2016年度薬価改定の詳細を了承、特例市場拡大再算定の対象はハーボニー錠など6品目―中医協総会



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 先駆導入加算を見直した「先駆け審査指定制度加算」では、新薬だけでなく効能追加となった既収載品も対象とする―。こうした内容を含む2016年度の薬価制度改革案の詳細が、20日に開かれた中央社会保険医療協議会・総会で了承されました。厚生労働省は改革内容に沿って、2月中旬に薬価を公表する構えです。

 また、通常の市場拡大再算定を行う20成分・45品目、特例の市場拡大再算定を行う4成分・6品目、効能変化再算定を行う1成分・3品目の医薬品も厚労省から報告されています。昨年8月に薬価収載されたC型慢性治療薬のハーボニー配合錠などが、特例市場拡大再算定の対象となります。

1月20日に開催された、「第323回 中央社会保険医療協議会 総会」
1月20日に開催された、「第323回 中央社会保険医療協議会 総会」

先駆け審査指定制度加算、効能効果追加の既収載品も対象に

 2016年度には、次のような薬価制度改革が行われます。

(1)先駆導入加算を「先駆け審査指定制度加算」に組み替える

(2)医療現場で必要とされる基礎的医薬品の価格を下支えするルールを試行導入する

(3)市場拡大再算定について、新たに「販売額が巨額な場合の特例引き下げ」ルールを新設する

(4)新規後発医薬品の価格については、これまでの「先発品の60%」(銘柄数が10を超える内用薬は50%)から、「先発品の50%」(同40%)に引き下げる(関連記事はこちら

(5)後発品への置き換えが進まない長期収載品の価格引き下げルール(いわゆるZ2)について、置き換え率の割合を厳しくする(これまでは▽20%未満で2%引き下げ▽20%以上40%未満で1.75%引き下げ▽40%以上60%未満で1.5%引き下げ―であったところを、30%未満で2%引き下げ▽30%以上50%未満で1.75%引き下げ▽50%以上70%未満で1.5%引き下げ―に見直す)(関連記事はこちら

 (1)は、世界に先駆けてわが国で薬事承認を取得した革新的な医薬品を経済的に評価するもの(10-20%の加算)。これまでの先駆導入加算について、先駆け審査指定制度と要件を揃えるとともに、名称を「先駆け審査指定制度加算」に改めます。新規収載品だけではなく、効能効果追加などとなった既収載品もこの加算の対象になることが、厚労省保険局医療課の中井清人薬剤管理官から紹介されています(関連記事はこちら)。

先駆け審査指定制度の指定要件
先駆け審査指定制度の指定要件

ソルデム輸液など、基礎的医薬品の価格を下支えする新ルール

 (2)は、かねてより製薬メーカーから要望されていたものです。2年に一度行われる薬価改定によって、医薬品の価格は徐々に下がっていくため、中には採算割れとなる製品もあると言います。現在、「最低薬価」「不採算品再算定」という価格下支えルールがありますが、今般、新たに「医療上必要不可欠な医薬品」の価格を下支えするルールが設けられました。具体的には、「医療上の位置づけが確立し、広く臨床現場で使用されていることが明らか」「薬価収載から25年を経過」などの要件を満たす医薬品について、最も年間販売額が大きい銘柄に価格を集約して、それを維持することになります(関連記事はこちら)。

 中井薬剤管理官は、対象となる医薬品が134成分・617品目であることを中医協総会に報告しています。例えば、感染症治療に用いる「アモリン細粒」、肺結核治療薬の「エブトール錠」、てんかんの痙攣発作を抑えるための「アレビアチン散」、水分補給に用いる「ソルデム3輸液(維持液)」などです。

C型肝炎治療薬のソバルディとハーボニー、特例市場拡大再算定の対象

 (3)の市場拡大算定は、2016年度から「通常の市場拡大再算定」と「特例の市場拡大再算定」の2区分となります。後者が、今般、新設されるものです(関連記事はこちら)。

 いずれも「予想を超えて売れた医薬品について価格を引き下げる」ものですが、前者の「通常の市場拡大再算定」は、次のようなものが対象となります。

▽原価計算方式で薬価算定された既収載品で、「予想販売額の2倍以上・売上高150億円超」「予想販売額の10倍以上・売上高100億円超」のもの

原価計算方式における市場拡大再算定の概念図、当初予測の2倍かつ年間販売額150億円を超えた品目などについて価格の引き下げが行われる
原価計算方式における市場拡大再算定の概念図、当初予測の2倍かつ年間販売額150億円を超えた品目などについて価格の引き下げが行われる

▽類似薬効比較方式で薬価された既収載品で、使用方法の変化・適用対象患者の変化などがあり、「予想販売額の2倍以上・売上高150億円超」のもの

類似薬効比較方式における市場拡大再算定の概念図、売り上げ規模などのほかに「使用実態の著しい変化」という要件が加わる
類似薬効比較方式における市場拡大再算定の概念図、売り上げ規模などのほかに「使用実態の著しい変化」という要件が加わる

 中井薬剤管理官は、2016年度には20成分・45品目が再算定(価格引き下げ)の対象になると報告しました。例えば、▽抗てんかん剤の「ラミクタール錠」▽統合失調症治療薬の「エビリファイ」▽C型肝炎治療薬の「ダクルインザ錠」「ヴィキラックス配合錠」「スンベラカプセル」▽乳がん・胃がん治療に用いる「アブラキサン」―などです。ただし、「サムスカ錠(利尿剤)」「ベルケイド(多発性骨髄腫治療薬)」については、有用性が高いため別途補正が行われ、価格引き下げ幅は小さくなる見込みです。

 後者の「特例の市場拡大再算定」は、今般の改革で「医療保険財政を維持するために、市場規模が巨額な医薬品の価格を調整する」ものとして新設されます。次のようなものが対象となります。

▽年間販売額が1000億円超1500億円以下で、かつ予想額販売額の1.5倍以上となるもの(最大で25%の価格引き下げ)

▽年間販売額が1500億円超で、かつ予想販売額の1.3倍以上となるもの(最大で50%の価格引き下げ)

 2016年度には、前者として▽ブラビックス錠25mg・同75mg(虚血性脳血管障害後の再発抑制用薬)▽アバスチン点滴静注用100mg/4mL・同400mg/16mL(治癒切除不能な進行・再発の直腸・結腸がん薬)―の4品目が対象となります。ただしアバスチンについては、有用性が高いため補正が行われ、価格引き下げ幅は小さくなります。

 また後者として▽ソバルディ錠▽ハーボニー配合錠(いずれもC型慢性肝炎治療薬)―の2品目が対象となります。

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