身元保証人等がいないことのみでの入院拒否、医師法19条に違反―厚労省



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 「身元保証人等がいない」ことのみで入院を拒否した場合、医師法第19条第1項に違反する―。

 厚生労働省は4月27日に、通知「身元保証人等がいないことのみを理由に医療機関において入院を拒否することについて」を発出。こういった点を都道府県に周知し、適切な指導を行うよう依頼しました。

入院医療の確保と、病院経営とを考慮した、「身元保証」制度の検討も必要か

 入院の手続きは病院で様々ですが、多くの病院では入院に際し身元保証・身元引受人を求めています。身元保証人等は、「患者が自己負担金を支払えない」ような場合に、代わって支払いを行うことや、「入院の必要がなくなったにもかかわらず患者が退院を拒否する」ような場合に引き受けを行う、などの義務を負います。多くのケースでは患者の家族が身元保証人となりますが、独居高齢者等の増加などにより、身元保証人となってくれる家族などがいない患者が増加しています。

 このため昨今、患者に身元保証人・身元引受人等がいない場合に、未収金の発生などを懸念して入院を拒否する事例が散見されています。

 この点、医師法第19条第1項では、「診療に従事する医師は、診察治療の求めがあった場合には、正当な事由がなければ、これを拒んではならない」と規定します(いわゆる応召義務)。厚労省は今般、診療を拒否できる正当な理由について、「医師の不在または病気等により事実上診療が不可能な場合に限られる」ことを再確認。その上で、入院診療が必要であるにもかかわらず「入院に際し、身元保証人等がいないことのみを理由に、医師が患者の入院を拒否する」ことは、医師法に抵触するとの考えを改めて明確にしました。こうした入院拒否事例に対しては「適切な指導」を行うよう、都道府県に依頼しています。

 
 ただし、未収金の発生や、退院困難患者の発生は、病院の健全経営にとって好ましからざるものです(不適切な長期入院は、診療報酬の届け出にも悪影響を及ぼす)。そこで、独居高齢者等が入院する際に身元保証を行う団体も存在しますが、預託金の不正使用(後に破綻)といった社会問題も生じています。

地域の社会福祉協議会などが身元保証を行う事業も行っていますが、今後の独居高齢者等の増加を考えると、個別対応には限界がありそうです。入院医療の確保と、病院経営の確保を両立するための手立てを検討する必要があるでしょう。
 
 

 

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