温罨法等において、ホットパックの不適切使用による熱傷に留意を―医療機能評価機構



Pocket

 医療現場では保温や温熱療法など、さまざまな用途でホットパックを用いるが、それにより熱傷(やけど)が生じてしまった―。

 こうした事例が、2014年1月から2018年2月までに10件も報告されていることが、日本医療機能評価機構の調べで明らかになりました(機構のサイトはこちら)。ホットパックは治療等に極めて有用ですが、適切な使用がなされているか、今一度確認する必要があります。

ホットパックの不適切使用による熱傷が数多く報告されている
ホットパックの不適切使用による熱傷が数多く報告されている

ホットパックの取扱説明書をきちんと読み、当てている部位の観察を

 日本医療機能評価機構は、全国の医療機関(国立病院や特定機能病院等は義務づけ)から医療事故やヒヤリ・ハット事例を収集しており(医療事故情報収集等事業)(関連記事はこちらこちらこちら)、その中から、毎月、とくに注意すべき医療事故事例等の内容をまとめた「医療安全情報」を公表しています(最近の情報はこちらこちらこちら)。4月16日に公表された「No.137」では「ホットパック使用時の熱傷」がテーマとなりました。

 ある病院では、看護師が、ホットパックを電子レンジで加熱して専用の袋に入れ、患者の上肢に当てて温罨法を実施しました。患者は、開始からしばらくして「熱さ」を感じましたが、自分では外してよいか分からず、そのままにしていたといいます。約1時間後に看護師がホットパックを外すと、当てていた部位に発赤が生じており、皮膚科医が「低温熱傷」と診断しています。

また別の病院では、看護師が、採血が困難な患者の左前腕を温めることにしました。ホットパックは「カバーに入れる」ことになっていましたが、当該看護師はカバーに入れないまま左前腕を温め1回目の採血を実施。さらにホットパックを同一部位に当て続け、約30分後に2回目の採血を実施。その後、左前腕に発赤と水疱が生じていることに気付き、皮膚科医が「低温熱傷」と診断しています。

ホットパックは、保温や血管拡張、温熱療法など医療現場でさまざまに用いられ、温罨法として「看護師独自の判断で計画・実施ができる看護技術」とされています。ただし、適切に使用しなければ、熱傷を生じるリスクも隣り合わせにあり、機構では、▼ホットパックの取扱説明書を読み、患者の状態に合わせて使用する▼ホットパックを使用する際は、当てている部位を観察する―という基本的事項を遵守するよう求めています。

 

 

MW_GHC_logo

 

【関連記事】

人工呼吸器、換気できているか装着後に確認徹底せよ-医療機能評価機構
手術場では、清潔野を確保後すぐに消毒剤を片付け、誤投与を予防せよ―医療機能評価機構
複数薬剤の処方日数を一括して変更する際には注意が必要―医療機能評価機構
胸腔ドレーン使用に当たり、手順・仕組みの教育徹底を―医療機能評価機構
入院患者がオーバーテーブルを支えに立ち上がろうとし、転倒する事例が多発―医療機能評価機構
インスリン1単位を「1mL」と誤解、100倍量の過剰投与する事故が後を絶たず―医療機能評価機構
中心静脈カテーテルが大気開放され、脳梗塞などに陥る事故が多発―医療機能評価機構
併用禁忌の薬剤誤投与が後を絶たず、最新情報の院内周知を―医療機能評価機構
脳手術での左右取り違えが、2010年から11件発生―医療機能評価機構
経口避妊剤は「手術前4週以内」は内服『禁忌』、術前に内服薬チェックの徹底を―医療機能評価機構
永久気管孔をフィルムドレッシング材で覆ったため、呼吸困難になる事例が発生―医療機能評価機構
適切に体重に基づかない透析で、過除水や除水不足が発生―医療機能評価機構
経鼻栄養チューブを誤って気道に挿入し、患者が呼吸困難となる事例が発生―医療機能評価機構
薬剤名が表示されていない注射器による「薬剤の誤投与」事例が発生―医療機能評価機構
シリンジポンプに入力した薬剤量や溶液量、薬剤投与開始直前に再確認を―医療機能評価機構
アンプルや包装の色で判断せず、必ず「薬剤名」の確認を―医療機能評価機構
転院患者に不適切な食事を提供する事例が発生、診療情報提供書などの確認不足で―医療機能評価機構
患者の氏名確認が不十分なため、誤った薬を投与してしまう事例が後を絶たず―医療機能評価機構
手術などで中止していた「抗凝固剤などの投与」、再開忘れによる脳梗塞発症に注意―医療機能評価機構
中心静脈カテーテルは「仰臥位」などで抜去を、座位では空気塞栓症の危険―医療機能評価機構
胃管の気管支への誤挿入で死亡事故、X線検査や内容物吸引などの複数方法で確認を―日本医療機能評価機構
パニック値の報告漏れが3件発生、院内での報告手順周知を―医療機能評価機構
患者と輸血製剤の認証システムの適切な使用などで、誤輸血の防止徹底を―医療機能評価機構
手術中のボスミン指示、濃度と用法の確認徹底を―日本医療機能評価機構

2017年10-12月、医療事故での患者死亡は71件、療養上の世話で事故多し―医療機能評価機構
誤った人工関節を用いた手術事例が発生、チームでの相互確認を―医療機能評価機構
2016年に報告された医療事故は3882件、うち338件で患者が死亡―日本医療機能評価機構
手術室などの器械台に置かれた消毒剤を、麻酔剤などと誤認して使用する事例に留意―医療機能評価機構
抗がん剤投与の速度誤り、輸液ポンプ設定のダブルチェックで防止を―医療機能評価機構
2016年7-9月、医療事故が866件報告され、うち7%超で患者が死亡―医療機能評価機構
2015年に報告された医療事故は3654件、うち1割弱の352件で患者が死亡―日本医療機能評価機構
2016年1-3月、医療事故が865件報告され、うち13%超は患者側にも起因要素―医療機能評価機構
15年4-6月の医療事故は771件、うち9.1%で患者が死亡―医療機能評価機構
14年10-12月の医療事故は755件、うち8.6%で患者死亡―医療事故情報収集等事業

Pocket