二次医療圏に固執せず、生活実態に即した圏域で医療・介護提供体制を再構築すべき―総務省



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 自治体間の連携を深め、▼救急医療提供体制▼病院間連携▼在宅医療・介護連携―などを調整し、住民の生活実態に即した医療・介護提供体制を構築すべきである。また増大する「東京都の慢性期医療・介護ニーズ」に対応するため、近隣県を含めた「東京圏域」で医療・介護提供体制を考えなければいけない―。

 総務省の「自治体戦略2040構想研究会」が7月3日に、このような提言を盛り込んだ第2次報告をまとめました(総務省のサイトはこちらこちら(概要版))。

総務省研究会の提言と地域医療構想、どう調整していくべきか

 我が国では高齢化と同時に「少子化」が進み、急速な人口減少社会に入っています。そうした中では、多くの自治体では「存続(消滅の危機)」「行政サービスの継続」「医療・介護提供体制の再構築」などさまざまな課題に直面しており、「自治体戦略2040構想研究会」(以下、研究会)は、「危機を乗り越えるための新たな施策」と「その施策を実現するための自治体行政の在り方」について議論してきました。

 今年(2018年)4月には第1次報告がまとめられ、例えば▼個々の自治体がすべての行政機能を持つのではなく、圏域単位あるいは圏域を超えて連携して都市機能を維持し、住民の生活を保障する▼都道府県と市町村の「二層化」を柔軟にする▼東京都では、医療・介護ニーズが急増するが、千葉・埼玉などを含め「東京圏域」でサービス提供体制を構築する―などの提言が行われました(総務省のサイトはこちら)。

今般の第2次報告では、こうした提言内容についてさらに議論を深めています。医療・介護に関連の深い事項をみると、次のような提言・提案がなされています。

(1)現在、都道府県の設定する「二次医療圏」内において地域医療が一定程度、完結できることとされているが、連携中核都市(相当の規模と中核性を備える「圏域の中心都市」が近隣の市町村と連携するもの)で▼救急医療▼圏域内の病院間連携▼在宅医療・介護連携―などを調整することで、住民の生活実態に即した医療・介護提供体制を構築できる

(2)東京都では、今後、急速に高齢化が進行する(団塊の世代が後期高齢者となりはじめる)ため、▼入院・介護需要の増加▼外来需要の減少―が生じるが、慢性期病床や介護施設等は23区の外(多摩地区や埼玉県、千葉県など)に依存している。東京圏(東京都・神奈川県・埼玉県・千葉県)で連携して、長期にわたる医療・介護提供体制を構築・運営していく必要がある

 まず(1)の「医療提供体制を考える圏域」については、現在は、上述のとおり二次医療圏がベースになっており、この中で「病床過剰となり医療費が過度に膨張しないように基準病床数を定める」「5疾病5事業および在宅医療提供を担う医療機関等を指定する」「地域医療構想を実現する」ことになっています。

 しかし、例えば5疾病5事業については、急性心筋梗塞など一刻を争う医療分野については「二次医療圏」単位で考える必要がありますが、がんなど比較的、時間に猶予のある医療分野では「より広域」(複数の二次医療圏単位など)で考えるべきとされています。

 さらに、例えば関東地方では「埼玉県や神奈川県の居住者が東京都の勤め先に通勤する」といった生活実態に合わせた医療提供体制を構築することも重要です。

今般の検討会の提言は、こうした点を踏まえた、現在の「医療計画」の在り方に一石を投じるものと言えそうです。

連携中核都市の概要
連携中核都市の概要
場合によっては県境を超えた、住民の生活実態に即した医療・介護提供圏域を考える必要がある
場合によっては県境を超えた、住民の生活実態に即した医療・介護提供圏域を考える必要がある

 
また(2)の東京都については、高齢化が急速に進む一方で、「地価が高いために、単価の低い慢性期病床や介護施設などの整備が難しい」という状況があります。今後も、この状況は変わらず、「増大する慢性期医療・介護ニーズにどう対応するか」が極めて深刻な課題であり、研究会は「より広域に、東京都単独ではなく、近隣県を交えた『東京圏域』で医療・介護提供体制を考えていくことが必要」と訴えているのです。

「東京圏域」の医療・介護提供体制を考える必要がある
「東京圏域」の医療・介護提供体制を考える必要がある
 
これらは、現在進められている「地域医療構想の実現」にも関係するテーマです。地域医療構想は、主に二次医療圏をベースとした地域医療構想調整区域ごとに、病院等の病床を高度急性期・急性期・回復期・慢性期に機能分化してくもので、研究会の「より広域な圏域で医療・介護提供体制の在り方を考えるべき」との今般の提言とは、若干方向が異なるようにも思われます。今後、医療・介護提供体制の再構築(地域医療構想の実現もこの一環)を考える上で、どのように議論していくのか(例えば、自治体の首長選挙では「公立病院の整備」などが公約に掲げられるケースも多く、自治体間で「急性期医療は●●地区の病院に集約して機能強化を図る」などの調整が極めて難しく、より広域での議論・調整はさらに難しさを増す)、大きな注目を集めそうです。
 
 

 

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