孫正義から3分で一発OK引き出すプレゼン、資料作成8つの基本テクニック



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 あの孫正義氏が「一発OK」を連発したプレゼンテーションで話題の前田鎌利氏が、GHCに来社されました。プレゼン力アップの社員研修に講師としてお招きし、前田氏のプレゼンをお聞きし、そのテクニックを学び、実際に試してみたのですが、孫氏が一発OKを出す理由がよく分かりました。

左から3番目が前田鎌利氏
左から3番目が前田鎌利氏

 今回は研修の中で学んだ一部、社内プレゼンに用いる資料作成8つの基本テクニックについてご紹介させていただきます。

(1)シートは「4:3」

 最近のパワーポイントのシートは、初期設定だと「16:9」になっていることが多いです。こちらはハイビジョン対応の比率で、ハイビジョン画面に投影させるだけのプレゼンであればこちらの方がいいでしょう。ただ。院内のプレゼンでは紙印刷することも多々あり、「16:9」のままだと印刷がうまくいかないこともあります。そのため、少人数参加の院内プレゼンがメインであれば、基本は「4:3」のシートに設定しておきましょう。

(2)タイトルは13文字以内

 プレゼン資料、個別のシートそれぞれ、タイトルは重要です。タイトルには、これから話す内容が示されているわけですから、これを見て興味が湧けば聞いてもらえるし、興味が湧かなければ聞いてもらえません。

 人がパッと見て何が書かれているか分かる文字数は限られており、新聞では主見出し8文字と袖見出し13文字、ニュースサイトでは13文字であることが一般的です。日々、ニュースを配信しているメディアがそうであるように、プレゼンでも13文字が人間の限界と考えるのが妥当でしょう。これを超える文字数になると、タイトルを一目見て理解されず、せっかくの内容にまで耳を傾けてもらえない可能性が高いと心得ましょう。

(3)Zの法則

 人間の目の動きに着目することも重要です。人はプロジェクターで映し出される画面やパソコンの画面を見る際、ほとんど左上から右上を見て、次に左下から左下を見るという動きをするそうです。この動きが「Z」の文字と似ているので、「Zの法則」と言われています。

 インターネットのウェブサイトの多くは、ほぼこのことを意識して作られています。その上で、少し前の話ですが「3秒ルール」というのがあります。そのサイトがどういうサイトで何が売りなのか、3秒で分かるようにサイトをデザインしないと見てもらえないという法則を言い表したものです。プレゼンはそこまでシビアではありませんが、パッと見て何が示されているのか分かるよう、常にZを意識することが必要です。

(4)使用フォントは「HGP創英角ゴシックUB」

 多くの病院では、パソコンの基本ソフトに「ウィンドウズ」を活用されているかと思いますが、初期設定のフォントは推奨しないと前田氏は指摘します。文字の太さが細すぎて、見ている人の頭に入ってこなかったり、遠くから見る人が見えなかったりする可能性があるためです。そこで前田氏のオススメは「HGP創英角ゴシックUB」。基本ソフトが「マック」の場合は、「MSPゴシック」がオススメとのことです。

 ここ最近では、「メイリオ」を使われる方も多いようですが、前田氏によると少し文字の太さが足りないとのこと。未来を語るメッセージにはメイリオは最適とのことですが、現状の院内の数字などを強調したい際は、やはりより太い文字の方がいいようです。

左がHGP創英角ゴシックUB、右がメイリオ
左がHGP創英角ゴシックUB、右がメイリオ

(5)フォントサイズは「100~200」

 皆さんは普段のプレゼン資料作成で、どれくらいのフォントサイズを用いることが多いですか。筆者は20前後、表紙のタイトルなどを含めても40を超えることはあまりないのですが、前田氏の推奨はなんと「100~200」。最低でも50と断言するから驚きです。

 しかし、前田氏に言わせると、プレゼンの際はこれがベストのサイズ。というのは、そもそものスライドに文字を詰め込みすぎている傾向があるためで、パッと見て内容を理解してもらうのに、文章は必要ありません。文章にしているから文字数を小さくせざるをえないのが要因で、文章にしない努力をすることで、「最低でも50」という意味が理解できるようになります。

 また、資料作成の際に、編集画面でしか見ず、スライドショーにして確認しないことも、文字が小さくなりがちな要因の一つであると、前田氏は指摘します。確かに、スライドショーにすると「ちょっと物足りないかな」ということはよくあることのようなので、文字サイズに悩むことがあったら、こまめにスライドショーで確認してみたらいかがでしょうか。

(6)キーメッセージは真ん中より少し上

 プレゼンをする際、通常、聴講者は投影されるスライドを見上げることが多いです。参加者多数で立ち見の方がいることもあると思いますが、それでも「このプレゼンを聞いてもらいたい」というようなキーマンとなる先生は、遅れてきても前の方の席に座って聞かれることが多いのではないでしょうか。

 スライドを見上げる人にとっては、キーメッセージが真ん中より下にあると、とても窮屈な印象を受けてしまいます。すると、とたんにキーメッセージがネガティブに捉えられたり、頭に入ってこなかったりすることにもつながりかねません。

(7)ポジネガで色とフォントを使い分ける

 とてもキレイでカラフルなスライドを見かけることもあるかと思いますが、前田氏がオススメするのはシンプルカラーのスライドです。具体的には、ポジティブなメッセージは「青」かつ「ゴシック体」。ネガティブなメッセージは「赤」かつ「明朝体」を使い分けることを推奨しています。色に関しては以下の項目で触れるので省きますが、フォントは以下を見ていただければ明確かと思います。ポジティブなメッセージであっても明朝体では安定感がなく、逆にネガティブなメッセージなのにゴシックだと、妙に安定感があるかと思います。

左がHGP創英角ゴシックUB、右が明朝体
左がHGP創英角ゴシックUB、右が明朝体

(8)できるだけ院内の決まりをつくる

 先ほどのフォントカラーでも触れましたが、赤はネガティブ、青はポジティブという決まりを作ってしまうと、関係者間での意思疎通をしやすくなります。表を活用する際なども、縦軸と横軸の項目をいつも同じものにしてしまえば、見る人はその表の構成がどうなっているのか考える必要なく、すぐに表に書き込まれた数字やテキストが頭に入ってきます。

 少し余談ですが、企業は「赤」と聞くと「赤字」を想像することが多いため、赤はネガティブ、青はポジティブという整理です。ただ、前田氏が以前に研修した病院では、「赤は動脈だからポジティブ、青は整脈だからネガティブではないか」と指摘する医師が多数出てきてしまったようです(笑)。要は、ポジネガで院内の共通カラーを決めてしまえば、情報共有を効率化できるところがポイントです。ですから、どちらでも構わないので、まずは院内の統一ルールをできるだけ多く決めてしまい、その認識が広まれば、より「一発OK」されやすい環境になるのではないでしょうか。

孫氏「脳がちぎれるほど考えろ」

 プレゼンは、何かを叶えるためのツールです。前田氏は、「コーヒーを頼んだのに水を持ってくるようなプレゼンが世の中には多い」と指摘します。つまり、何かを叶えるため、適切なツールを選択できていないということです。

 適切なツールを選択するのは、常に聞く人の立場で考えることが欠かせません。そのためには、何かを叶えるために伝える「念い(強い心、信念)」を、どうすれば伝わるのかを考え抜くことが求められます。前田氏は、よく孫氏に「脳がちぎれるほど考えろ」と言われ、企画を考えに考え抜いたと述懐します。

 プレゼンはあくまで内容がすべてであり、どれだけ内容を練り込んだかが最も重要ですが、その「念い」をまとめるのが分かりづらく、せっかくの内容が伝わらなければ、非常に残念です。そんなことにならないため、上記のテクニックなどをご活用いただければ幸いです。前田氏の書籍では上記以外にも多数のテクニックが紹介されていますので、興味のある方は是非、一度、本書を手に取ってみてください(『社内プレゼンの資料作成術』)。

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