ICUの看護必要度A項目を見直すとともに、重症患者割合を引き下げる方向―中医協総会



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 2016年度の診療報酬改定では、ICUの看護必要度A項目を見直すだけでなく、重症患者割合の基準値を一定程度引き下げる―。こういった方針が、27日に中央社会保険医療協議会・総会に示された短冊から明らかになりました。

 また総合入院体制加算については、施設基準を見直すとともに、新たな加算区分を設け3種類とする方針も示されています。

1月27日に開催された、「第325回 中央社会保険医療協議会 総会」
1月27日に開催された、「第325回 中央社会保険医療協議会 総会」

ICUで病棟薬剤業務実施加算の算定が認めるが、薬剤管理指導料1は算定不可に

 ICUについては、「現在A項目3点以上かつB項目3点以上の重症患者が、8割あるいは9割以上入院していること」という施設基準が設けられています。

 しかし厚労省の調査では、比較的状態の安定した「心電図モニター」「シリンジポンプ」「輸液ポンプ」のいわゆる3点セットだけでA項目3点を満たす患者が一定以上いるICUがあることが分かりました。

 そこで、2016年度改定ではA項目のうち3点セットの評価を低くし、他の「中心静脈圧測定」や「人工呼吸器の装着」などの評価を高くすることになります。短冊では、具体的な数字こそ示されていませんが、中医協論議では次のような方向が示されています。

▽「心電図モニター」「輸液ポンプ」「シリンジポンプ」は現行どおり1点のままとする

▽その他の項目は2点とする(現行は1点)

▽A項目に関する重症患者の基準を「4点以上」とする(現行は3点以上)

現在のICUの重症度、医療・看護必要度の項目
現在のICUの重症度、医療・看護必要度の項目

 この見直しを行うと、ICU全体で、重症患者の割合が現行の87%から74%へと13ポイント低下することが厚労省の試算で明らかになっています(関連記事はこちら)。そのため短冊では重症患者割合の基準値を現行の「8割以上あるいは9割以上」から引き下げる方向も示されました。どの程度に設定されるかは2月上旬の答申を待つ必要があります。

ICU用の看護必要度A項目について、「心電図モニター」「輸液ポンプ」「シリンジポンプ」は1点、その他は2点とし、「A項目4点以上(かつB項目3点以上)」を重症患者と定義づけると、重症患者の割合は現在の87%から74%に低下する
ICU用の看護必要度A項目について、「心電図モニター」「輸液ポンプ」「シリンジポンプ」は1点、その他は2点とし、「A項目4点以上(かつB項目3点以上)」を重症患者と定義づけると、重症患者の割合は現在の87%から74%に低下する

 このほかICUについては、「看護必要度B項目を一般病棟に合わせる」(HCUの看護必要度B項目も同様)ことや、「病棟薬剤業務実施加算2(新設)の算定を認める」(点数設定は今後)という見直しが行われます。

 なお新設される「病棟薬剤業務実施加算2」は、ICUのほか、▽救命救急入院料▽脳卒中ケアユニット入院医療管理料(SCU)▽小児特定集中治療室管理料(PICU)▽新生児特定集中治療室管理料(NICU)▽総合周産期特定集中治療室管理料―の治療室でも算定できます。ただし、これらの病棟では薬剤管理指導料について、これまでの「指導料1」(430点)が廃止されることから、通常の指導料(現在の指導料1:380点、指導料2:325点)のみの算定となる点には注意が必要です。

◆変更履歴

 ICUなどでは薬剤管理指導料が算定できなくなると記載しましたが、正しくは「これまでの指導料1が廃止され、通常の指導料のみの算定となる」とです。お詫びして訂正します。本文は修正済みです。【2016/01/28更新】

ICUでは、看護必要度などの見直しのほか、薬剤師配置を評価する(病棟薬剤業務実施加算2を新設)
ICUでは、看護必要度などの見直しのほか、薬剤師配置を評価する(病棟薬剤業務実施加算2を新設)

総合入院体制加算、「重症患者割合」や「救急搬送患者」の施設基準を設置

 総合入院体制についても大きな見直しが行われます。これまで「極めて算定が難しい」とされていた加算1の基準を一定程度緩める(ただし別の基準も不可)とともに、新たに現行の加算1と2の間に位置する加算を新設し、区分を現在の2種類から3種類に増加します。具体的には次のような見直しが行われます。

【加算1:240点】(現行の加算1の施設基準を見直す)

▽年間の手術件数800件以上で、実績要件をすべて満たす(ただし化学療法の件数は緩和する見込みで、緩和となる)

▽一般病棟用の看護必要度A項目2点以上、またはM項目1点以上の重症患者が一定割合以上(新設要件)

▽日本医療機能評価機構などの医療機能評価を受けている病院、またはこれらに準ずる病院(新設要件)

【加算2:点数は未定だが240点と120点の間となる】(新設の加算)

▽年間の手術件数が一定以上、かつ救急搬送患者が一定以上。また実績要件を一定以上満たす(基準値は未定)

▽24時間の精神科対応体制(自院または他院の精神科医が速やかに診療に対応できる体制も含む)があり、「精神科リエゾンチーム加算または認知症ケア加算1」を届け出るとともに、「精神疾患診療体制加算2または救急搬送患者の入院精神療法算定件数が一定以上」である

▽一般病棟用の看護必要度A項目2点以上、またはM項目1点以上の重症患者が一定割合以上

▽日本医療機能評価機構などの医療機能評価を受けている病院、またはこれらに準ずる病院(新設要件)

【加算3:120点】(現行の加算2から移行、施設基準を見直す)

▽年間の手術件数800件以上で、実績要件を一定以上満たす(厳格化)

▽24時間の精神科対応体制(自院または他院の精神科医が速やかに診療に対応できる体制も含む)があり、「精神科リエゾンチーム加算または認知症ケア加算1」を届け出るとともに、「精神疾患診療体制加算2または救急搬送患者の入院精神療法算定件数が一定以上」である(厳格化)

▽一般病棟用の看護必要度A項目2点以上、またはM項目1点以上の重症患者が一定割合以上(新設要件)

 重症患者割合(看護必要度A項目2点以上の患者割合など)や、救急搬送患者の受け入れ実績など、中医協で議論された内容(関連記事はこちらこちらこちら)が盛り込まれたもので、委員から反対意見は出されていません。この方向で具体的な設計がなされることになります。

加算2を届け出ている病院の中には、望ましいとされている「診療実績」要件をほとんど満たしていない病院も一部ある
加算2を届け出ている病院の中には、望ましいとされている「診療実績」要件をほとんど満たしていない病院も一部ある

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