2019から21年度も、社会保障費の伸びを3年間で1.5兆円に抑えよ―経済同友会



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 いわゆる団塊の世代がすべて75歳以上の後期高齢者となる2025年より前に、国の基礎的財政収支(PB、プライマリバランス)を黒字化する必要がある。そのために2019-21年度(構造改革期間)も「社会保障関係費の伸びを3年間で1.5兆円以下にする」との目標を定めるとともに、「給付費そのものの抑制」「経済・物価・人口構造等に応じた給付率調整を行う仕組み」などを進めていく必要がある―。

 5月14日に開催された財政制度等審議会・財政制度分科会で、経済同友会はこういった提言を行いました。

「給付費そのものの抑制」「経済・物価・人口構造等に応じた給付率調整」なども検討せよ

 経済の再生と財政の健全化を同時に達成することが求められ、政府は後者について「2020年度にプライマリバランスの黒字化」との目標を設定しましたが、達成は困難な状況です。

このため、より強力に「財政の健全化」を進めていく必要があるとされ、経済同友会は「いわゆる団塊の世代がすべて75歳以上の後期高齢者となる2025年より前に、プライマリバランスを黒字化する必要がある」と指摘。75歳以上の後期高齢者では、傷病や要介護のリスクが飛躍的に高まるため、社会保障費も増加していくからです。

財政を健全化させる方策は、(1)収入(歳入)を大きくする(2)支出(歳出)を小さくする―の2つです。経済同友会は、まず「財政健全化の基本は、(2)の歳出削減にある」とし、社会保障費の制度の抜本改革を求めています。また(1)の歳入増については「消費税率の引き上げが必要」と訴えます。

前者の社会保障改革に関しては、財政制度分科会を初めとする会議等で「受診時定額負担の導入(3割負担とは別の一部負担導入)」「1人当たり医療費の地域差解消」「75歳以上の後期高齢者における自己負担を1割から2割に引き上げる」「介護保険の自己負担を1割から2割に引き上げる」「世軽度者への生活援助サービス(介護保険)を地域支援事業に移管する」など、さまざまな提案がなされています(関連記事はこちらこちらこちらこちら)。
財政審 180514の図表
 
しかし、提案をすべて実現したとしても、歳出削減効果は2023年度時点で5兆円程度にとどまり、次のような「さらなる改革」を行うべきと経済同友会は指摘します。

▽2019-21年度にも、2016-18年度の集中改革期間と同様に「社会保障関係費の伸びを3年間で1.5兆円以下にする」との目標を定める

▽給付費そのものの抑制を図る

▽いわゆる団塊の世代が後期高齢者になり始める2022年度までに「データヘルス」の推進を含めて、社会保障制度改革に明確な道筋をつける

▽社会保障費抑制策として、▼所得だけでなく資産も考慮した負担への見直し▼診療報酬・介護報酬の適正化▼経済・物価・人口構造等に応じた給付率調整を行う仕組みの導入▼AI等を活用したケアプランの適正化▼年金におけるマクロ経済スライドの名目下限の撤廃—などを検討する

 
 また、後者の消費増税については、10%への引き上げ(2019年10月)を確実に実行するとともに、2021年度以降、「毎年1%」の引き上げを行うよう要請。生産性の向上や社会保障費の伸び率などにも左右されるが、2024年度(消費税率14%)から28年度(消費税率18%)においてプライマリバランスが黒字化すると見込んでいます。
 
 

 

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