地域包括ケア病棟、「敷地内、訪問看護ステーション設置」要件に再考の余地―地域包括ケア病棟協・仲井会長



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 2018年度改定で地域包括ケア病棟入院料等の施設基準が緩和され、「「同一敷地内に訪問看護ステーションを持つ」ことも選択要件に含まれたが、「すでに敷地外に訪問看護ステーションを設置してしまっている」病院では、この要件を満たすために「敷地内への移設・再移設」などを検討している。こうした無駄をなくすことを検討すべきではないか―。

地域包括ケア病棟協会の仲井培雄会長は、6月21日に記者会見を開き、こういった考えを披露しました。

6月21日に記者会見を行った、地域包括ケア病棟協会の仲井培雄会長
6月21日に記者会見を行った、地域包括ケア病棟協会の仲井培雄会長
 

既に訪問看護ステーションを敷地外に設置した病棟が、「敷地内への移設」を検討している

2018年度の診療報酬改定では、【地域包括ケア病棟入院料】【地域包括ケア入院医療管理料】(以下、地域包括ケア病棟入院料等)について、例えば次のような大きな見直しが行われました。より医学的な状態が不安定である「自宅等からの入棟患者」(sub acute患者)の受け入れなどを積極的に行う病棟・病室を手厚く評価するとともに、在宅医療等の提供を促すことで、地域包括ケアシステムの構築を推進するものと言えます(関連記事はこちらこちらこちらこちらこちら)。

●「看護配置:13対1以上(7割以上が看護師)」「重症患者割合が、看護必要度Iで10%以上、看護必要度IIで8%以上」「病棟への常勤PT等の1名以上配置」を【基本部分】とし、ここに「自宅等からの入棟患者割合」や「自宅等からの緊急患者受け入れ数」「在宅医療提供」「看取り指針策定」などに基づく【診療実績部分】を加味し、次の4体系とする。
(1)地域包括ケア病棟入院料1(200床未満のみ取得可):▼自宅等からの入棟患者割合が10%以上▼自宅等からの緊急患者受け入れ件数が3か月で3人以上▼在宅医療提供▼看取り指針策定▼在宅復帰率:70%以上▼1人当たり病室面積:6.4平米以上―など
(2)地域包括ケア病棟入院料2:▼在宅復帰率:70%以上▼1人当たり病室面積:6.4平米以上―など
(3)地域包括ケア病棟入院料3(200床未満のみ取得可):▼自宅等からの入棟患者割合が10%以上▼自宅等からの緊急患者受け入れ件数が3か月で3人以上▼在宅医療提供▼看取り指針策定―など
(4)地域包括ケア病棟入院料4:基本部分の施設基準を満たすこと

●施設基準の「選択要件」(在宅療養支援病院、在宅療養後方支援病院など)に、新たに「訪問看護ステーションが当該保険医療機関と同一の敷地内にあること」との項目を追加する
2018年度診療報酬改定(地域包括ケア病棟)1 180305
2018年度診療報酬改定(地域包括ケア病棟)2 180305
2018年度診療報酬改定(地域包括ケア病棟)3 180305
2018年度診療報酬改定(地域包括ケア病棟)4 180305
 
 後者は施設基準を緩和するもので、200床未満の療養病棟を主体とする病院などで難しかった「在宅療養支援病院の取得」などをせずに、地域包括ケア病棟が可能となりました。

しかし、地域包括ケア病棟協会の調査(113病院が回答)によれば、2018年度以降に地域包括ケア病棟の設置を検討している7病院のうち、2病院ではすでに「訪問看護ステーションを敷地外に設置」しており、現在、「敷地内への移転・再移転を検討している」状況といいます。

仲井会長は、「訪問看護ステーションの移設・再移設は無駄ではないか」とコメント。厚生労働省に向けて、「どのようにすれば無駄がなくなるのか検討してほしい」と要請しました。

2018年度改定を受け、地域包括ケア病棟等の機能分化が大きく進む見通し

また前者の改定内容は、地域の患者を積極的に受け入れる中小規模病院の地域包括ケア病棟を手厚く評価するものです(地域包括ケア病棟入院料の1と3)。200床以上の病院では、自宅等患者を積極的に受け入れても高い基本報酬を取得できないため(ただし、高く設定された【在宅患者支援病床初期加算】を算定できる)、「病床数の削減」を実施、または検討している病院があることが地域包括ケア病棟協会の調べで分かりました(回答113病院のうち、39病院が200床以上であったが、8病院が病床削減を実施・検討している)。

なお地域包括ケア病棟協会では、従前より地域包括ケア病棟を(A)急性期ケアミクス型(7対1・10対1以上+地域包括ケア病棟)(B)post acute連携型(入院患者の半数以上が他院の7対1・10対1からの転院患者である)(C)地域密着型(A・Bのいずれでもなく、急性増悪した自宅等患者(sub acute1)を積極的に受け入れる)—の3類型に分類しており、この3類型と、2018年度改定内容を照らし合わせると、次のような状況にあることが分かりました。

(A)「急性期ケアミクス型」:半数近くが200床以上の病院だが、200床未満への病床削減の意思はない。ただし、4分の1は入院料1・3をすでに取得し、2割強は取得を検討している(半数が入院料1・3取得意向)

(B)「post acute連携型」:4割弱が入院料1・3をすでに取得し、半数が入院料1・3の取得に向けて動いているおり、取得の意思なき病院は1割強にとどまる(8割弱が入院料1・3取得意向)

(C)「地域密着型」:過半数が入院料1・3をすでに取得し、4割弱が取得を検討している(9割超が入院料1・3取得意向)

 2018年度改定を受けて、「地域包括ケア病棟等の機能分化」が大きく進むと考えられます。
 
 

 

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