介護保険事業(支援)計画等の達成状況を点検・評価し、適切なサービス・人材確保進めよ―総務省



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 介護保険サービスや人材確保について「適切な目標値の設定」や「事後評価」等が十分になされていない。厚生労働省は、自治体に対し、こうした点を徹底するよう助言・指導を行うべきである。また、介護休業制度が国民や企業に十分浸透していないことに鑑み、制度周知に力を入れる必要がある―。

 総務省は6月19日に、こういった勧告「介護施策に関する行政評価・監視—高齢者を介護する家族介護者の負担軽減対策を中心として―」を行いました(総務省のサイトはこちら(勧告)こちら(勧告の概要)こちら(調査結果))。

定期巡回・随時対応サービスなど、地域ニーズを把握していない自治体も

 「介護サービスの充実」「家族介護からの脱却」「社会的入院の解消」を目指して、2000年度から公的介護保険制度がスタートしましたが、いまだ年間10万人を超える人が家族の介護・看護を理由として離職・転職をしています。このため安倍晋三内閣では、新たなアベノミクスの3本の矢の1つに「介護離職ゼロ」を掲げました(関連記事はこちら)。

 こうした中で総務省は、実際に家族介護を行っている人の認識、および行政(国や自治体)の取り組み状況などを調査。そこから浮かび上がった課題に基づいて、改善策を図るよう勧告を行ったものです。

 浮上した課題は次の4点です。それぞれについて見ていきましょう。
(1)介護保険サービスの整備
(2)介護人材の確保
(3)介護保険制度の周知
(4)家族介護者の求職・就業(働きながらの介護)

 まず(1)については、今般の意識調査で「現場のケアマネジャー(介護支援専門員)の4割が特別養護老人ホームについて、8割が在宅サービスや夜間対応、ショートステイなどについて不足を感じている」ことが分かりました。

ケアマネジャーは特養やショートステイなどが不足していると感じている
ケアマネジャーは特養やショートステイなどが不足していると感じている
 
 介護保険サービスは、地域のニーズ(いわば利用者数)を把握した上で、市町村の介護保険事業計画、都道府県の介護保険事業支援計画に基づいて「計画的な整備」が行われています。しかし総務省の調査では、▼介護保険事業(支援)計画でニーズを見込んでいないサービスがある(2都道府県・22市町村等では、夜間対応型訪問介護や定期巡回・随時対応型訪問介護看護などのニーズが未設定であった)▼介護保険事業(支援)計画デニーズを見込んでいても、利用実績と乖離しているサービスがある(夜間対応型訪問介護や定期巡回・随時対応型訪問介護看護では、利用実績が50%未満と過大なニーズ設定をしているケースや、150%以上と過少なニーズ設定をしているケースがある)—ことが判明。これがケアマネの「サービス不足感」を招いている可能性もあります。
介護ニーズ(利用見込み量)を記載していない介護保険事業(支援)計画もある
介護ニーズ(利用見込み量)を記載していない介護保険事業(支援)計画もある
 
 総務省はこの原因が「介護保険事業(支援)計画の達成状況を十分に点検・評価していない」ことにある(28.3%の自治体では点検・評価が未実施)とし、厚生労働省に対して次の2点を行うよう勧告しました(関連記事はこちら)。

(I)介護保険法や基本指針等の内容・趣旨を踏まえ、介護保険事業(支援)計画の各年度における達成状況の点検・評価を適切に実施するよう都道府県・市町村等に改めて助言する

(II)(I)の点検・評価状況を把握するとともに、効果的な点検・評価方法を都道府県・市町村等に示す

(III)「地域医療介護総合確保基金」事業計画に基づく介護保険サービスの整備のための事業について、実施都道府県等に対し、「各年度における事後評価の的確な実施」「未達成の場合の原因等の分析」を徹底するよう要請する

介護人材の確保に向け、「各年度の定量的な目標値」の設定をまず進めよ

(2)の人材確保は、少子高齢化により「サービスの受け手が増加する一方で、支え手が減少する」中で、最重要課題の1つと言えます。厚労省は「現状のまま推移すれば、2025年度には37万人超の介護人材不足が生じる」としていますが、総務省の調査では「現時点で、すでに介護人材不足によりサービス提供に支障が出ている」ことが再確認されました。例えば、「ヘルパー不足で年間20程度の事業所が廃止等している自治体がある」「80床分の特養が整備されているが、介護人材不足で65床しか稼働できない自治体がある」「特養のショートステイ受け入れを介護人材不足で休止している自治体がある」ことなどの実態が浮かび上がってきています。

この原因について総務省は、▼都道府県の介護保険事業支援計画の中に、人材確保に関する『各年度の定量的な目標値』設定が進んでいない(2015年度目標値は9割の自治体で未設置)▼都道府県が十分に管内の介護職員数を把握していない(3分の1の自治体では、都道府県の把握人数が厚労省把握人数と5000人以上乖離している)—と分析。厚労省等に次のような勧告を行いました。

(I)都道府県に対し、介護保険事業支援計画において「各年度の介護人材の確保に係る定量的な目標設定」「毎年度の点検」などを徹底するよう助言し、未達の場合に原因分析などを徹底するよう助言する

(II)国が把握した数字をもとに「都道府県内の介護職員数」などを補正し、この情報を毎年度提供する

(III) 介護福祉士修学資金等貸付事業の利用が促進されるよう、介護の仕事に対する啓発、貸付制度の周知への一層の対応を図る

各年度の「介護人材確保」の定量的目標値を設定している自治体は少ない
各年度の「介護人材確保」の定量的目標値を設定している自治体は少ない
 

家族介護者の多くは「介護休業制度」を知らない、制度の周知急げ

 (3)は「働きながら介護に従事する」ための仕組み(介護休業制度など)が、十分に国民に浸透していない点の改善を求めるものです。総務省の調査では、▼家族介護者の95.7%が介護休業を利用したことがなく、うち63.4%は介護休業制度そのものを知らなかった▼企業の過半数(51.6%)において介護休業制度の2016年度改正内容が就業規則に適切に反映されていなかった―ことなどが判明。厚労省等に対し、次のような取り組みを行うよう勧告しています。

(I) 家族介護者が介護休業制度等の内容を十分に理解できるよう、地域包括支援センターから十分な情報提供等が行われる必要がある。センターに情報提供等を行うよう、地方労働局に指示する

(II)事業所が介護休業制度等を就業規則に適切に盛り込むよう、周知すべき団体・機関を明確にし、その要請を徹底するよう地方労働局へ指示する

(III)そもそもの介護保険制度への理解を促すため、40歳到達者などへ「介護保険制度」等の周知を徹底する

介護休業制度等の浸透はまだまだ十分ではないようだ
介護休業制度等の浸透はまだまだ十分ではないようだ
 

「家族介護をしながら就職できる」ようきめ細やかに支援せよ

さらに(4)では、一度、家族介護のために離職した場合、「介護をしながら新たに職につく」ことが極めて難しい状況であることが再確認されました。総務省の今般の調査では、▼介護離職時に仕事の継続希望があり、就職活動を行った者のうち、56.3%は再就職できていない▼再就職し、現在、正規雇用されている人は20.6%にとどまる(介護離職時に正規雇用であった人は49.5%であり、その半分未満である)—ことが分かりました。総務省は、厚労省に対し、次のような取り組みを行うよう求めています。

(I)ハローワークシステムの機能活用などにより「家族介護者の求職、就職」の実態を的確に把握し、分析する

(II)(I)の結果を踏まえ、女性、高年齢者等に対するきめ細かな就職支援と同様に、「家族介護者である求職者」に重点を置いた就職支援の在り方を検討する
 
 

 

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