災害拠点病院、業務継続計画を立て、被災時を想定した訓練の実施を—厚労省



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 災害拠点病院の指定要件に、「業務継続計画を整備し、計画に基づいた、被災を想定した研修・訓練を実施すること」などを追加する―。

 厚生労働省は3月31日に、このような内容の通知「災害拠点病院指定要件の一部改正について」を発出しました(厚労省のサイトはこちら)。既に指定されている拠点病院についても、追加要件を満たしているか確認が行われます。

熊本地震の経験を踏まえ、事業継続計画(BCP)の重要性を再認識

 大規模な地震などの災害が発生したときに備え、各都道府県の定める医療計画には「災害時における医療」の確保に必要な事業が記載されます(5疾病・5事業および在宅医療の1つ)。そこでは、▼災害による重篤患者への救命医療などの高度の診療機能を有し、被災地からの患者を受入れ、広域医療搬送に係る対応などを行う「災害拠点病院」▼災害派遣チーム(DMAT)▼災害派遣精神医療チーム(DPAT)▼医療チーム(救護班)▼広域災害・救急医療情報システム(EMIS)▼さまざまな医療チームの派遣調整を行う「都道府県災害医療コーディネーター」▼災害医療コーディネーターのサポートとして小児・周産期医療に特化した「災害時小児周産期リエゾン」―の整備計画や目標などを設定することが必要となります。

 2018年度からは新たな医療計画がスタートすることを踏まえ、厚生労働省は計画作成の基本指針や関連通知を見直しており、例えば「都道府県災害医療コーディネーター」や「災害時小児周産期リエゾン」は、今般、新たに盛り込まれた体制です。

 この基本指針などの見直しに当たっては、厚労省の「医療計画の見直し等に関する検討会」で議論が行われ、そこでは熊本地震での経験(災害拠点病院でも事業継続計画の策定は3割に止まっていた)を踏まえて「被災しても、早期に診療機能を回復できるよう、業務継続計画(BCP:business continuity plan) の整備を含め、平時からの備えを行っていることが重要」との考え方が固められました(関連記事はこちら)。

 厚労省はこの旨を関連通知などに盛り込むと同時に、災害拠点病院の指定要件にも追加しました。具体的には、新たに次の3項目が運営体制要件に加えられました。

(1)被災後、早期に診療機能を回復できるよう、業務継続計画の整備を行っている

(2)整備された業務継続計画に基づき、被災した状況を想定した研修・訓練を実施する

(3)地域の2次救急医療機関・医師会、日本赤十字社などの医療関係団体とともに定期的な訓練を実施し、災害時に地域医療機関へ支援を行うための体制を整えている

医療計画見直しに係る厚労省医政局地域医療計画課長通知では、災害拠点病院において事業継続計画の策定割合などが評価指標例として提示されている
医療計画見直しに係る厚労省医政局地域医療計画課長通知では、災害拠点病院において事業継続計画の策定割合などが評価指標例として提示されている

 

 既存の運営体制要件として、▼24時間緊急対応し、災害発生時に被災地内の傷病者などの受け入れ・搬出が可能▼災害時に被災地からの傷病者の受け入れ拠点にもなれる▼DMATの保有▼救命救急センターまたは2次救急医療機関である―などとなり、また施設・設備要件として、▼ICUなどの救急診療に必要な部門▼耐震構造▼通常の6割程度を賄える自家発電機と、3日分の燃料備蓄▼衛星電話・衛星インターネットを利用できる環境▼患者が多数発生した場合の簡易ベッド▼3日分の飲料・食料▼ヘリコプターの離着陸場▼DMAT派遣に必要な緊急車両—などの整備が求められます。

 なお、厚労省は既指定の災害拠点病院についても、追加された3要件を満たしているかを確認する必要があると都道府県に指示しています。要件を満たしていない場合には、2019年3月までに整備・実施することを条件に、指定継続が可能です。

  

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