米医療界で話題の「第2のスティーブ・ジョブズ」と呼ばれる女性起業家

Pocket

 「第2のスティーブ・ジョブズ」と言われている女性起業家をご存じですか。海外ニュースをウォッチしていたら、「痛くない注射」を発明した米国の女性起業家がとても印象的でした。医療関連の講演会「テドメド」の動画と「ニューヨーカー」の記事は次の通りです。

Blood,Simpler

One woman’s drive to upend medical testing.

(ニューヨーカー)

 1960年代から大きな技術革新がなかった血液検査。エリザベス・ホームズ氏は、そこに徹底した長期戦略と、確かな実行力を伴って、大きな変革をもたらそうとしています。10年間の開発と特許出願などを経てサービスの品質を高めた上で、2013年秋に米大手薬局チェーンのウォルグリーン薬局と組み、革命的な血液検査がようやく日の目を見ました。

 指先から小さな針で採血し、極力人手を介さない分析工程と流通網を構築。痛みが少なく、より正確で、低価格な血液検査を即時に提供することを実現しています。技術の革新性もすごいですが、31歳という若さと、医療費削減の期待などから普及の可能性が評価されてか、米フォーブス誌の世界億万長者ランキングに「最年少で成功した女性起業家」として紹介されています(関連記事『Inside The 2015 Forbes Billionaires List: Facts And Figures』)。同誌によると、個人資産は45億ドル(1ドル119円で約5380億円)です。

10年間で医療費20兆円を削減の可能性

 ホームズ氏が率いる血液検査サービス会社「セラノス(Theranos)」(ホームページはこちら)は、セラピー(Therapy)と診断(Diagnosis)を掛け合わせた社名とのこと。19歳で米スタンフォード大学を中退し、血液検査や遺伝子分析の領域でさまざまな特許を申請しながら、現在のサービスを作り上げました。ホームズ氏は、10年間でメディケアで980億ドル、メディケイドで1040億ドルの医療費削減効果をもたらす会社に成長したと、米技術系メディア「ワイヤード」のインタビューで答えています(関連記事『ほんの1滴、痛くない血液検査:注射嫌いの女子大生が挑んだ「再発明」』)。

 冒頭の「ニューヨーカー」の記事によると、大学を中退して独立し、菜食主義者で、いつも黒のタートルネック姿で登場することなどから、米アップル創業者のスティーブ・ジョブズ氏と重ねて見られることもあるようです。コンピュータ産業に革命をもたらしたジョブズ氏と、医療界に革命をもたらそうとしているホームズ氏という構造も、こうした見方を促しているのかもしれません。

 医療は全世界で成長産業としての発展が期待されています。健全な発展には、医療の質向上を伴う成長が欠かせません。医療との身近な接点である血液検査は、国民にとっても分かりやすい「医療の質向上」の実例になるので、セラノス社とホームズ氏のさらなる活躍に期待したいです。

Pocket