10種類以上の多剤処方、最高の北海道と最低の新潟県で2倍近い開き―厚労省



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 処方箋1枚当たりの薬剤種類数別の都道府県間で大きなバラつきがある。高齢者では薬剤種類数が多くなりがちな点を考慮して年齢調整を行っても、バラつきは大きく、薬剤が5種類以上の処方箋割合が最も高いのは熊本県で30%超、最も低いのは神奈川県で25%に満たない。また10種類以上の処方箋割合は、北海道で5.6%程度と最も高く、新潟県で2.8%程度と最も低い―。

 厚生労働省は6月7日に「薬剤種類数別にみた処方せん枚数(受付回数)の分布」を公表し、こうした状況を明らかにしました(厚労省のサイトはこちら)。

処方内容の再点検と薬剤処方の適正化を改めて意識することが必要

 「多剤投与による有害事象」(ポリファーマシー)がかねてから問題視され、厚労省は薬剤種類数の適正化に努めています。例えば、高齢者においては複数の疾病を抱えるケースが多く、薬剤種類数が多くなりがちですが、生理機能の低下・変化も生じ、有害事象が生じやすくなります。そこで「高齢者の医薬品適正使用の指針(総論編)」をまとめ、医師・歯科医師・薬剤師が密接に連携し、常に薬剤使用の適正化(減量や処方変更など)に取り組むことを求めています(関連記事はこちらこちら)。

 また2018年度の診療報酬(調剤報酬)改定においては、薬剤師から医療機関側に減薬に向けたアプローチを行い、減薬が実現したことを評価する【服用薬剤調整支援料】(125点)が新設されるなど、「高齢者の医薬品適正使用の指針(総論編)」を先取りした見直しが行われています(それ以前にも2016年度改定で、薬剤種類が6種類以上の入院患者について退院時に2種類以上減薬した場合を評価する【薬剤総合評価調整加算】(250点)なども設けられている)。

服用薬剤調整支援料の概要
服用薬剤調整支援料の概要
 
そうした中で厚労省は、「1回当たり何種類の薬剤が処方されているのか」を定期的に把握。今般、2017年3月調剤分のレセプトをもとに、▼都道府県別▼年齢階級別—に、処方箋1枚当たりの薬剤種類数を示しました。

まず「年齢」と「薬剤種類数」との関係を見ると、75-100歳にかけて「年齢が高くなるにつれて、薬剤種類数が多くなる」傾向が見られました。75歳から5歳きざみに「5種類以上の薬剤が処方されている処方箋」の割合を見ると、▼75-79歳:31%▼80-84歳:36%▼85-89歳:42%▼90-94歳:49%▼95-99歳:48%—という状況です。また、10歳未満の小児では、10歳以上の年齢階級に比べて薬剤種類数の多い処方箋割合が高いことも分かりました。
薬剤種類数の状況(2017年3月調剤分)1 180607
 
次に、都道府県別に「薬剤種類数の多い処方箋」割合を見てみると、次のように大きなバラつきがあることが改めて明確になりました。高齢になると複数の傷病を抱え、薬剤種類数が多くなる傾向があることから、「年齢調整」(都道府県間で人口構成を揃える)を行ったうえで比較しています(厚労省のサイトでは、6-9種類の状況も示されています)。
薬剤種類数の状況(2017年3月調剤分)2 180607
 
【5種類以上】
▼最高は熊本県(30%超)、最低は神奈川県(25%未満)
▼熊本県と北海道では30%超
▼神奈川県、新潟県、奈良県、山口県、愛媛県では25%未満
薬剤種類数の状況(2017年3月調剤分)3 180607
 
【10種類以上】
▼最高は北海道(5.6%程度)、最低は新潟県(2.8%程度)
▼北海道、大分県、長崎県、高知県、熊本県、大阪府では5%超
▼新潟県、静岡県、神奈川県では3%未満
薬剤種類数の状況(2017年3月調剤分)4 180607
 
 10種類以上で見ると、最高の北海道と最低の新潟県では2倍近い格差・バラつきがあります。都道府県別に疾病構造の違いはありますが、「10種類もの多剤投与が必要な患者」割合がこれほど大きく異なるとは考えにくく、「処方内容の再点検」と「適正化に向けた取り組みの推進」を改めて意識する必要がありそうです。
 
 

 

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