2025年度には介護人材が34万人不足、処遇改善などで年間6万人の確保を目指す―厚労省



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 今年度(2018年度)からの第7期介護保険事業計画を基に、「将来、必要となる介護人材」の数を推計すると、2020年度には約216万人、2025年度には約245万人となる。今後、年間6万人程度の介護人材確保が必要である―。

 厚生労働省は5月21日に、こういった推計結果を公表しました(厚労省のサイトはこちら)(関連記事はこちら)。

2016年度に比べ、2020年度には26万人、2025年度には55万人の介護人材確保が必要

 2025年には、いわゆる団塊の世代がすべて75歳以上の後期高齢者となるため、医療・介護ニーズが今後、飛躍的に増加していきます。ニーズの増加に合わせて、医療・介護の支え手(医療・介護従事者)も増加させなければなりません。

他方、とくに介護の現場は、「いわゆる3K(きつい、危険、汚い)職場でありながら、給与が低い」との指摘もあり、現在でも人材の確保に苦慮しています。

そうした中で、厚労省は2020年度、2025年度に「介護人材がどの程度必要になるのか」を、今年度(2018年度)から2020年度を対象とした第7期介護保険事業計画(各市町村において、介護サービスをどの程度整備するのかなどを定める)を基に推計しています。

まず第7期計画の最終年度となる2020年度には、全国で約216万人の介護人材が必要となります。2016年度時点の介護人材は190万人と推計されており、26万人の乖離があります。

また段階の世代がすべて後期高齢者となる2025年度には、全国で約245万人の介護人材アが必要となります。2016年度時点とくらべて55万人の乖離があります。

2020年度には約216万人、2025年度には約245万人の介護人材が必要と推計され、2016年度と比べて2020年度までに約26万人、2025年度までに約55万人の人材確保が求められる
2020年度には約216万人、2025年度には約245万人の介護人材が必要と推計され、2016年度と比べて2020年度までに約26万人、2025年度までに約55万人の人材確保が求められる
 
なお、現状のままで推移した場合、2020年度の介護人材は約203万人(13万人の不足)、2025年度には約211万人(34万人の不足)となり、乖離を放置することはできません。厚労省は、今後、介護人材を「年間6万人程度」確保する必要があるとし、(1)介護職員の処遇改善(2)多様な人材の確保・育成(3)離職防止・定着促進・生産性向上(4)介護職の魅力向上(5)外国人材の受入環境整備—など総合的な介護人材確保対策に取り組む考えも強調しています。

このうち(1)については、2019年度に臨時・特別の介護報酬改定を行い「勤務継続10年以上の介護福祉士の賃金を、月額平均8万円程度アップする」ことが決まっています(2017年に安倍晋三内閣が決定した「新しい経済政策パッケージ」を受けたもの)(関連記事はこちら)。

また(2)では、例えば「生活援助中心型のサービスに従事する人向けの研修」創設(2018年度介護報酬改定、併せて報酬を引き下げ)や、「元気な高齢者」を介護サポーターに登用する取り組み、などが行われるほか、▼中高年齢者等の介護未経験者に対する入門的研修から、研修受講後のマッチングまでの一体的支援▼介護福祉士養成施設における人材確保の取組支援—などにも力が入れられます。

総合的な介護人材確保対策の例
総合的な介護人材確保対策の例
 

東京や大阪、千葉など大都市とその近隣県では「数万人」単位での介護人材確保が必要

 なお、都道府県別に、2025年における介護人材の不足数(需要数-現状を投影した供給数)を見ると、次のようになっています。不足数を需要数で除した「不足率」で見ると、山梨県や佐賀県、島根県などで介護人材の充足度合いが高く、福島県や千葉県、京都府などで人材不足が著しい状況が伺えます。また実人数ベースで見ると、東京都、大阪府、千葉県あたりで介護人材不足が著しい状況です。都市部では他の業務も多く、介護人材の確保には今後も難渋しそうです。

▽北海道:▲1万9541人・不足率(不足人数÷需要数)16.8%
▽青森:▲3649人・不足率13.3%
▽岩手:▲3275人・不足率13.1%
▽宮城:▲4755人・不足率12.0%
▽秋田:▲3586人・不足率14.3%
▽山形:▲1805人・不足率7.9%
▽福島:▲1万777人・不足率25.9%
▽茨城:▲6916人・不足率14.4%
▽栃木:▲5220人・不足率16.0%
▽群馬:▲5028人・不足率12.6%
▽埼玉:▲1万6024人・不足率13.8%
▽千葉:▲2万8386人・不足率25.9%
▽東京:▲3万4665人・不足率15.6%
▽神奈川:▲2万1140人・不足率12.1%
▽新潟:▲3973人・不足率9.0%
▽富山:▲1731人・不足率8.0%
▽石川:▲1610人・不足率7.1%
▽福井:▲1077人・不足率8.9%
▽山梨:▲511人・不足率3.4%
▽長野:▲6801人・不足率15.2%
▽岐阜:▲6305人・不足率15.9%
▽静岡:▲7756人・不足率12.0%
▽愛知:▲1万1330人・不足率9.0%
▽三重:▲2894人・不足率8.1%
▽滋賀:▲3351人・不足率13.9%
▽京都:▲1万1113人・不足率20.7%
▽大阪:▲3万4495人・不足率16.6%
▽兵庫:▲2万522人・不足率18.8%
▽奈良:▲4852人・不足率15.6%
▽和歌山:▲2349人・不足率10.2%
▽鳥取:▲906人・不足率6.6%
▽島根:▲1006人・不足率5.6%
▽岡山:▲3941人・不足率9.8%
▽広島:▲6739人・不足率11.0%
▽山口:▲3578人・不足率11.2%
▽徳島:▲1409人・不足率8.9%
▽香川:▲2465人・不足率13.1%
▽愛媛:▲2965人・不足率9.1%
▽高知:▲1064人・不足率6.8%
▽福岡:▲9456人・不足率9.9%
▽佐賀:▲622人・不足率4.3%
▽長崎:▲3180人・不足率10.0%
▽熊本:▲2055人・不足率5.9%
▽大分:▲1607人・不足率6.3%
▽宮崎:▲3609人・不足率15.7%
▽鹿児島:▲2066人・不足率5.9%
▽沖縄:▲4501人・不足率20.5%

都道府県別にみた2020年度の状況(需要数と、現状のまま推移した場合の状況)と2025年度の状況(同)
都道府県別にみた2020年度の状況(需要数と、現状のまま推移した場合の状況)と2025年度の状況(同)
 
 

 

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