「医学部の入学定員削減を」日医など緊急提言-医師不足の本質は「偏在」



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 日本医師会と全国医学部長病院長会議の合同委員会は19日、医学部の入学定員の削減と新たな医学部の設置認可の差し止めなどを盛り込んだ緊急提言を取りまとめました。現在の医師不足の本質は、特定の地域や診療科への医師の偏在だと指摘した上で、こうした偏在をするため、医師が不足している地域での勤務経験を医療機関の管理者要件に組み込んだり、大卒後のキャリア形成を支援する「医師キャリア支援センター」を医学部のある各大学に設置したりするよう主張しています。

 緊急提言は、▽医学部入学定員の削減と新たな医学部設置認可の差し止め▽医師の地域・診療科偏在の解消▽医師キャリア支援センター構想-が柱で、日医と医学部長病院長会議による「医師偏在解消策検討合同委員会」がまとめました。

 医師不足が深刻化したのを受けて、医学部の入学定員は2008年以降、暫定的な増員が行われ、07年度の7625人に比べて15年度には9134人と、1509人(19.8%)増加しました。これを受けて合同委員会では、医師の絶対数の不足に対して「一定の手当て」が行われていて、順次、効果が表れてくるとの見方を示しています。

 合同委員会は一方で、医師不足の本質は「医師の地域・診療科偏在で、これらの解消こそ喫緊の課題」とも指摘しました。その上で、こうした偏在の解消策として、医師が不足している地域で一定期間、勤務経験することを病院や診療所の管理者の要件に組み込んだり、医師キャリア支援センターを医学部のある各大学に設置したりすることを挙げました。

 緊急提言によりますと、すべての医学生や卒業生は出身大学の医師キャリア支援センターに登録。センターでは、卒後の異動も生涯にわたって把握し、医学生や医師のキャリア形成を支援します。また、地域医療支援センターや医師会などと協力して、地域ごとの将来的な医療需給を予測するのに必要なデータを整備し、需給調整を支援します。

 政府が6月末に閣議決定した「骨太方針2015」では、地域医療構想との整合性を確保したり、地域偏在を是正したりする観点から、医師や看護職員の需給について検討する方向性を掲げています。

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