2018年度からの医療計画・介護保険計画、実質的な「地域包括ケア計画」とせよ―厚労省・神田医政局長



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 厚生労働省が19日に、全国厚生労働関係部局長会議を開催しました。これは次年度(今回は2017年度)における厚生労働行政の重要事項を、都道府県の保健福祉担当者に2日間にわたって詳しく説明する会議です(厚労省のサイトはこちら)。

 医政局の重要事項について、厚生労働省医政局の神田裕二局長は(1)医療提供体制改革(2)医療安全対策(3)医療法などの改正―を中心に説明しました。

1月19日に開催された全国厚生労働関係部局長会議で厚生労働省医政局の施策について説明した、神田裕二局長
1月19日に開催された全国厚生労働関係部局長会議で厚生労働省医政局の施策について説明した、神田裕二局長

地域医療構想の実現、知事の権限行使状況を踏まえ「次の検討」も

 (1)の医療提供体制改革には、非常に広範な内容が含まれますが、▼医療計画▼地域医療連携推進法人―の2点を紹介しましょう。

 前者の医療計画については、2018年度の第7次計画から計画期間が6年に変更され、3年を単位とする介護保険事業(支援)計画とサイクルが揃うことになります。この点について神田局長は、「実質的に『地域包括ケア計画』と言えるものにすることが重要」と強調しました(関連記事はこちらこちら)。

2018年度(平成30年度)から第7次医療計画と第7期介護保険事業(支援)計画がスタートする。あわせて2018年度には診療報酬と介護報酬の同時改定も行われる。
2018年度(平成30年度)から第7次医療計画と第7期介護保険事業(支援)計画がスタートする。あわせて2018年度には診療報酬と介護報酬の同時改定も行われる。

 医療計画の一部となる「地域医療構想」がすでに39都道府県で策定されており、今後は構想の実現に向けた「地域医療構想調整会議」の議論が重視されます。神田医政局長は、「まず政策医療を担う医療機関の機能を明確化する。次いで、その他の医療機関が政策医療を担う医療機関とどのような関係を持つのかを踏まえて、その他の医療機関の機能を明確化する」という手順を説明。その際、「新しい機能に転換する場合には、構想と整合性がとれているかを確認することが重要」と指摘しています。

 また構想の実現は、調整会議における「関係者の話し合い」が基本となりますが、話し合いが成立しない、あるいは過剰な機能にあえて転換するような医療機関の発生も懸念されます。こうした場合には、都道府県知事が「公的医療機関に対して、不足する機能の医療を提供するよう指示」するなど一定の権限を行使することが可能となっています。神田医政局長は「都道府県知事の権限行使状況を見て、次の検討もする」との考えを明らかにしています(関連記事はこちらこちらこちら)。

地域医療構想の実現に向けた、都道府県知事の権限一覧
地域医療構想の実現に向けた、都道府県知事の権限一覧

 なお、構想実現に向けたインセンティブとして「地域医療介護総合確保基金」がありますが、神田医政局長は2017年度の配分について▼構想の策定状況を踏まえて必要なところに重点的に配分する▼在宅医療や医療従事者の確保については「不可欠なところ」に配慮した上で配分額を調整する▼国庫補助から基金に切り替えた項目について、国庫補助基準額を参考に標準事業例や標準単価などを作成し、これに基づいて配分する―との考えを示しています。

 

 また医療計画における5疾病5事業の1つにも位置づけられている災害医療に関連して、神田医政局長は「災害時の業務継続計画について、災害拠点病院の14.4%しか策定されていない。これは問題である。2017年度には業務継続計画策定促進の研修会を開くので、災害拠点病院や2次救急医療機関は積極的に参加してほしい」と要請しました。

地域医療連携推進法人は機能分化に向けた1つのツール

 地域医療連携推進法人は、かつて「いわゆる非営利ホールディングカンパニー型法人」と呼ばれていたもので、機能分化を進めるための1ツールという位置づけです。

地域医療連携推進法人制度の概要
地域医療連携推進法人制度の概要

 神田医政局長は、法人設立には▼患者紹介・逆紹介の円滑化▼医薬品・医療機器などの共同購入▼医師・医療機器の再配置―といったメリットがあることを紹介した上で、「こうしたメリットを手始めに、地域で各施設がどのような役割分担をしていくのかを『腹を割って話す』ための有力ツールになると思う」と述べ、2月上旬に政令を公布するほか、モデル定款やガイドラインに関する通知を発出する予定を示しました(関連記事はこちらこちら)。

厚労省の考える、地域医療連携推進法人を創設するメリット
厚労省の考える、地域医療連携推進法人を創設するメリット

 

 ところで新たな専門医制度の施行が1年間延期され(関連記事はこちらこちら)、昨年(2016年)暮れには日本専門医機構で新整備指針が策定されました。神田医政局長は「研修プログラムは機構が最終的に認定を行うが、事前に都道府県が地域医療に問題が生じないかをチェックすることになった。新整備指針を踏まえて『都道府県協議会』の運営などに関する通知を改めて行う。研修プログラムについて『重要な医療機関が漏れていないか』『定数に問題がないか』などを都道府県でチェックし、機構に返答することになるので準備を進めてほしい」と要請しています。

特定機能病院、今年(2017年)4月から外部監査委員会設置などが義務化

 (2)の医療安全については、特定機能病院のガバナンス確保が重要項目の1つにあげられます。東京女子医科大学病院や群馬大学医学部附属病院で重大な医療事故が生じたことを踏まえ、特定機能病院においては医療安全対策強化のための「承認要件見直し」が昨年(2016年)6月に行われています(関連記事はこちらこちらこちらこちら)。

特定機能病院において医療安全管理体制を強化(内部統制の強化、外部監査の強化)するとともに、医療法に「特定機能病院には高度な医療安全管理体制が求められる」旨の理念規定を置くことになった
特定機能病院において医療安全管理体制を強化(内部統制の強化、外部監査の強化)するとともに、医療法に「特定機能病院には高度な医療安全管理体制が求められる」旨の理念規定を置くことになった

 この点について神田医政局長は「すでに施行(2016年10月)されているものや、医療安全管理部門への専従医師配置など2018年4月まで経過措置がある項目もあるが、▼外部監査委員会の設置▼特定機能病院同士のピアレビュー実施▼高難度新規医療技術の導入プロセス明確化―などは2017年4月(この4月)施行となっている。しっかり確認してほしい」と都道府県担当者らに強く求めています。

特定機能病院の承認要件見直しについて、一定の経過措置が設けられている
特定機能病院の承認要件見直しについて、一定の経過措置が設けられている

 

 なお(3)の医療法などの改正については、18日に開かれた社会保障審議会・医療部会で内容が了承されており、別途、詳しくお伝えしているのでそちらをご参照ください。

  

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