一般病棟の長期入院患者、療養病棟入院基本料でなく「特別入院基本料」を算定せよ―日慢協・武久会長



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 一般病棟入院基本料を算定する病棟(従前の7対1相当の急性期一般入院料1など)において、「90日を超えて入院する患者」については、▼当該一般病棟入院基本料を算定するが、平均在院日数の計算に加える▼平均在院日数の計算から除外するが、療養病棟入院基本料1を算定する―のいずれかを病院で選択する。しかし、一般病棟の中には「療養病棟に求められる構造・設備」を満たしていない劣悪な入院環境のところもあり、療養病棟入院基本料でなく「特別入院基本料を算定する」こととすべきである―。

 日本慢性期医療協会の武久洋三会長は、4月12日の定例記者会見でこのような提言を行いました。

4月12日に、定例記者会見に臨んだ、日本慢性期医療協会の武久洋三会長
4月12日に、定例記者会見に臨んだ、日本慢性期医療協会の武久洋三会長

一般病棟では「療養病棟の構造・設備」を満たしていない、療養病棟入院基本料算定は遺憾

 例えば、従前の7対1一般病棟入院基本料では「平均在院日数18日以内」などの施設基準(点数算定の前提となる、満たさなければならない基準)が定められています。「在院日数の短縮」「早期の在宅復帰」を目指すための基準と言えます。

ただし▼難病患者▼重篤な副作用の予想されるがん治療を行っている患者▼重度の肢体不自由者―などでは、一般に在院日数が長くなるため、平均在院日数の計算対象から除外する仕組みがありました。これが、いわゆる「特定除外」制度です。

しかし、「13対1・15対1では9割近くの患者が特定除外制度の対象となっている(つまり長期入院が常態化している)」「逆に、7対1・10対1では特定除外の対象患者は少ない」ことなどが分かり、2012年度診療報酬改定で「13対1・15対1」について、2014年度改定で「7対1・10対1」について、特定除外制度が廃止され、90日を超える入院患者について、次のように取り扱うルールに改められました(2018年度改定による入院基本料等の再編・統合でも維持)。

(1)一般病棟入院基本料を算定可能とするが、平均在院日数の計算に組み込む
(2)平均在院日数の計算から除外してよいが、療養病棟入院基本料1(医療区分3)を算定する
2014改定(特定除外見直し)1
2014改定(特定除外見直し)2
2014改定(特定除外見直し)3
 
 
 この仕組みについて、武久会長は「一般病棟では、療養病棟に求められる構造・設備を満たさないところがある(例えば、いまだに1人当たりの床面積が4.3平米の一般病棟もある)。にもかかわらず、療養病棟入院基本料1を算定できるとしている現行規定は問題である」とし、(2)については「特別入院基本料を算定する」こととせよ、と提言しています。

 特別入院基本料は、施設基準(平均在院日数や、重症度、医療・看護必要度に基づく患者割合、医療区分2・3の患者割合など)を満たさない病棟について、1日につき584点の算定を可能とするものです。

 従前の7対1相当の急性期一般入院料1(1591点)に比べて「1007点、つまり1万70円」、療養病棟入院基本料1(医療区分3・ADL区分3)(1810点)に比べて「1226点、つまり1万2260円」低く設定されており、仮に提言が実現されれば、病院にとっては大きな減収になります。もっとも武久会長の提言は「減収を求める」ものではなく、「長期入院患者が、より適切な病棟に入院するよう促す」ものと言えます。

精神科病棟の空床等を活用し、認知症専門の介護医療院【認知症医療院】を創設せよ

 なお、我が国で「認知高齢者が増加し、さらに増加していく」「精神疾患患者の地域移行を進めていく」状況に鑑み、武久会長は「精神科病棟で空床が生じていく。新たに認知症患者に対応する施設等を建設するよりも、空床を活用し【認知症医療院】(認知症専門の介護医療院)としてはどうか」との構想も明らかにしています。

 さらに、日本精神科病院協会とも歩調を合わせ、▼重度、あるいは身体合併症を持つ認知症高齢者は【認知症治療病棟】(精神科病棟)▼中程度、あるいは一定の医療の必要性がある認知症高齢者は【認知症治療院】▼軽度者は【認知症高齢者グループホーム】—に入所するという、機能分化を進めてはどうかともコメントしています。

 武久会長は、【介護医療院】創設の第1提言者でもあり(関連記事はこちら)、今後、社会保障審議会の介護保険部会や介護給付費分科会などで、【認知症医療院】創設に向けた論議が行われる可能性も高そうです。

 

 

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