【速報】専門医、来年はできるだけ既存プログラムで運用、新プログラムは2018年目途に一斉スタート―日本専門医機構



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 新専門医制度の一斉スタートは再来年(2018年)を目途とし、来年度(2017年度)はできるだけ既存プログラムでの運用を各学会にお願いする―。

 日本専門医機構は20日に理事会を開き、このような方針を固めました。25日の社員総会に諮ります。

 なお、各学会の責任で新プログラムの運用も可能ですが、その際には地域医療へどのような配慮をするのかを学会と機構とで話し合うことになります。

7月20日の理事会開催後似、記者会見に臨んだ日本専門医機構の吉村博邦理事長(写真中央)、山下英俊副理事長(写真向かって左)、松原謙二副理事長(写真向かって右)
7月20日の理事会開催後似、記者会見に臨んだ日本専門医機構の吉村博邦理事長(写真中央)、山下英俊副理事長(写真向かって左)、松原謙二副理事長(写真向かって右)

『検討の場』の精査で、新プログラムにはいくつかの課題が浮上

 新たな専門医制度は、専門医の認定と、専門医を養成するプログラムの認証を日本専門医機構が統一した基準で行うことを柱としており、2017年4月からスタートする予定です。しかし養成プログラムについて「ハードルが高すぎ、地域の医師偏在を助長する可能性が高い」などの指摘がなされており、日本医師会と四病院団体協議会(日本病院会、全日本病院協会、日本医療法人協会、日本精神科病院協会)は、日本専門医機構に対して次のような要望を行っていました。

▽「地域医療」「公衆衛生」「地方自治」「患者・国民」の代表による幅広い視点も大幅に加えた『検討の場』を設けて、その検討結果を尊重すること(その際も、プロフェッショナルオートノミーを尊重する)

▽『検討の場』において医師偏在が深刻化しないか集中的に精査し、懸念が残るプログラムについては2017年度からの開始を延期し、現行の学会専門医の仕組みを維持すること

 日本専門医機構はこの要望を受け止め、20日に『検討の場』(専門医研修プログラムと地域医療にかかわる新たな検討委員会、仮称)を設置。さらに総合診療を除く18の基本領域との協議を行いました(関連記事はこちらこちら)。

 その結果、新プログラムの運用には、例えば次のような課題があることが分かりました。

▽来年から後期研修(専門医)を受ける医師は8-9000名程度だが、各プログラムの定数合計は1万8-9000名となる。またほとんどの領域で、過去の採用実績と定数との格差が2-3倍あり、各領域でみても大都市に専攻医が集中してしまう可能性が高い

▽施設における指導医の要件が厳しく、これまで専門医の養成を行ってきた施設が連携施設になれないケースが出ている

新プログラムを運用する場合には、地域医療への配慮について学会と機構で協議

 こうした状況が詳らかになったことで、20日の理事会では新専門医制度を来年(2017年)4月から一斉にスタートすることは困難と判断。一斉スタートを1年延期し「2018年を目途に一斉に新プログラムの運用を開始する」方針を固めました。この1年の間に、「領域別の一定の幅を持たせた定数」や「あるべき専門医の姿」などについて検討し、課題を解決する考えです。

 また来年(2017年)4月からの専門医養成については、「できるだけ既存プログラムで運用する」ことを各学会に要請します。

 もっとも学会の事情によっては新プログラムを動かさざるを得ないところも出てきます。その際には、新プログラム(暫定プログラム)の運用を学会の責任で行うことが可能です。ただし、地域医療への配慮を行うことも必要なため、例えば「暫定的に、過去の採用実績を勘案した定員(例えば1.2倍)を設ける」「暫定的に、指導医要件などを緩和し、従来の養成施設が連携施設となれるようにする」などの措置をとれないか、学会と機構で話し合うことになります。ただし、1.2倍などの数字は確定的なものではありません。例えば過去の採用実績が1名であったA病院のX診療科では、来年も1名しか採用できないことになり、ゼロ名であったところではどうすればよいのかが不明です。このため「1.2倍」はあくまで例示にとどまります。

 この話し合いによって、2018年度からの「次のステップ」に繋げられることが期待されます。

 なお、既存の仕組みがない「総合診療専門医」についても、同じように2018年を目途に正式スタートとなりますが、すでに総合診療専門医を目指している医師に混乱を与えないよう、来年(2017年)4月から試行的・暫定的に養成をスタートできないか機構内で早急に検討することになっています。

 25日の社員総会での了承を待って、この方針が確定します。

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