発品の60%」よりも下げるべきか

 膨張する医療費の伸びを我々の負担できる水準に適正化するために、「同じ成分で効能効果も同一である後発品の使用を促進していく」ことが重視され、政府は▼2017年央に後発品の使用割合を数量ベースで70%以上とする(第1目標)▼2018年度から20年度末までのなるべく早い時期に80%以上とする(第2目標)―という2段階の目標値を設定しています。

 薬価・診療報酬の側面からも、この目標値達成に向けたアプローチが続けられており、昨今の薬価制度改革において、▼新規の後発品の価格を下げる(2016年度改定から、通常は先発品の60%、10品目を超える内用薬は50%に設定)▼多くの同一成分品目がある後発品の価格を集約する(2016年度改定から3価格帯)―などの措置が取られています(関連記事はこちら)。

 昨年(2016年)末に決定された薬薬価制度抜本改革の基本方針でも、後発品について「後発品企業の市場での競争促進」などが謳われており、26日の薬価専門部会では「後発品の薬価の在り方」について集中的な議論を行いました。厚労省保険局医療課の中山智紀薬剤管理官は、次の3つの論点を提示しています。

(1)新規後発品の薬価について、薬価調査で明らかになる乖離率(薬価と実勢価格との差)を踏まえ、▼長期収載品の薬価の在り方▼新規後発品の最近の上市傾向―なども考慮して検討してはどうか

(2)後発品の価格帯について、今後、さらなる集約を図る場合に「公平性」(価格が引き下げられるケースも、引き上げられるケースもある)も踏まえて、どう考えるか

(3)中間年における薬価改定によって後発品の一部品目が引き下げの対象となった場合、価格帯の在り方をどう考えるか

 このうち(1)については、「薬価調査結果」を待って議論する方針が確認されています。乖離率がいまだに大きいようであれば、「さらなる価格引き下げ」を求める声が強くなるでしょう。

 ただし製薬メーカー代表の立場で参画している加茂谷佳明専門委員(塩野義製薬株式会社常務執行役員)は「乖離率のデータは、過去に新規収載された品目のものであり、これから新規収載しようとする品目とは関係がない。それを根拠にすることに合理性はあるのか」と疑問を唱えるとともに、「新規後発品の価格は、2012年度・14年度・16年度と3回連続で引き下げられており、すでに適切な水準にある」とも述べ、慎重な検討を要請しています。

新規収載後発品の価格設定方法
新規収載後発品の価格設定方法
 

現在、「3価格帯」に集約されている後発品価格、さらに集約すべきか

 また(2)の価格帯を設定した背景には、「後発品の価格があまりに多様であり、国民や医療関係者の間に『信頼できるか』という疑問がある」との指摘があります。2016年度の前回改定後の状況を見ると、▼1価格帯が77.8%(改定前に比べて0.8ポイント増)▼2価格帯が18.1%(同2.0ポイント減)▼3価格帯が4.1%(同1.2ポイント増)―という状況です。

価格帯設定の効果が出ており、後発品成分の8割弱は1価格帯に集約されてきている
価格帯設定の効果が出ており、後発品成分の8割弱は1価格帯に集約されてきている
 

 相当程度、価格の集約が進んでいる状況が明らかになっていますが、中山薬剤管理官は「さらに集約を進めるべきか(つまり1価格帯・2価格帯にしていくべきか)」を議論してほしいと要望。あわせて、「さらなる集約を進めた場合には、価格引き上げとなる品目、科か書く引き下げとなる品目の分布が大きくなる。その辺も考慮して検討してほしい」とコメントしています。

 例えば、先発品A(228.10円)と同じ成分の後発品として▼B(144.70円)▼C(121.40円)▼D(95.80円)▼E(84.50円)▼F(84.30円)▼G(76.20円)▼H(64.90円)▼I(59.90円)―があったとします。現行ルールに照らすと、薬価は(i)BとCは124.00円(ii)D、E、F、Gは87.60円(iii)HとIは62.60円―に設定されます。この場合、「B、D、H」は価格が引き下げられているので、当該製品を製造販売するメーカーは有利に、また「C、E、F、G、I」は価格が引き上げられるので、当該製品を製造販売するメーカーは不利になります。価格帯を集約すると、この有利・不利の構図が変わり、また有利・不利の度合い(価格の引き上げ・引き下げ幅)が大きくなります。この点を踏まえた議論をしてほしいと中山薬剤管理官は要望しているのです。

スライド2
 

 支払側の吉森俊和委員(全国健康保険協会理事)と幸野庄司委員(健康保険組合連合会理事)は、「価格帯の集約によって、どの程度の品目が、どの程度価格引き下げ・引き上げとなるのか示してほしい」と求めています。

 この点、加茂谷専門委員は「薬価の大原則は『銘柄別』の設定である。価格帯の設定により、『安く販売すれば高い薬価が設定される』というモラルハザード的な現象が起きている点も改めて議論してほしい」と要請しました。

 なお、この問題に関連して中川俊男委員(日本医師会副会長)は、「価格帯を設定した背景には、後発品の品目数・銘柄数が多すぎること、後発品メーカーが多すぎることがあった。安定供給のためにも、後発品メーカーの体力増強が必要であり、『後発品メーカーの再編統合』を進めるべきと考えている。厚労省も努力してほしい」と主張しています。

毎年の薬価改定と、後発品の「価格帯」との関係をどう考えるべきか

 さらに(3)は、薬価制度抜本改革の基本方針で打ち出された「毎年の薬価改定」と(2)の「価格帯」との関係をどう考えるかという問題です。

 基本方針では、2年に一度の通常改定の中間年に「価格調査を行い、実勢価格との乖離が大きなものは薬価を引き下げる」よう求めています。このため、後発品の一部(例えば上記例のC)について乖離が大きいと判断され「薬価引き下げ」がなされると、価格帯が増えてしまう(上記であれば、(i)B124.00円(ii)Cは新薬価(iii)D、E、F、Gは87.60円(iv)HとIは62.60円―と4価格帯になってしまう)のです。

 この点について幸野委員は「3価格帯の大原則を守るべきであり、一部後発品の薬価が見なされた場合には、それを含めて価格帯も調整する必要があるのではないか」(上記例で言えばCの新薬価を踏まえて、BCDEFGHIの価格帯と薬価をそれぞれ設定しなおす)と指摘しました。

 これに対し中山薬剤管理官は、「幸野委員の指摘を踏まえると、全後発品の薬価を見なすことになってしまう。基本方針では『乖離の大きな品目の薬価を改定する』旨が指示されており、慎重な検討が必要である」とコメントしています。

後発品の使用促進により、2015年度には9412億円の薬剤費縮減効果

 なお中山薬剤管理官は、後発品の使用促進によって、2013年度には5500億円、15年度には9412億円の医療費適正化効果が生じていると推計されることを報告しています。

 これは、使用された後発品が「仮に先発品であった場合」の薬剤費と、実際の薬剤費との差額から導いたものです。

後発品への置き換えで、2015年度には9000億円を超える薬剤費縮減効果が出ている
後発品への置き換えで、2015年度には9000億円を超える薬剤費縮減効果が出ている
 

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