2015年以降、「1月分」でも在院日数短縮と利用率上昇を両立―病院報告、2018年1月分



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 2015年以降の「1月分」の平均在院日数・病床利用率を見ると、平均在院日数の短縮と、病床利用率の向上を両立できており、「新規入院患者をしっかり確保しながら、平均在院日数を短縮して医療の質を高めている」理想的な状態にある―。

 こうした状況が、厚生労働省が5月9日に公表した2018年1月分の病院報告から分かりました(厚労省のサイトはこちら)。

例年、12月末の大幅低下の反動で、1月末の病床利用率は大幅増になる

 厚労省は毎月、病院の(1)1日平均患者数(2)平均在院日数(3)月末病床利用率―を「病院報告」として公表しています(2017年12月分の状況はこちら、11月分の状況はこちら、10月分の状況はこちら)。

 今年(2018年)1月における(1)の1日平均患者数は、病院全体で入院126万2713人(前月比1万4858人・1.2%増)、外来126万9738人(同7万8325人・5.8%減)となり、入院は微増、外来は大幅減となりました。1月に外来患者が大幅に減少することは、例年どおりの傾向です。

医療法上の病床種別に入院患者数の動向を見ると、▼一般病床:69万1208人(同1万3416人・2.0%増)▼療養病床:28万5905人(同909人・0.3%増)▼精神病床:28万3869人(同589人・0.2%増)▼結核病床:1653人(同75人・4.3%減)―などという状況です。結核病床をのぞき、入院患者数は増加しています。

2018年1月、前月に比べて病院の患者数は、入院は微増、外来は大幅減少となった
2018年1月、前月に比べて病院の患者数は、入院は微増、外来は大幅減少となった
  
 (2)の平均在院日数については、病院全体では29.7日で前月と比べて2.3日延伸してしまいました。病床種別に見ると、▼一般病床:17.2日(前月と比べて1.4日延伸)▼療養病床:149.0日(同11.1日延伸)▼介護療養病床:334.2日(同27.8日延伸)▼精神病床:289.3日(同18.1日延伸)▼結核病床:70.1日(同4.4日延伸)―となり、全病床種類で延伸しています。
2017年1月、一般病床の平均在院日数は前月に比べて延伸してしまった
2017年1月、一般病床の平均在院日数は前月に比べて延伸してしまった
 
 また(3)の月末病床利用率に目を移すと、病院全体では82.9%で、前月に比べて10.3ポイントも上昇しています。病床種別に見ると、▼一般病床:80.5%(前月比17.8ポイント上昇)▼療養病床:88.4%(同0.9ポイント上昇)▼介護療養病床:90.0%(同0.5ポイント低下)▼精神病床:85.4%(同増減なし)▼結核病床31.1%(同0.8ポイント低下)―という状況です。一般病床で大幅にアップしていますが、「年末年始は自宅に戻りたい」という患者の希望があり「12月末には病床利用率が大幅に低下する」ことが例年の傾向で、その反動が1月に来ていることが背景にあります。2017年11月末と比べると、一般病床では3.5ポイント増という状況です。
例年、12月末の病床利用率大幅ダウンの反動で、1月末は大幅にアップする
例年、12月末の病床利用率大幅ダウンの反動で、1月末は大幅にアップする
 

10・11・12・1月分データでは、「平均在院日数の短縮」と「病床利用率の向上」を両立

 一般病床における1月分の平均在院日数の推移を見てみると、▼2012年:18.8日→(0.3日短縮)→▼2013年:18.5日→(0.3日短縮)→▼2014年:18.2日→(0.5日短縮)→▼2015年:17.7日→(0.4日延伸)→▼2016年:17.3日→(増減なし)→▼2017年:17.3日→(0.1日短縮)→▼2018年:17.2日―となっています(厚労省のサイトはこちら、ページ下部に毎月の状況がまとめられています)。2012年以降、一貫して短縮傾向にあると言ってよいでしょう。

 一方、月末病床利用率は、▼2012年:79.1%→(0.2ポイント上昇)→▼2013年:79.3%→(1.8ポイント低下)→▼2014:77.5%→(3.0ポイント低下)→▼2015年:74.5%→(0.1ポイント上昇)→▼2016年:74.6%→(4.3ポイント上昇)→▼2017年:78.9%→(1.6ポイント上昇)→▼2018年:80.5%―という状況です(厚労省のサイトはこちら、ページ下部に毎月の状況がまとめられています)。2015年以降、上昇カーブを描いています。

 メディ・ウォッチで度々お伝えしているとおり、平均在院日数の短縮は、▼急性期病院における重症患者割合の向上▼DPC対象病院の「II群要件」の1つである「診療密度」向上―などに大きく寄与する、経営面において極めて重要なポイントとなります。加えて「院内感染」や「ADL低下」のリスク軽減につながるなど、医療の質向上に、患者の早期「日常生活への復帰」(例えば早期に職場復帰し、生活の安定を取り戻すなど)を可能とし、QOL向上にも大きく貢献します。急性期入院医療に限らず、すべての医療機関で在院日数短縮が求められます。

 一方で、単純な在院日数短縮は「空床」を生み(病床利用率が低下)、経営状況の悪化を招きます。そこで、▼かかりつけ医等と連携した、重症の紹介患者を確保▼救急搬送患者の積極的な受け入れ―といった新規入院患者の獲得策とセットで在院日数の短縮を進めることが、極めて重要です。

 「1月分」のデータを見ると、2015年以降「在院日数の短縮と、病床利用率の向上(つまり新規入院患者の獲得)とを両立できている」ことが分かりました。「10月分」「11月分」「12月分」についても同様の傾向が伺え、近年、理想的な状態で推移しつつあることが分かります(関連記事はこちらこちらこちら)。もっとも別の暦月データから、▼在院日数の短縮に新規入院患者の獲得が追いつかず、利用率が低下してしまった▼利用率が向上しているが、在院日数も伸びており、空床対策として在院日数をコントロールしている可能性が伺える―ことも分かっており、より長期の視点で分析をしていくことも必要です(関連記事はこちらこちら)。

  
 なお我が国は人口減少社会に入っており、都市部を除く地方では、すでに患者数が減少し始めています。こうした地域では新規入院患者の獲得にも限界があり、「ダウンサイジング」(病床の削減)や「近隣病院との再編・統合」なども視野に入れた検討を進めていくことも重要となります(関連記事はこちらとこちら)。
 
 

 

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