2020年度の次期診療報酬改定に向け、急性期一般入院料や看護必要度などを調査―入院医療分科会



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2020年度の次期診療報酬改定に向け、急性期一般入院料新設や看護必要度の見直しなどが医療現場に与えている効果・影響を2018・19の2年度にわたって調査する―。

 7月12日に開催された診療報酬調査専門組織「入院医療等の調査・評価分科会」(以下、入院医療分科会)で、こういった方針が固められました。近く開かれる親組織(中央社会保険医療協議会・診療報酬基本問題小委員会)の了承を待ち、これから秋にかけて調査の準備・実施が進められます。

7月12日に開催された、「平成30年度 第1回 入院医療等の調査・評価分科会」
7月12日に開催された、「平成30年度 第1回 入院医療等の調査・評価分科会」
 

新設された【急性期一般入院料】や看護必要度の状況を2018・19の2年度にわたり調査

 昨今の診療報酬改定は、医療現場の実態を調査・分析したエビデンスをベースに実施されます。2020年度の診療報酬改定に向けては、今回の2018年度改定の影響も含めて医療現場の実情を調査し、例えば「Aという改定項目について、当初の思惑や中医協の期待に沿って医療現場が動いている」となれば当該項目については静観し、「Bという新設項目について、届出・算定状況が想定を大きく下回る」状況であれば施設基準や要件の緩和を、逆にCという改定項目について、届出・算定が相当をはるかに上回り、不十分な医療サービスでも当該点数を算定できてしまっている」ことが分かれば施設基準や要件の厳格化を検討するといった具合です。

入院医療における技術的な課題については入院医療分科会で調査・分析が行われ、その結果を踏まえて中医協総会で具体的な点数設計等を行うことになります。このため入院医療分科会でも、直近の改定を踏まえた医療現場の実態を調査することとしており、2020年度の次期改定に向けて、2018年度改定の影響・効果を▼2018年度▼2019年度―の2年度にわたり調査することとなります。7月12日の分科会では、次の7つの調査項目案(2018年度に4項目を、2019年度に3項目を調査)が厚生労働省から示され、了承されました。近く開かれる中医協・診療報酬基本問題小委員会の了承を待って、調査の準備・実施に入ります。

【2018年度調査】
(1)急性期一般入院基本料、地域一般入院基本料等の評価体系見直しの影響【1】
(一般病棟入院基本料(急性期一般、地域一般)、特定機能病院入院基本料、専門病院入院基本料等の届出医療機関を対象に、▼入院料届出状況、職員体制▼重症度、医療・看護必要度(以下、看護必要度)該当患者割合の状況▼患者の状態、医療提供内容、平均在院日数、入退院支援、退院先の状況—などを調査する)
(2)地域包括ケア病棟入院料・回復期リハビリ病棟入院料の評価体系見直しの影響(地域包括ケア病棟入院料・入院医療管理料、回復期リハビリ病棟入院料の届出医療機関を対象に、▼地域包括ケア病棟入院料等の届出医療機関による在宅医療等の提供状況▼回復期リハビリ病棟入院料の届出医療機関による「リハビリ実績指数」の状況▼患者の状態、医療提供内容、平均在院日数、入退院支援、退院先の状況—などを調べる)
(3)療養病棟入院基本料等の慢性期入院医療における評価見直しの影響【1】(療養病棟入院基本料、障害者施設等入院基本料、特殊疾患病棟入院料等の届出医療機関を対象に、▼入院料の届出状況、職員体制▼「医療区分」別患者割合の状況▼患者の状態、医療提供内容、平均在院日数、入退院支援、退院先、看取りへの取組状況―などを調べる)
(4)医療資源の少ない地域における保険医療機関の実態(医療資源の少ない地域に所在する医療機関を対象に、▼医療資源の少ない地域に配慮した診療報酬項目の算定状況▼職員体制▼患者特性▼地域医療機関との連携状況—などを調べる)

【2019年度調査】
(1)急性期一般入院基本料、地域一般入院基本料等の評価体系見直しの影響【2】
(2)特定集中治療室管理料等の集中治療を行う入院料の見直し影響(特定集中治療室管理料、救命救急入院料、脳卒中ケアユニット入院医療管理料などの算定患者が入院している医療機関を対象に、▼当該管理料等における患者の状態▼医療提供内容▼入退室状況▼生理学的スコア(SOFA)―などを調べる)
(3)療養病棟入院基本料等の慢性期入院医療における評価見直しの影響【2】

 2018年度改定では、例えば「7対1・10対1一般病棟を再編・統合し、7つの【急性期一般入院料】とする」など、入院医療の報酬体系を【基本部分】(看護配置など)と【実績評価部分】(重症患者の受け入れ状況など)とを組みわせたものに大幅に見直したほか、重症患者の評価指標である「看護必要度」について、従前の評価票を用いる手法(看護必要度I)に加えて、DPCデータのEF統合ファイルを用いる手法(看護必要度II)を設けるなど、歴史的な入院医療の見直しが行われました。もっとも医療現場の激変を避けるために、9月までは従前に相当する入院基本料の算定を一定程度可能とする経過措置も設けられています。

こうした状況を踏まえ、例えば「入院基本料に関する改定の影響・効果は2年度で調査を行う」(2018年度には動きが芳しくなく、2019年度から改定の影響が色濃く現れるため)、「2018年度の調査も経過措置後(専ら10月)に実施する」などの調査設計上の配慮が行われています。

療養病棟に関する調査に関して池端幸彦委員(医療法人池慶会理事長、日本慢性期医療協会副会長)は、「いずれ200床未満の病院における療養病棟でもデータ提出義務付けの議論になるかもしれない。それらに備え、データ提出上の課題なども調べてほしい」と要望しています。

 
2018年度調査は、▼2018年8-10月に調査票を固める▼10-12月に調査を実施する▼2019年3月以降に調査結果を報告する―との、2019年度調査は、▼2019年3-5月に調査票を固める▼6-7月に調査を実施する▼9月以降、2020年度改定論議に間に合うように調査結果を報告する―というスケジュールで行われます。

分科会の下に「DPC」「診療情報・指標」に関する2つの作業グループを設置

ところで、2020年度以降の改定に向けて、「入院医療分科会」には、同じく診療報酬調査専門組織である「DPC評価分科会」が統合されています。DPCは当然「入院医療」に関する診療報酬支払方式であり、入院医療においてはDPCデータが評価指標として活用される(代表的なものが看護必要度II)ため、出来高の入院報酬、DPCは一体的に議論すべきとの考えに基づくものです。

これにより入院医療分科会は、まさに「入院医療に関する診療報酬の技術的課題すべてを調査・研究する場」(尾形裕也分科会長:九州大学名誉教授)となりました。

ただし、議論するテーマが非常に幅広いため、調査・研究に関する作業をすべて分科会で議論したのでは委員の負担が過重になりすぎる嫌いがあります。そこで、分科会の下に次の2つの作業グループを設置することになっています。

(1)DPC/PDPS等作業グループ(山本修一班長:千葉大学医学部附属病院長)
→▼DPCの運用(機能評価係数IIの大幅見直しなど医療機関別係数のフォローアップ、DPC象病院の要件など)▼DPC退院患者調査(報告内容や病院情報公表の取組など)―などに関する作業を実施する

(2)診療情報・指標等作業グループ(池田俊也班長:国際医療福祉大学医学部公衆衛生学教授)
→▼診療実績データ(DPCデータ)の分析(医療内容の評価指標や指標測定のための手法等に関する調査研究・分析)▼データ利活用のあり方(診療実績データ提出義務が回復期リハビリ病棟・療養病棟にも拡大したことを踏まえた、退院患者調査の報告内容)―などに関する作業を実施する

各作業グループのメンバーや作業スケジュールは、今後、厚労省と各グループ班長で相談することになりますが、分析に値するデータ(2018年度改定後のNDBデータやDPCデータなど)が集積されるまでには一定の時間がかかるため、作業グループが稼働するのは今秋(2018年秋)頃になると見られます。

なお、DPCに関しては2018年度改定に向けたDPC分科会論議で「平均在院日数が著しく長く、医療資源投入量が著しく低いDPC病院」があることが問題視され、今後、新たな退出基準も視野に入れた検討が行われます。DPC点数や医療機関別係数は、DPC対象病院のデータを基に設定されるため、こうした病院の存在は「点数や係数を不適切に引き下げてしまう」といった悪影響があります。今後、作業グループや分科会でどういった検討が行われるのか、注目が集まります。
 
 

 

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