少子化対策の一環として、全妊産婦へ「産後に必要な支援」等を提供せよ―日看協



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 地域包括ケアシステムの推進に向けて、来年度(2019年度)予算で(1)自治体保健師の計画的配備(2)すべての妊産婦が産後に必要な支援を受けられる体制整備の推進(3)精神保健福祉施策の推進・充実に向けた保健師の人材確保―を行ってほしい―。

 日本看護協会は5月7日と8日に、厚生労働省健康局の福田祐典局長と同省子ども家庭局の吉田学局長、同省障害保健福祉部の宮嵜雅則に宛てて、こういった要望を行いました(日看協のサイトはこちら)。

自治体保健師の役割が広がっていることを踏まえ、人材の確保・育成を

 いわゆる2025年問題(団塊の世代がすべて後期高齢者となるため、今後、医療・介護ニーズが急速に増加していく)に対応するため、地域包括ケアシステムの構築が重要課題に据えられています。

後者の地域包括ケアシステムは、医療・介護ニーズが高くなっても、可能な限り住み慣れた地域での生活を続けられるように、▼住まい▼医療▼介護▼予防▼生活支援―を、地域の実情に応じて総合的・一体的に提供する仕組みですが、最近では要介護高齢者にとどまらず「障害者」「子育て世代」なども対象に含めるべきとの指摘が強くなってきています。

そうした中で、日看協は、健康寿命の延伸に向けて、保健師による「重症化予防」「介護予防」「健康管理」などの取り組みがさらに重要になるとともに、保健師の役割が「母子保健」「精神保健福祉」「生活困窮者支援」へと拡大している状況を踏まえ、▼自治体保健師の計画的な人材確保および適切な配置の推進▼市町村の統括保健師の配置および人材育成計画の策定の推進—を来年度(2019年度)予算において実行するよう要望しています。

後者の統括保健師は、2013年の通知「地域における保健師の保健活動について」の中で、都道府県・市町村に対し「保健師の保健活動を組織横断的に総合調整および推進し、技術的および専門的側面から指導する役割を担う部署を保健衛生部門等に明確に位置づけ、保健師を配置する」との努力義務に基づく、地域の保健活動を統括的に推進する保健師のことです。2017年5月時点では、この統括保健師は都道府県では97.9%で配置されていますが、市町村では49.7%にとどまっていることから、今般の要望につながっています。

 
また深刻な少子化によって、我が国の存立そのものが危惧される中では、「妊産婦」や「子育て世代」への支援充実が欠かせません。日看協では、この観点から▼子育て世代包括ケア実現に向けた体制整備と保健師・助産師の活用の推進▼児童相談所における保健師の配置の推進▼すべての妊産婦が産後に必要な支援を受けられる体制整備の推進—を要望しています。

3点目の妊産婦支援については、「産後うつ予防」や「新生児への虐待予防」などのための産婦健康診査事業の前提となる「産後ケア事業」(家族等から出産後の支援が受けられない母子に、日帰りでのケアを提供する事業)を実施している市町村は179自治体・10.3%にとどまっている(2017年度)実態などを踏まえ、▼全妊産婦が分娩取扱施設で2週間健診を受けられる予算の確保▼全妊産婦が産後に適切な相談対応と質の高い支援を受けられるよう、助産師をはじめとする看護職の育成—を要望しています。

 
また精神障害者については、地域移行・地域定着が進められていますが、そこで障害者を支援する体制の整備・充実が必要となります。この点、日看協では▼精神障害者にも対応する地域包括ケアシステム構築のために、自治体における保健師採用の推進▼人材育成のための予算措置―を行うよう、要望しています。
 
 

 

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