10歳代までは白血病、20歳代は胚細胞腫瘍・性腺腫瘍、30歳代では乳がんが多い―国がん



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 小児(0-14歳)およびAYA世代(ここでは15-39歳)に多いがんは、小児では▼白血病▼脳腫瘍▼リンパ腫▼胚細胞腫瘍・性腺腫瘍▼神経芽腫—、15-19歳では▼白血病▼胚細胞腫瘍・性腺腫瘍▼リンパ腫▼脳腫瘍骨腫瘍—、20-29歳では▼胚細胞腫瘍・性腺腫瘍▼甲状腺がん▼白血病▼リンパ腫▼子宮頸がん―、30-39歳では▼乳がん▼子宮頸がん▼胚細胞腫瘍・性腺腫瘍▼甲状腺がん▼大腸がん―などである―。

 国立がん研究センター(国がん)は5月30日に、こういったデータ分析結果を示しました(国がんのサイトはこちらこちら)。

年間のがん罹患数、小児2100人、15-19歳900人、20歳代4200人、30歳代1万6300人

 昨年(2017年)から新たながん対策推進基本計画(第3期計画)がスタートしており、そこでは5年間(がん対策推進基本計画は概ね5年計画である)の全体目標として▼科学的根拠に基づくがん予防・がん検診の充実▼患者本位のがん医療の実現▼尊厳を持って安心して暮らせる社会の構築―を掲げています(関連記事はこちら)。

こうした目標を達成するために、(1)がん予防(検診の受診率向上など)(2)がん医療の充実(3)がんとの共生(仕事と治療の両立など)(4)がん研究や人材育成などの基盤整備―という4つの分野別施策を設け、このうち(2)の「がん医療の充実」の中に「小児・AYA世代のがん」対策が盛り込まれています。

小児とは、冒頭に示したように0-14歳を、AYA世代とは「思春期」(Adolescent)と「若年成人」(Young Adult)を合わせた世代のことで、ここでは15-39歳をさします。小児・AYA世代では、例えば「罹患しやすいがんの種類が異なる」「難治性のがんも少なくない」「小児では教育と治療の両立が必要となる」「AYA世代では、とくに妊孕性(精子保存や卵巣組織凍結保存など)を考慮しなければならない」など、成人世代とは異なる対策が求められます。

 国がんは今般、小児・AYA世代のがん対策充実に向けた第一歩として、2009-11年に新たにがんと診断された小児・AYA世代のがん罹患率を人口集団ベースで集計し、分析を行いました。27府県(青森、秋田、山形、福島、茨城、栃木、群馬、新潟、石川、福井、山梨、長野、岐阜、愛知、滋賀、京都、和歌山、島根、岡山、広島、徳島、愛媛、高知、佐賀、長崎、熊本、大分)のデータを対象としており、2007年の前回分析(15府県)よりも母集団が拡大されています。

 まず人口10万人当たりのがん罹患率を見ると、▼小児(0-14歳)では12.3▼15-19歳では14.2▼20-29歳では31.1▼30-39歳では91.1—となっています。2013年における平均がん罹患率は、男性805.6・女性556.3で「小児やAYA世代でがんに罹患する人は少ない」ことが分かりますが、「症例が集積できず、研究がなかなか進まない」ことにもつながります。

小児・AYA世代におけるがん罹患率の状況(青の折れ線グラフが男性、赤の折れ線グラフが女性、緑の折れ線グラフが男女計)
小児・AYA世代におけるがん罹患率の状況(青の折れ線グラフが男性、赤の折れ線グラフが女性、緑の折れ線グラフが男女計)
 
また罹患率を日本全体の人口にあてはめ、「1年間のうちにがんと診断される小児・AYA世代の患者数」を推計すると、▼小児(0-14歳)では約2100人▼15-19歳では約900人▼20-29歳では約4200人▼30-39歳では約1万6300人―となります。

 なお、2007年の推計に比べて患者数が増加していますが、国がんでは「がん登録の精度が向上したことが原因」と見ています(適切にがん症例を把握できるようになっている)。

 
この点、国では、こうした少ない小児がんの症例数を集約し、効果的な治療法などの開発に向けて「小児がん拠点病院」を設けており、現在、▼北海道大学病院(北海道札幌市)▼東北大学病院(宮城県仙台市)▼埼玉県立小児医療センター(埼玉県さいたま市)▼国立成育医療研究センター(東京都世田谷区)▼東京都立小児総合医療センター(東京都府中市)▼神奈川県立こども医療センター(神奈川県横浜市)▼名古屋大学医学部付属病院(愛知県名古屋市)▼三重大学医学部付属病院(三重県津市)▼京都大学医学部附属病院(京都府京都市)▼京都府立医科大学付属病院(京都府京都市)▼大阪府立母子保健総合医療センター(大阪府和泉市)▼大阪市立総合医療センター(大阪府大阪市)▼兵庫県立こども病院(兵庫県神戸市)▼広島大学病院(広島県広島市)▼九州大学病院(福岡県福岡市)—の15病院が指定されています。

小児がんの4割弱は白血病、30歳代では女性乳がんが22%に

次に、がんの種別に罹患率を見てみると、次のような状況です。10歳代までは白血病、20歳代は胚細胞腫瘍・性腺腫瘍、30歳代になると女性乳がんが第1位となっています。

【小児0-14歳】
(1)白血病:38%(2)脳腫瘍:16%(3)リンパ腫:9%(4)胚細胞腫瘍・性腺腫瘍:8%(5)神経芽腫:7%
【15-19歳】
(1)白血病:24%(2)胚細胞腫瘍・性腺腫瘍:17%(3)リンパ腫:13%(4)脳腫瘍:10%(5)骨腫瘍:9%
【20-29歳】
(1)胚細胞腫瘍・性腺腫瘍:16%(2)甲状腺がん:12%(3)白血病:11%(4)リンパ腫:10%(5)子宮頸ががん:9%
【30-39歳】
(1)女性乳がん:22%(2)子宮頸がん:13%(3)胚細胞腫瘍・性腺腫瘍:8%(4)甲状腺がん:8%(5) 大腸がん:8%

小児・AYA世代のがん患者の内訳(男女合計)、10歳代までは白血病(白部分)、20歳代は胚細胞腫瘍・性腺腫瘍(濃い目の橙色部分)、30歳代になると女性乳がん(薄い桃色部分)が第1位である
小児・AYA世代のがん患者の内訳(男女合計)、10歳代までは白血病(白部分)、20歳代は胚細胞腫瘍・性腺腫瘍(濃い目の橙色部分)、30歳代になると女性乳がん(薄い桃色部分)が第1位である
小児・AYA世代のがん患者の内訳(男性)
小児・AYA世代のがん患者の内訳(男性)
小児・AYA世代のがん患者の内訳(女性)
小児・AYA世代のがん患者の内訳(女性)
 
 

 

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