自動制御機能付き歩行器、介護保険への給付対象に追加するかは継続審議―介護給付費分科会



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 福祉用具貸与の新項目として「自動制御などにより利用者の移動を補助する歩行器」が提案されましたが、14日に開かれた社会保障審議会・介護給付費分科会の議論では結論が出ず、継続審議となりました。

 この日の分科会では、消費税率の引き上げ(8%から10%へ)に向けての検討スケジュールも議題となり、こちらは了承されています。

12月14日に開催された、「第126回 社会保障審議会 介護給付費分科会」
12月14日に開催された、「第126回 社会保障審議会 介護給付費分科会」

新たな福祉用具を保険適用する際の考え方を整理

 介護保険では、施設・居宅・地域密着サービスのほかに、福祉用具(購入・貸与)や住宅改修も保険給付の対象となります。

 福祉用具貸与については、現在(1)車いす(2)車いす付属品(3)特殊寝台(電動ベッド)(4)特殊寝台付属品(5)床ずれ防止用具(6)体位変換機(7)手すり(8)スロープ(9)歩行器(10)歩行補助杖(11)認知症老人徘徊感知機器(12)移動用リフト(13)児童排泄処理装置―が給付対象となっています。

福祉用具に関する公的介護保険給付の概要
福祉用具に関する公的介護保険給付の概要

 これまでは3年に一度の介護報酬改定に合わせて、新たな給付項目がないかを検討していましたが、9月18日の分科会で「保険給付に関する要望の状況に合わせて、保険給付の是非を議論する検討会(介護保険福祉用具・住宅改修評価検討会)を随時開催する」ことが決まりました(関連記事はこちら)。

 今般、検討会では「自動制御などにより利用者の移動を補助する歩行器」(自動制御型歩行器)を給付対象に加えてはどうかとの考え方をまとめ、14日の分科会に提案しています。

 厚労省老健局高齢者支援課の佐藤守孝課長は、自動制御型歩行器の保険適用の必要性について、▽例えば坂道での転倒を防止できるなど安全性が増している▽平均貸与価格が約1000円程度と安価である(従来型の歩行器の平均貸与価格は約3000円)▽従来型の歩行器からの変更(いわば機種変更)となるケースが多いと考えられ、利用者数は大きく増えない(財政影響は小さい)―といった点を挙げて説明しました。

 しかし、分科会の委員からは「説明が不十分である」「保険給付すべきか否かを判断する基準が必要ではないか」といった意見が多く出され、継続審議となりました。

 佐藤高齢者支援課長は、「2月3日開催予定の次回会合で、資料を整理し、再度提案する」と説明しています。

 なお、保険給付の判断基準については、田中滋分科会長(慶応義塾大学名誉教授)は▽機能▽安全性▽価格―の3点を考慮する必要性を指摘。佐藤高齢者支援課長も「これまでの考え方などを整理して、次回会合に提示する」考えを述べています。

消費増税に向け、まず課税対象となる費用を概況調査で把握

 14日の分科会では、介護サービスに関する消費税の取り扱いなどに係る検討スケジュールも了承されました(関連記事はこちら)。

消費増税に向けた対応の検討を年明け(2016年)から始める。まず介護事業所・施設の費用において、課税対象部分と割合を介護事業経営概況調査から明らかにする
消費増税に向けた対応の検討を年明け(2016年)から始める。まず介護事業所・施設の費用において、課税対象部分と割合を介護事業経営概況調査から明らかにする

 介護サービスについては消費税が非課税となっているため、介護事業所や施設が物品購入などで負担した消費税分を利用者に転嫁することができません(保険診療と同じです)。このため、消費税率が上がれば介護事業所・施設の負担が大きくなってしまうため、2014年度の消費増税時(5%から8%へ)には特別のプラス改定が行われました。

 2017年4月に予定される消費税率の引き上げ(8%から10%)に向けて、介護サービスではどのように対応すべきなのか、年明けの2016年から分科会や下部組織である介護事業経営調査委員会で精力的に議論していくことになります。

 まずは、介護事業所・施設が負担している消費税を把握するため、費用の中で、消費税が発生している項目やその割合をサービス種類ごとに調べられます(介護事業経営概況調査の中で調べる)。

 なお、瀬戸雅嗣委員(全国老人福祉施設協議会副会長)は消費増税に関連して、基準費用額((低所得の施設入所者について、食費と居住費の負担を軽減するために、平均的な費用が補足給付として支給される)の増額などが必要と指摘しています。

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