オンライン服薬指導、実証実験前の段階で「評価基準」は定められない―厚労省



Pocket

 ICT技術を活用したオンライン服薬指導等については、実証実験に向けた調整を進めている段階であり、現時点で「対面と遠隔(オンライン)とで同等か否か」を評価する指標を設定することは不適当である―。

 5月15日に開催された規制改革推進会議の「医療・介護ワーキング・グループ」で、従前、会議側から提言された「一気通貫の在宅医療」に対し、厚生労働省はこのような見解を示しました(関連記事はこちら)。

規制改革推進会議の「実証実験の結果を評価する基準示せ」との要望に、不適当と回答

規制改革推進会議は4月20日に、「オンライン診療や在宅医療を受けながら、医薬品を受け取るために薬局に出向かなければならない現行制度を改める必要があり、『オンライン服薬指導と訪問服薬指導の組み合わせ』、『処方箋の完全電子化』を進めよ」という旨の意見をまとめました(関連記事はこちら)。

前者の「オンライン服薬指導と訪問服薬指導の組み合わせ」については、スマートフォンやタブレット端末でも▼医薬品の副作用などに関する情報提供▼多剤併用の弊害防止▼残薬管理—などを実施でき、地方に多い「薬剤師1人で経営する薬局」が在宅での服薬指導ニーズに的確に応えるために、早急に認めるべきと要望。

さらに、「オンライン服薬指導について、技術上・オペレーション上の懸念があるのであれば、実証実験を行い、具体的な懸念点と、実証を通じて評価する基準等を明らかにするべき」とも求めていました。

 
こうした要望・提言について厚労省は、▼医療用医薬品には、重篤な副作用の恐れがあるため、患者と信頼関係を構築した「かかりつけ薬剤師・薬局」が対面で服薬指導を行うこと重要である▼地域包括ケアシステムの中で、かかりつけ薬剤師・薬局が寝たきり患者等に対し、積極的に居宅を訪問し、副作用や服薬状況を把握することが重要である―と「対面の原則」を再確認。

その上で、▼少子高齢化への対応▼生産性向上—の観点から「ICT技術の活用」も重要で、積極的に活用を検討することも確認。そこでは、「離島や過疎地など、対面での服薬指導が困難な地域に限定し、これらの地域要件を外した全国展開を前提としない」との国家戦略特区法の附帯決議にも言及し、上記の「対面の原則」の中でICT活用を進めていく考えを示しています。

このICT技術活用の検討について厚労省は、▼安全性確保の観点から、特区実証の結果を踏まえる予定で、現在、実証事業開始に向け、複数の地方公共団体と調整中である▼実証の実施基準については規定済(2017年11月)である▼実証の評価については、「遠隔(オンライン)は対面と同視しうる程度に丁寧な服薬指導が実施可能か否か」を確認する予定であるが、実証が始まっていない段階で画一的な評価基準を作成することは、過剰な基準を設定することになりかねず、不適当である―との考えを提示。会議側の「実証実験を行うべき」との提言には、「行う予定である」とし、「実証を通じて評価する基準等を明らかにするべき」との提言には、「現時点では不適当」と答えた格好です。

 
なお、会議側は、厚労省の見解を踏まえて「実証実験」に関連する提言・要望を削除。その上で、さらに強く「必要性に迫られた医療資源の乏しい地域に居住する患者について、安全性を確保した上で、オンライン服薬指導と訪問服薬指導との組合せが可能となるよう、早急に制度を見直すべき」と要望するに至っています。
 
 

 

MW_GHC_logo

 

【関連記事】

オンライン服薬指導・処方箋完全電子化で「一気通貫の在宅医療」実現せよ―規制改革推進会議

保険診療上の【オンライン診療料】、実施指針よりも厳格に運用―疑義解釈1【2018年度診療報酬改定】(3)
【2018年度診療報酬改定答申・速報6】がん治療と仕事の両立目指し、治療医と産業医の連携を診療報酬で評価
【2018年度診療報酬改定答申・速報5】在総管と施設総管、通院困難患者への医学管理を上乗せ評価
【2018年度診療報酬改定答申・速報4】医療従事者の負担軽減に向け、医師事務作業補助体制加算を50点引き上げ
【2018年度診療報酬改定答申・速報3】かかりつけ機能持つ医療機関、初診時に80点を加算
【2018年度診療報酬改定答申・速報2】入院サポートセンター等による支援、200点の【入院時支援加算】で評価
【2018年度診療報酬改定答申・速報1】7対1と10対1の中間の入院料、1561点と1491点に設定

抗菌剤の適正使用推進、地域包括診療料などの算定促進を目指す—第375回 中医協総会(2)

オンライン診療等の実施指針案を固まる、技術革新等踏まえて毎年改訂―厚労省検討会
オンライン診療、セキュリティ対策を十分行えばスマホ同士でも可能―厚労省検討会
オンライン診療のルール整備へ議論開始―厚労省検討会

2019年10月から、勤続10年以上の介護職員で8万円の賃金アップ―安倍内閣
2018年度診療報酬改定、効果的・効率的な「対面診療と遠隔診療の組み合わせ」を評価—安倍内閣が閣議決定

遠隔診療、必ず「直接の対面診療」を経てから実施しなければいけないわけではない—厚労省
遠隔診療の取扱い明確化し、2018年度改定でICT活用した生活習慣病管理など評価せよ―規制改革会議
混合介護のルール明確化、支払基金のレセプト審査一元化・支部の集約化を進めよ—規制改革会議
AIを活用したがん治療や、オンライン遠隔診療など「医療・介護革命」を進めよ—自民党
複数医療機関による訪問診療を認めるべきか、患者の状態に応じた在宅医療の報酬をどう考えるか—中医協(1)
かかりつけ薬剤師指導料、対象患者は高齢者や多剤処方患者に絞るべきか—中医協総会(2)
生活習慣病の重症化予防、かかりつけ医と専門医療機関・保険者と医療機関の連携を評価―中医協総会(1)
7対1・10対1入院基本料、看護配置だけでなくパフォーマンスも評価する報酬体系に―中医協総会(1)
主治医機能に加え、日常生活から在宅までを診る「かかりつけ医機能」を評価へ―中医協総会(1)
2018年度診療報酬改定に向け、臨床現場でのICTやAIの活用をどう考えるか―中医協総会(1)
2018年度改定に向けた議論早くも始まる、第1弾は在宅医療の総論―中医協総会

2018年度診療報酬改定で、オンライン診療を組み合わせた生活習慣病対策などを評価—未来投資会議

遠隔診療、「離島」「在宅酸素療法」などはあくまで例示、場合によっては初診でも可能―厚労省

オンライン診療料、要件緩和や初診での導入など検討せよ―規制改革推進会議ワーキング

Pocket