医療・福祉分野、規模の小さい事業所・施設ほど重い労働災害が発生しやすい―厚労省



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 病院や診療所、介護施設などでは、規模が小さいほど、労働災害が発生しやすく、かつ災害の程度も重い―。

 厚生労働省が5月7日に公表した、2017年の「労働災害動向調査(事業所調査(事業所規模100人以上)及び総合工事業調査)の概況」から、こういった状況が明らかになりました(厚労省のサイトはこちら)。

医療・福祉分野、近年、程度は重くなっていないものの、労災の発生頻度が高まっている

 厚労省は、主要産業における労働災害の発生状況を調べ、毎年、公表しています。労働災害の状況は(1)発生頻度を示す「度数率」(2)災害の重さを示す「強度率」(3)「死傷者1人平均労働損失日数」—の3要素で見ることができます。まず、主要産業全体の状況を見てみましょう。

 (1)の労働災害発生の頻度を示す「度数率」(100万延べ実労働時間当たりの労働災害による死傷者数(休業1日以上・身体の一部または機能を失う労働災害による死傷者数に限定))を見ると、2017年は1.66で、前年に比べて0.03ポイント増加しました。労働災害の発生頻度が上がっていることになります。

 次に、(2)の労働災害の重さを示す「強度率」(1000延べ実労働時間当たりの延べ労働損失日数)を見ると、0.09で、前年から0.01ポイント減少しました。

 また、(3)の「死傷者1人平均労働損失日数」(労働災害による死傷者の延べ労働損失日数を死傷者数で除したもの)は55.0日で、前年よりも5.0日減少しています。
2017年労災調査2 180507
2017年労災調査1 180507
 
前年に比べて「やや軽度な労働災害が数多く発生している」と見ることができそうです。

 
この3要素を「医療、福祉」(病院、一般診療所、保健所、健康相談施設、児童福祉事業、老人福祉・介護事業、障害者福祉事業)について見てみると、(1)の労災発生頻度を示す「度数率」は1.48で、全体より若干低い、(2)の災害の重さを示す「強度率」は0.04で、全体より若干低い、(3)の「死傷者1人平均労働損失日数」は24.3日で、全体の半分程度、という状況です。

災害発生の頻度(度数率)が高いのは、▼農業・林業▼生活関連サービス業、娯楽業(洗濯業、旅行業、ゴルフ場)▼他に分類されないサービス業(一般廃棄物処理業、産業廃棄物処理業、自動車整備業、機械修理業、建物サービス業)—など、重い災害が発生しやすい(強度率が高い)のは、▼宿泊業・飲食サービス業(旅館、ホテル)▼生活関連サービス業、娯楽業(洗濯業、旅行業、ゴルフ場)—などとなっています。
2017年労災調査3 180507
 
 
また「医療、福祉」(病院、一般診療所、保健所、健康相談施設、児童福祉事業、老人福祉・介護事業、障害者福祉事業)における、労働災害三要素の経年変化を見ると次のようになっています。

▽度数率(災害発生の頻度)
2014年:1.46→(▲0.12p)→15年:1.32→(+0.07p)→16年:1.39→(+0.09p)→17年:1.48

▽強度率(災害の重さ)
2014年:0.04→(増減なし)→15年:0.04→(増減なし)→16年:0.04→(増減なし)→17年:0.04

▽死傷者1人平均労働損失日数
2014年:29.5→(+0.8日)→15年:30.3→(+1.1日)→16年:31.4→(▲7.1日)→17年:24.3

 2015年以降、災害の発生頻度がやや高まるものの、重い災害が増えていることはないようです。

 
 さらに、「医療・福祉」業の労災状況を規模別(労働者数)にみると、次のようになっています。

▽度数率(災害発生の頻度)
▼1000人以上:0.49、▼500-999人:0.85、▼300-499人:1.28、▼100-299人:2.25

▽強度率(災害の重さ)
▼1000人以上:0.02、▼500-999人:0.02、▼300-499人:0.03、▼100-299人:0.06

 ここからは「病院の規模が小さい(従業者数が少ない)ほど、労働災害が発生しやすく、かつ重い災害が発生している」ことが伺えます。規模の拡大に向けた戦略(人員増だけでなく、近隣施設との合併など)を、労災防止という面からも検討していく必要がありそうです。
 
 

 

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