肺がん治療薬「テセントリク」とアトピー治療薬「デュピクセント」の最適ガイドラインを了承―中医協総会



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 切除不能な進行・再発の非小細胞肺がん治療に用いる新薬「テセントリク点滴静注1200mg」(一般名:アテゾリズマブ(遺伝子組換え))と、既存治療で効果不十分なアトピー性皮膚炎の治療に用いる新薬「デュピクセント皮下注300mgシリンジ」(一般名:デュピルマブ(遺伝子組換え))が4月18日に薬価収載されることを踏まえ、両薬剤の最適使用推進ガイドラインを定め、これに沿った使用を行うことを求める―。

 4月11日に開催された中央社会保険医療協議会・総会で、こういった点が了承されました。

4月11日に開催された、「第391回 中央社会保険医療協議会 総会」
4月11日に開催された、「第391回 中央社会保険医療協議会 総会」

オプジーボ、キイトルーダの類薬、PD-L1発現率が高い患者でより効果が大きい

 4月11日の中医協総会では、15成分・22品目の新薬について薬価収載が了承されました(4月18日収載予定)。その中で、切除不能な進行・再発の非小細胞肺がん治療に用いる新薬「テセントリク点滴静注1200mg」は、オプジーボの類薬として、20mL1瓶で62万5567円という高額な薬価が設定されます。

 画期的な新薬で、他のがんにも適用が拡大される可能性があり、かつ極めて高額な薬価が設定されていることなどから、医療現場での適正使用を厳格に行う必要があるとされ、最適使用推進ガイドラインが設定されます(中医協資料はこちら)。

まず施設要件について見てみると、オプジーボやキイトルーダと同様に次の(a)-(b)をすべて満たすことが求められます。保険診療上、(a)で「がん診療連携拠点病院」や「特定機能病院」などのいずれに該当するか、治療責任者がどのような経験を持つか、をレセプトの摘要欄に記載することが必要となります。

(a)がん診療連携拠点病院や特定機能病院、都道府県の指定するがん診療連携病院、外来化学療法室を設置し、外来化学療法加算1または2を取得している施設で、「肺がんの化学療法および副作用発現時の対応に十分な知識と経験を持つ医師」が、当該診療科の本剤治療の責任者として配置されている

(b)医薬品情報管理の専任者が配置され、製薬企業からの情報窓口、有効性・安全性など薬学的情報の管理および医師などに対する情報提供、有害事象が発生した場合の報告業務などを速やかに行う体制が整っている

(c)副作用に速やかに対応するために、「間質性肺疾患などの重篤な副作用が発生した際に、24時間診療体制の下、入院管理およびCTなど鑑別に必要な検査の結果が当日中に得られ、直ちに対応可能な体制が整って」おり、「間質性肺疾患などの副作用に対して、専門性を有する医師と連携し、直ちに適切な処置ができる体制が整って」いる

 がん治療に対する体制と治療実績、副作用への対応体制などが十分に整備されていることが求められるものです。

 
投与対象となる患者については、まず安全性の観点から「本剤成分に過敏症の既往歴がある患者」は禁忌とされ、▼間質性肺疾患の合併・既往がある▼胸部画像検査で間質影を認める、活動性の放射線肺臓炎や感染性肺炎等の肺に炎症性変化が見られる▼自己免疫疾患がある、慢性的・再発性の自己免疫疾患の既往歴がある▼ECOG Performance Status 3(限られた自分の身の回りのことしかできない、日中の半分以上をベッド・椅子で過ごす)から4(全く動けない、完全にベッド・椅子で過ごす)—患者では慎重投与となっています。

また有効性については次のように整理されます。
▼有効性が検証されており、投与対象となる
プラチナ製剤を含む化学療法歴を有する切除不能なIIIB期/IV期又は再発の非小細胞肺がん(EGFR遺伝子変異・ALK融合遺伝子陽性の患者では、それぞれEGFRチロシンキナーゼ阻害剤・ALKチロシンキナーゼ阻害剤の治療歴あり)

▼有効性が確立されておらず、投与対象とならない
「化学療法未治療の患者」「術後補助化学療法」「他の抗悪性腫瘍剤との併用」

 なお、本剤では、扁平上皮がんにおいて、「PD-L1発現率が高い患者においてより有効性が高い」ことが分かっており、▼PD-L1発現率も確認して投与の可否を判断することが望ましい▼PD-L1発現率が「TC0かつIC0」である患者においては、本剤以外の治療選択肢も考慮する―との注意書きも記載されます。

 
 さらに、投与に際し留意すべき事項として、▼患者・家族に有効性・危険性を十分説明し、同意を得てから投与する▼間質性肺疾患が現れることがあり、臨床症状(呼吸困難、咳嗽、発熱等)の確認、胸部X線検査の実施、胸部CT、血清マーカー等検査を実施する▼重度のinfusion reactionに備え、緊急時に十分な対応のできる準備を行い、投与中・投与終了後はバイタルサイン測定など、患者の状態を十分に観察する▼甲状腺機能障害が現れることがあり、投与開始前・投与期間中は定期的に甲状腺機能検査(TSH、遊離T3、遊離T4等測定)を実施する▼過度の免疫反応に起因すると考えられる様々な疾患・病態が現れることがあり、異常が認められた場合には、専門的な知識・経験を持つ医師と連携して適切な鑑別診断を行う▼1型糖尿病が現れ、糖尿病性ケトアシドーシスに至ることがあり、口渇、悪心、嘔吐等の症状の発現や血糖値の上昇に十分注意する▼投与中は定期的に画像検査で有効性を評価する(臨床試験では、投与開始から36週までは6週間間隔、それ以降は9週間間隔で評価)—ことなどが規定されます。

画期的なアトピー性皮膚炎治療薬、喘息等の合併症に適切に対応できる体制が必要

 既存治療で効果不十分なアトピー性皮膚炎の治療に用いる新薬「デュピクセント皮下注300mgシリンジ」は、2mL1筒で8万1640円の薬価が設定されます。本剤も、画期的な新薬で、高額な薬価が設定されていることなどから、医療現場での適正使用を厳格に行う必要があり、最適使用推進ガイドラインが設定されます(中医協資料はこちら)。

施設要件を見てみると、重篤な副作用へ十分に対応することが必要とされ、次のすべてを満たすことが求められます。保険診療上、「治療責任者がどのような経験を持つか」をレセプトの摘要欄に記載することが必要です。

▽アトピー性皮膚炎の▼病態▼経過と予後▼診断▼治療(参考:アトピー性皮膚炎診療ガイドライン)—を熟知し、本剤について十分な知識を有し、アトピー性皮膚炎の診断・治療に精通する医師(初期研修終了後、「5年以上の皮膚科診療研修」、または「6年以上の臨床経験を有し、うち3年以上は、アトピー性皮膚炎を含むアレルギー診療の臨床研修」を行っている)を、当該診療科の本剤に関する治療責任者として配置する

▽「製薬企業等からの有効性・安全性等の薬学的情報の管理」「有害事象が発生した場合に適切な対応と報告業務等を速やかに行うこと等の医薬品情報管理、活用の体制」が整っている

▽喘息等の合併症(本剤使用で喘息等が緩解する傾向があるが、本剤の投与中止で、喘息が急性増悪することがある)に対し、合併症の主治医と連携し、診断や対応に関して指導・支援を受け、直ちに適切な処置ができる体制が整っている(本剤使用で喘息等が緩解する傾向があるが、本剤の投与中止で、喘息が急性増悪することがある)

▽アナフィラキシー等の副作用に対し、自施設・近隣医療機関の専門性を有する医師と連
携し、診断や対応に関して指導・支援を受け、直ちに適切な処置ができる体制が整っている

 
 投与対象となるのは、次の2要件をいずれも満たす患者に限定されます。保険診療上、「患者がどのような状況か」をレセプトの摘要欄に記載することが必要です。
(1)アトピー性皮膚炎診療ガイドラインを参考にアトピー性皮膚炎の「確定診断」がなされている患者
(2)「抗炎症外用薬で十分な効果が得られず、一定以上の疾患活動性を有する成人アトピー性皮膚炎患者」、または「ステロイド外用薬・カルシニューリン阻害外用薬に対する過敏症、顕著な局所性・全身性副作用により、これらの抗炎症外用薬のみの治療継続が困難で、一定以上の疾患活動性を有する成人アトピー性皮膚炎患者」

また本剤は、▼投与開始から16週後までに治療反応が得られない場合は中止する▼投与中は定期的に効果を確認する▼ステロイド外用薬・カルシニューリン阻害外用薬等との併用で6か月程度の緩解が得られた場合には、一時中止等を検討する―ことが求められます。なお、中止によってアトピー症状が増悪した場合には、医師の医学的判断に基づいて本剤の「再開」が検討されることになります。

 
さらに、投与に際し留意すべき事項として、▼本剤成分に過敏症の既往歴のある患者には「禁忌」となる▼ショック、アナフィラキシーが現れることがあり、血圧低下、呼吸困難、意識消失、めまい、嘔気、嘔吐、そう痒感、潮紅などが見られた場合には直ちに投与を中止し、適切な処置を行う▼本剤投与中の生ワクチン接種は、安全性が確認されていないので避ける▼2型免疫応答を抑制するので、寄生虫感染患者に対しては、投与前に寄生虫感染治療を行う▼喘息等の合併する他のアレルギー性疾患の症状が変化する可能性がある▼ステロイド外用薬等の抗炎症外用薬・外用保湿薬と併用して用いる―ことなどが規定されます。

 

 

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