医療費の伸びの相当部分が「薬剤料の伸び」、薬価制度の抜本改革を早急に議論せよ―中医協総会で日医の中川委員



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 2015年度(平成27年度)の医療費は、前年度に比べて3.8%伸びているが、そのうち2%程度は薬剤料の伸びと推計できる。今後、薬価制度の抜本的な見直しを早急に検討する必要がある―。

 28日に開かれた中央社会保険医療協議会・総会で、診療側の中川俊男委員(日本医師会副会長)はこのようにコメントしました。

9月28日に開催された、「第336回 中央社会保険医療協議会 総会」
9月28日に開催された、「第336回 中央社会保険医療協議会 総会」

抗ウイルス剤の薬剤料が急増、ハーボニーやソバルディの影響

 メディ・ウォッチでもお伝えしているとおり、厚生労働省が15日に公表した2015年度の概算医療費(国民医療費の98%に相当)は41兆5000億円となり、前年度に比べて3.8%という高い伸びを示しました。

 28日の中医協総会では、厚労省保険局調査課の山内孝一郎が、2015年度概算医療費について詳しく説明。それによると、対前年度3.8%のうち0.7-08%は、画期的なC型肝炎治療薬であるハーボニーやソバルディなどの抗ウイルス剤(院外処方分)によるものと推計されます。また山内調査課長は「院内処方も含めると、さらに割合は大きくなる」としたものの、「2016年度の薬価見直しによって、ハーボニーなどは巨額再算定(特例の市場拡大再算定)によって3割超の薬価引き下げが行われており、その影響がどうなるかは今後も注視していく必要がある」と説明しています。

抗ウイルス薬の薬剤費については、2014年度から2015年度(この間にハーボニーやソバルディが保険収載された)にかけて3.6倍に増加している
抗ウイルス薬の薬剤費については、2014年度から2015年度(この間にハーボニーやソバルディが保険収載された)にかけて3.6倍に増加している
抗ウイルス薬の薬剤費の動向を見ると、ハーボニーやソバルディが保険収載された2015年度(平成27年度)から爆発的に増加していることが分かる
抗ウイルス薬の薬剤費の動向を見ると、ハーボニーやソバルディが保険収載された2015年度(平成27年度)から爆発的に増加していることが分かる

 なお、IMSジャパン社のデータによると、ソバルディの売上高(薬価ベース)は▽2015年7-9月に435億円▽同年10-12月に643億円▽16年1-3月に391億円▽同年4-6月に246億円、ハーボニーの売上高(同)は▽2015年10-12月に1101億円▽16年1-3月に1517億円▽同年4-6月に698億円―となり、山内調査課長は「両医薬品とも2016年度の巨額再算定による薬価引き下げを超えた減少となっており、ピークは過ぎたのではないか」ともコメントしました。

 この点について診療側の中川委員は、「日本医師会総合政策研究機構(日医総研)の分析によれば、3.8%の概算医療費の伸びのうち、院外処方の薬剤料だけで1.5%程度、院内処方を含めれば2%程度になっており、医療費の伸びの相当部分は『薬剤料の伸び』であることが明らかになっている。今後、薬価基準制度の抜本的な見直しを早急に検討すべきである」と強く求めました。

 中医協では、薬価専門部会を中心に「オプジーボなどの超高額薬剤の薬価制度見直し」を当面の最重要検討テーマに掲げています。その後、2016年度改定に向けて、薬価制度全般に関する議論が行われそうです(関連記事はこちらこちらこちらこちらこちら)。

DPCの病院情報、10月1日公表が原則だが、柔軟な対応も

 28日の中医協総会では、次のようなテーマについて議論し、了承しています。

(1)2017年度のDPC機能評価係数II「地域医療指数(体制評価指数)」などを設定するため、2016年度の定例報告では、新たに▼A246【地域連携診療計画加算】(退院支援加算の加算)とB009【地域連携診療計画加算】(診療情報提供料Iの加算)の算定状況(2016年度改定で従前のB005-2【地域連携診療計画管理料】などが廃止されたため)▼10月1日時点での病院情報の公表状況―について報告を求めるとともに、「地域がん登録」「新型インフルエンザ等対策にかかる地方公共機関の指定」については報告を求めない(関連記事はこちらこちらこちらこちら

(2)麻薬及び向精神薬取締法の向精神薬に指定されたエチゾラム(販売名:デパスなど、精神安定剤)とゾピクロン(販売名:アモバンなど、睡眠障害改善剤)について、診療情報上の処方日数上限を30日に設定する(現在は上限なし、10月13日の告示などにおいて適用日を明確にするが、厚労省は11月1日からを念頭に置いている)

エチゾラム(販売名「デパス」など)とゾピクロン(販売名「アモバン」など)について、1回の処方日数が30日に制限されることとなった
エチゾラム(販売名「デパス」など)とゾピクロン(販売名「アモバン」など)について、1回の処方日数が30日に制限されることとなった

(3)新機能の医療機器として、腹部切開創下、腹膜損傷部位(腹壁、腹部臓器、子宮、子宮付属器の損傷部位など)について、術後癒着を防止する『アドスプレー』を保険収載する(1ml当たり7300円、12月1日収載予定)

術後癒着を防止する『アドスプレー』の概要、シート状の癒着防止材が届かない奥の部位にもアクセスできる
術後癒着を防止する『アドスプレー』の概要、シート状の癒着防止材が届かない奥の部位にもアクセスできる

(4)皮膚筋炎の診断補助を行う新たな臨床検査として、『MESACUP anti-MDA5テスト』(血清中の抗MDA5抗体の測定)、『MESACUP anti-T1F1 -γテスト』(血清中の抗T1F1-γ抗体の測定)、『MESACUP anti-Mi-2テスト』(血清中の抗Mi-2抗体の測定)を保険収載する(ELISA法で実施した場合に270点、10月1日収載予定)

皮膚筋炎の検査から治療までの流れ
皮膚筋炎の検査から治療までの流れ

(5)新たな先進医療として、微小肺病変に対する『切除支援気管支鏡下肺マーキング法』(CTで病変部位を確認してマーキングを行い、そのマーキングに沿って肺葉の縮小手術を行う)の保険外併用を認める(報告事項)

微小肺病変に対する『切除支援気管支鏡下肺マーキング法』の概要
微小肺病変に対する『切除支援気管支鏡下肺マーキング法』の概要

 (1)は、2017年度の地域医療指数を設定するために、必要な報告を求めるものです。このうち「病院情報の公表」については10月1日現在での病院ホームページによる公表が要件となりますが、厚労省保険局医療課の担当者は「ホームページの準備は10月1日までに完了しているが、院内の決済待ちで10月1日に公表できないような病院については、柔軟に対応する。ただし、地方厚生局でホームページの準備状況などを提示することが必要である」旨を説明しています。

 

 なお28日の中医協総会では、2016年度改定の効果・影響調査(結果検証特別調査)の調査票も了承しています。これについては、別途、お伝えいたします。

 

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