病院による在宅医療提供、設立母体で可否を定めることは問題―日病協・神野議長



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 公立病院による在宅医療提供の是非が厚生労働省の審議会などで議論されつつあるが、「地域医療構想調整会議」で地域の実情を踏まえて決めるべきであり、公的病院・民間病院といった設立母体で可否を決めることには多少問題があるのではないか―。

 全日本病院協会や全国公私病院連名、日本病院会など13の病院団体で構成される日本病院団体協議会の神野正博議長(全日病副会長)は、27日に開いた代表者会議後の記者会見で、このような見解を示しました。

 ただし「特定機能病院や地域医療支援病院、3次救急医療機関などの医療機関で在宅医療を提供することが適切か」という機能による切り口は検討に値するとの考えも述べています。

1月27日の日本病院団体協議会・代表者会議後に記者会見に臨んだ、神野正博議長
1月27日の日本病院団体協議会・代表者会議後に記者会見に臨んだ、神野正博議長

地域医療構想調整会議での本格議論控え「公立病院による在宅医療」が注目浴びる

 各都道府県では地域医療構想(構想)の策定が進められており、次の注目ポイントは「構想の実現に向けて、地域医療構想調整会議(調整会議)でどのような議論が進められるか」という点に移りつつあります。

 厚労省の「医療計画の見直し等に関する検討会」が昨年(2016年)末にまとめた意見にも、「調整会での議論の進め方」の一例が盛り込まれており、そこでは2016年度中に改革プラン策定が義務付けられている公立病院などの機能をまず明確にすることとされています(関連記事はこちらこちら)。ところで、改革プランのベースとなる新公立病院改革ガイドラインでは、「特に、中小規模の公立病院にあっては、介護保険事業との整合性を確保しつつ、例えば、在宅医療に関する当該公立病院の役割を示す(中略)など、地域包括ケアシステムの構築に向けて果たすべき役割を明らかにすべき」とされています(関連記事はこちら)。

 この記述をめぐり、1月18日の社会保障審議会・医療部会で中川俊男委員(日本医師会副会長)から、「民間医療機関が在宅医療を担うことができないなどの地域を除き、公的病院による在宅医療提供や地域包括ケア病棟設置の動きを積極的に行うことは避けるべき旨を明確にしてはどうか」との指摘が出されるなど、公立病院・公的病院の機能に関する議論が俄に熱を帯びてきています。

 この点について神野議長と原澤茂副議長(全国公私病院連盟常務理事)は、地域によって医療提供体制の状況は異なる(公立病院しかない地域では在宅医療も提供すべきであるし、逆に大都会では公立病院は在宅医療を担う必要性は少ない)ため、「本来は調整会議で議論すべき」という点を強調。さらに神野議長は、「公立病院・公的病院か、民間病院かなど、設立母体で(在宅医療提供の可否を)決めるのは多少問題があるのではないか」と述べた上で、「特定機能病院や地域医療支援病院、3次救急を担っている医療機関が在宅医療提供を担うことが適切か、という切り口はあるのではないか」との見解も示しています。また、仮に在宅医療提供のガイドラインなどが検討される場合には、「社保審の医療部会で議論することが適切ではないか」との考えも付言しました。

 なお神野議長は、「在宅医療提供には費用がかかることが分かっている。その点も覚悟した上で、費用の配分(例えば2018年度改定における財源配分)を議論してほしい」ともコメントしています。

2018年度改定に向けて、「病棟群の恒久化」を論理的に主張する

 また2018年度の診療報酬・介護報酬改定に向けた議論が前倒しで進められることを踏まえ(関連記事はこちらこちらこちらこちら)、原澤副議長は▼4-5月に大枠、総論的な第1弾の改定要望▼10-11月に各論に関する第2弾の改定要望―を示す考えを明らかにしました。

1月27日の日本病院団体協議会・代表者会議後に記者会見に臨んだ、原澤茂副議長
1月27日の日本病院団体協議会・代表者会議後に記者会見に臨んだ、原澤茂副議長

 その際、2016年度の前回改定に向けた要望に盛り込まれた「病棟群単位の入院基本料」の扱いが気になります。日病協では「恒久的な病棟群」を認めよと求めたのに対し、厚労省は「7対1から10対1に移行する際のワンクッション」として、時限的な病棟群を認めるに止めています。

 この点について神野議長は、▼地域包括ケア病棟との役割分担▼傾斜配置(1つの入院基本料の中で看護配置に傾斜を付ける)と比べた病棟群のメリット▼病棟間の患者移動▼患者像―などについて日病協の中で議論を踏まえ、「論理的に」病棟群を推し進めていく考えを強調しています。

 また原澤副議長は、「内科系の病院では、重症患者割合25%以上をクリアすることは難しい。私見であるが、『病棟群』の群はカッコ書きにしてもよいのではないかと考えている」と述べ、院内での機能分化を正面から進めるべきとの見解も披露しています。

 

 なお、27日の総合部会では、来年度、つまり2017年4月1日から、新議長に原澤茂・現副議長が、実務者委員長に池端幸彦氏(日本慢性期医療協会副会長)が就任することも了承されています。

  

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