オンライン診療料、要件緩和や初診での導入など検討せよ―規制改革推進会議ワーキング



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 2018年度の診療報酬改定で新設された【オンライン診療料】などについて、要件の緩和や、初診での実施解禁などを検討していく必要がある。またICT・AIの技術進展を踏まえ、2年に一度の改定を待たずに見直しを行っていくべきである―。

 規制改革推進会議の医療・介護ワーキング・グループは5月8日に、このような意見をとりまとめました(内閣府のサイトはこちら)(関連記事はこちら)。

オンライン診療の実施指針に合わせて、診療報酬の要件を緩和せよ

 2018年度の診療報酬改定では、オンライン診療料等が新設されました。慢性疾患で状態が比較的安定している患者に対し、患者の同意を得た上で、例えばスマートフォンなどを用いて問診や必要な指導などを行うことが、保険診療の中で正面から認められたものです。

「通院の時間を確保できない生活習慣病等患者について、治療からのドロップアウトを防止する」「比較的状態の安定した在宅療養患者について、医師の訪問負担を軽減する」ことなどが期待されますが、初の試みであり、算定要件や施設基準は厳格に設定されています。例えば、対象患者について「初診から6月の間は毎月同一の医師により対面診療を行っている場合に限る」などの限定が行われています(関連記事はこちらこちら)。

オンライン診療料の概要
オンライン診療料の概要
オンライン医学管理料の概要
オンライン医学管理料の概要
オンライン在宅管理料の概要
オンライン在宅管理料の概要
 
この点について医療・介護ワーキングは、「通院困難な患者に対し、ICTやAI(人工知能)技術を活用して、患者が在宅のままオンラインで受診から服薬指導、薬の授受まで可能となる『一気通貫の在宅医療』を実現すべき」と訴え、「制度・規制を、技術の進歩に応じて、国民・利用者の目線で柔軟かつ不断に見直す必要がある」と提言します。

具体的には、【オンライン診療料】の施設基準や算定要件、また自由診療も含めたオンライン診療を行う場合に遵守すべき指針「オンライン診療の適切な実施に関する指針」について(関連記事はこちら)、次のような視点に立って見直しを検討するよう求めています。

(1)オンライン診療を診療報酬に反映させるための基本方針と、オンライン診療に係るデータ収集ルールを策定する
(2)オンライン診療の特性に合わせた包括的な診療報酬の仕組みを拡大する
(3)一定の要件を満たした上で、医療機関以外で医師がオンライン診療を提供することを認める
(4)「初診から6か月以上の毎月対面診療」要件を廃止する
(5)一定の条件を満たした上で、「初診におけるオンライン診療」も診療報酬の対象とする

まず(1)では、▼「オンライン診療の成果が対面診療と同等」と評価されるための具体的な条件を明らかにし、「その条件を満たした場合は診療報酬上の扱いも同等とする」との基本方針を策定する▼「対面診療で不可能だったことを可能にした」場合(例えばリアルタイムの患者の心身データの把握など)には、診療報酬で評価する▼オンライン診療に関するデータ収集のためのルールを策定する―ことなどを提案。いわば「効果」に着目した診療報酬の設定を求める考えです。さらに、ICT・AI技術はめまぐるしく進歩するため、「収集データ解析によるエビデンスが示され次第、2年に一度の改定を待たずに見直す」べきともコメントしています。

また(2)では、「時間的・空間的制約の少ないオンライン診療の促進」→「疾病予防や重篤化防止につながる」→「医療費全体の削減に資する可能性がある」との論理を展開した上で、「糖尿病や高血圧など、オンライン診療の特性に適した疾患を整理し、『予防医療』『継続的なモニタリングによる見守り』として包括的な診療報酬上の仕組みを検討すべき」と提案しています。厳密な意味では、「予防」は保険診療で認められていません(例えばインフルエンザの予防接種など)が、ここでいう「予防医療」は、「重症化防止」を意味すると考えられ、保険診療での積極的な活用に向けた議論が行われそうです。

 また(3)は、現在「当該保険医療機関に設置された情報通信機器を用いて診察を行うこと」という診療報酬上の要件について、「医師は、必ずしも医療機関においてオンライン診療を行う必要はない」という指針の考え方に合わせて、廃止することを求めるものです。

さらに、(4)では、上述した厳格な要件の1つである「初診から6か月は毎月同一医師の対面診療を受ける」という患者限定要件について、「かかりつけ医から紹介されて、遠方の専門医を受診する場合、要件を満たすことは難しい」といったケースを掲げ、「患者の合意のもとで対面とオンラインを組み合わせた療養計画が作成された場合、この要件は不要ではないか」必要はないのではないかと指摘しています。

 また(5)では、指針で「一定の場合、初診におけるオンライン診療も許容されうる」と規定されている点を踏まえ、「今後、必要十分なエビデンスが示されたと判断された段階で、初診についても診療報酬上の評価の対象とすべき」と提案しています。

 
 もっとも保険診療におけるオンライン診療は、この4月にスタートしたばかりです。今後、実態把握等を十分にした上で、リスク(例えば診断・治療の正確性は担保できるのかなど)とベネフィット(例えば移動コストの削減など)とを考量して、2020年度の次期診療報酬改定に向けて、要件の緩和などを検討していくことになるでしょう。
 
 

 

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