CT・MRIの多数配置による、疾病の早期発見等のメリットも勘案せよ―日病協



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 我が国では諸外国に比べてCTやMRIの機器配置が多いとの指摘があるが、単に「数」だけを見た議論をするのでなく、疾患の早期発見・早期治療につながるといった「効果」なども含めて考えるべきである―。

 6月13日に開催された日本病院団体協議会・代表者会議で、こうした点を確認したことが、会議後の記者会見で、山本修一議長(国立大学附属病院長会議常置委員長、千葉大学医学部附属病院長)から明らかにされました。

6月13日の日本病院団体協議会・代表者会議後に記者会見を行った山本修一議長(国立大学附属病院長会議常置委員長、千葉大学医学部附属病院長、向かって右)と長瀬輝諠副議長(日本精神科病院協会副会長、医療法人社団東京愛成会理事長・同回高月病院院長、向かって左)
6月13日の日本病院団体協議会・代表者会議後に記者会見を行った山本修一議長(国立大学附属病院長会議常置委員長、千葉大学医学部附属病院長、向かって右)と長瀬輝諠副議長(日本精神科病院協会副会長、医療法人社団東京愛成会理事長・同回高月病院院長、向かって左)
 

CT・MRI等の配置によりメリット・デメリット、「データ」に基づいて検討すべき

 我が国では先進諸国に比べて、CT・MRIの配置が際立って多いというデータがあります。さらに、厚生労働省は「CT・MRIの配置が多くなると、CT・MRI撮影患者が増える」との分析を行っており、「供給が需要を生んでいる」可能性を暗に示唆しています。このため、2018年度からの新たな医療計画(第7次医療計画)では、▼「医療機器の安全管理等に関する事項」として、CT・MRIなどの高度な医療機器について「配置状況」に加えて、「稼働状況」等を確認し、「保守点検」を含めた評価を行う▼CT・MRIなどの医療機器を有する診療所について、「保守点検を含めた医療安全の取組状況」について定期的に報告を求める―こととされました(関連記事はこちらこちら)。

人口当たりのCT・MRI台数が増えると、CT・MRI撮影を受けた患者数も増える傾向にある(供給が需要を生んでいる可能性)
人口当たりのCT・MRI台数が増えると、CT・MRI撮影を受けた患者数も増える傾向にある(供給が需要を生んでいる可能性)
CT・MRI保有台数の多い地域(高知県や鹿児島県など)では、月当たりの撮影患者数が少なく、「非効率的な運用」となっている可能性がある
CT・MRI保有台数の多い地域(高知県や鹿児島県など)では、月当たりの撮影患者数が少なく、「非効率的な運用」となっている可能性がある
 
また、医療被曝(検査・治療などに伴って患者が受ける放射線被曝)の適正管理に関する議論の中でも、「我が国では、先進諸国に比べて、医療被曝線量が高く、CT・MRI撮影の件数も多い」ことが指摘されています。この点について議論した6月6日の社会保障審議会・医療部会では猪口雄二委員(全日本病院協会会長)から「CT・MRI撮影の件数だけが問題視され、それが不適切な医療被曝を招いているかのような指摘があるが、データに基づいた議論を行うべき」との注文が付いています(関連記事はこちら)。
医療被曝(医療部会)2 180606
医療被曝(医療部会)1 180606
 
この点について、国立大学附属病院長会議や日本精神科病院協会、日本病院会、全日本病院協会などの病院団体で構成される日本病院団体協議会(日病協)でも議論となり、6月13日の日病協・代表者会議では、「被曝線量管理の在り方、危険ライン(どの程度の線量を浴びると危険なのか)、CT・MRI配置数が多いことのメリット・デメリットなどをデータに基づいて分析せず、単純に『機器数が多い』という点だけを捉えた議論は好ましくない」という認識で一致しました。

我が国ではがん検診受診率などは低いものの、CT・MRI等が多くの医療機関で整備され、「これがために、がんの早期発見・早期治療に結びついている」との指摘もあります。一方、多数の機器整備には、「投資コストを回収するために過剰な検査を誘発している可能性がある」「医療被曝が増加してしまう」といったデメリットがあるかもしれません。こうした点をデータに基づいて議論することが重要であり、今後の厚労省や医療関係団体によるデータ集積・分析に期待が集まります。

 
また6月13日の日病協・代表者会議では、社会保障の費用推計について「患者減少(とくに外来患者の減少)なども勘案し、診療報酬などの『単価引き上げ』も見据えた推計を行っていくべき。過去の推計値と実際の数字では大きな乖離がある(制度改革などにより、推計ほど医療・介護給付費は増加していない)」との点でも意見が一致しています。厚労省は5月21日の経済財政諮問会議に「地域医療構想の実現や医療費適正化計画の推進、介護サービスの充実などを勘案すると、2040年の医療・介護給付費は92.5-94.3兆円となる」といった推計結果を示していますが、日病協などの指摘を踏まえ「追加集計」などが行われるのか、今後の動きを見守る必要がありそうです(関連記事はこちら)。

地域医療構想の実現や医療費適正化計画などにより、医療・介護給付費は、2040年度には92.5-94.37兆円となると考えられる
地域医療構想の実現や医療費適正化計画などにより、医療・介護給付費は、2040年度には92.5-94.37兆円となると考えられる

 
なお、消費税問題について日本医師会の医業税制検討委員会が、「非課税制度を前提に、診療報酬に仕入税額相当額として上乗せしている2.89%相当額を上回る仕入消費税額については、税額控除(還付)を認める仕組み」を、医療界の一本化した意見とすべきと提言している点について、山本議長は「日医と四病院団体協議会(日本病院会、全日本病院協会、日本医療法人協会、日本精神科病院協会で構成)との協議がまとまった段階で、日病協としても議論していくことになる」とコメント。医療界での意見一本化に期待を寄せました(関連記事はこちらこちらこちら)。
 
 

 

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