胃がんへの「FOLFOX療法」、保険請求を審査上認める―支払基金・厚労省



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 「フルオロウラシル、レボホリナートカルシウム、オキサリプラチン【注射薬】」の3剤併用を、医学的妥当性があると判断された場合「胃がんに対するFOLFOX療法」として投与することを審査上認める―。

 こうした審査情報を社会保険診療報酬支払基金が27日に公表しました(支払基金のサイトはこちら)。厚生労働省も、これに先立つ24日に、地方厚生局などにこの情報を通知し、審査上のトラブルが生じないよう求めています。

医療現場の要望に応えるため、審査における「柔軟な取扱い」を一定程度認める

 医薬品の保険診療における使用は、薬事食品衛生審議会で有効性・安全性が認められた傷病に対するケースに限定されます。医療安全の確保と、財源の適正配分を実現するためです。

 しかし医療現場においては、医学的・薬学的知見に照らして「薬食審で認められていない疾病にも一定の効果があると強く推測定される」ケースがあります。本来であれば、こうしたケースでも、改めて薬食審で効能追加などの手続きを踏む必要がありますが、疾病と闘う患者に一刻でも早く有用な医薬品を届けるために、1980年(昭和55年)に当時の厚生省保険局長が、例外(医薬品の適応外使用)を認める通知(いわゆる55年通知)を発出し、柔軟な取り扱いが行われています。

 支払基金は、審査の透明性や公平・公正性を確保するため、こうした「適応外使用を例外的に認める」事例について、医療関係者らに情報提供しています(支払基金の審査情報提供サイトはこちら)(関連記事はこちらこちら)。24日(支払基金は27日)には、次の適応外使用を審査上認めることが公表されました。がん治療における選択肢の拡大などが期待されます。

(1)▽「フルオロウラシル、レボホリナートカルシウム、オキサリプラチン【注射薬】」を、症状詳記などから医学的妥当性があると判断された場合、「胃がんに対するFOLFOX療法」の投与を審査上認める

(2)「インジゴカルミン注射液【注射薬】」を、「尿路損傷部位の検索または尿管口の位置確認」を目的に「静注または尿路内注入薬として使用」することを審査上認める

 

 (1)のフルオロウラシル(5-FU注250mg、同1000mgなど)、レボホリナートカルシウム(アイソボリン点滴静注用25mg、同100mgなど)、オキサリプラチン(エルプラット点滴静注液50mg、同100mg、同200mgなど)の3剤を併用する化学療法(3剤の頭文字をとってFOLFOXと呼ぶ)は、大腸がん治療の1手法として広く用いられています。

 今般、薬理作用に鑑みて「本療法を胃がん治療に用いる」ことが妥当と判断され、適応外使用が審査上認められることとなったものです。ただし、先進医療である「mFOLFOX6及びパクリタキセル腹腔内投与の併用療法」の適格基準を満たし、かつ同試験に参加中・参加希望の患者は対象外となります。症例を選び、適正にFOLFOX療法を実施することが求められます。

  

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