訪問看護の【看護体制強化加算】、介護施設の【排せつ支援加算】などの詳細を解説―介護報酬改定疑義解釈(1)



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 厚生労働省は3月23日に、2018年度介護報酬改定に関するQ&AのVol.1(疑義解釈その1)を公表しました。

 膨大な量なので、メディ・ウォッチでは、ポイントを絞って、気になる点をご紹介しましょう。従前の疑義解釈が変更・修正されているケースもありますので、ご留意ください(厚労省のサイトはこちら(疑義解釈その1)こちら(2018年度介護報酬改定全般、関連告示・通知・事務連絡をすべて入手できます))。

【訪問看護・介護予防訪問看護】

 2018年度改定では、訪問看護の【看護体制強化加算】(現行、1か月当たり300単位)を細分化し、「ターミナルケア加算の算定患者が年5名以上」の場合の上位区分【看護体制強化加算(I)】(1か月当たり600単位)を新設しました。

 あわせて本加算の要件として「医療機関と連携のもと、看護職員の出向や研修派遣などの相互人材交流を通じて在宅療養支援能力の向上を支援し、地域の訪問看護人材の確保・育成に寄与する取り組みを実施していることが望ましい」ことが示されました。この点について厚労省は、看護体制強化加算の届出事業所に対し「地域の訪問看護人材の確保・育成に寄与する取り組み」を期待していることを強調し、具体的な取り組みとして▼訪問看護ステーション・医療機関の訪問看護事業所間における相互研修や実習等の受入▼地域の医療・介護人材育成のための取組―などを例示しています。

また、本加算に関しては、例えば加算(I)では「算定日の属する月の前6か月間において、利用者総数のうち、緊急時訪問看護加算の利用割合が50%以上」といった要件も盛り込まれています。この利用者数について留意事項通知では、「前6月間において、当該事業所が提供する訪問看護を2回以上利用した者、または当該事業所で当該加算を2回以上算定した者であっても、1として数える」ことが示されました。

この点については、下図表上段のように「前6か月のうち6か月継続利用であっても、1か月の利用であっても、それぞれ1人」と計算することが明らかにされました。
 
さらに届け出に当たっては、▼前6-2か月(7月届け出の場合には、1月から5月)は実績で緊急時訪問看護加算の利用割合を計算する▼前1か月(同6月)は「15日以前に届け出が必要であり、届け出以降分は『見込み』で利用割合を計算する―ことも明確にされています(下図表下段)。
介護報酬疑義解釈その1 180323の図表

 
 また2018年度改定では【複数名訪問加算】について、▼複数の看護師が訪問する場合(加算I)▼看護師と看護補助者が訪問する場合(加算II)―に区分し、後者(加算II)についてやや低い報酬設定を行っています。

 この複数名訪問加算については、次のような点を明らかにしています。
▽看護師とリハビリ専門職種(PT、OT、ST)が一緒に訪問した場合には、加算Iの高い報酬を算定できる
▽加算IIの看護補助者の資格は問わず、事務職員であってもよい
▽加算Iと加算IIは、要件を満たせば同一日に算定することができ、ケアプランに適切に位置付けられていれば算定回数の上限はない

 
 なお、理学療法士等による訪問看護については、「看護師との密接な連携」が必要なことが明確化されましたが、厚労省は次のような点に留意するよう要請しています。
▽連携にあたっては、「計画書等を相互に送付し共有する」「カンファレンス等において情報共有する」ことなどが考えられる
▽訪問看護サービスの「利用開始時」は、利用者の心身の状態等を評価する観点から「看護職員が行う」ことを原則とする
▽少なくとも概ね3か月に1回程度は「看護職員による訪問」により、利用者の状態の適切な評価を行う

 
【通所介護・地域密着型通所介護】

 2018年度改定では、アウトカム評価の一環として通所介護における【ADL維持等加算】が新設されました。一定の重度者を含む利用者集団について、ADLの維持・改善度合いが一定水準を超えた事業所を評価するものです。

 ADL維持等加算を算定する場合には、前年1年間のADL維持・改善度合いをもとに算定の可否を判断することになります。2018年度から算定を希望する場合には、2017年1-12月の実績が判断対象となります。この点について厚労省は、「評価対象期間に通所介護と介護予防通所介護を一体的に運営していた場合には、利用者には介護予防通所介護を含めない」ことを明らかにしました。

このほか、次のような点も明確にされています。
▽評価対象利用期間は「通所介護事業所・地域密着型通所介護所を連続6か月以上利用した期間」でありが、連続利用は「毎月1度以上利用している」ことを指す
▽「連続6か月以上利用」は、評価対象期間内でなければならない(最初から最後まで)
▽6か月より長く連続利用している場合、当該連続しているすべての月を評価対象利用期間とするのではなく、「最初の月が最も早い6か月の期間」が評価対象利用期間となる(2月から11月まで連続利用している場合には、「2-7月」が評価対象利用期間となる
▽ADL維持等加算は、「算定しようとする月の5時間未満の通所介護の算定回数」≧「5時間以上の通所介護の算定回数」という利用者でも算定可能である

 
【訪問・通所リハビリ】

 要介護被保険者の維持期リハビリについて、医療保険から介護保険への完全移行が目指され、両サービスの基準等における整理が行われました(両サービスの実施を可能とし、医療保険から介護保険への円滑な移行を目指す)。

厚労省は、今般、医療機関において、医療保険の疾患別リハビリ(脳血管疾患等リハ、運動器リハ、呼吸器リハ)と、介護保険における1時間以上2時間未満の通所・訪問リハビリを同時に行う場合、次の要件を満たせば、リハビリ専門職種が「同日に両リハビリを提供できる」ことを明確にしています。
▽訪問リハビリにおける「20分のリハビリに従事した時間」を、疾患別リハビリの1単位とみなし、理学療法士等1人当たり1日18単位を標準、1日24単位を上限とし、週108単位以内である
▽1時間以上2時間未満の通所リハビリにおける「20分の個別リハビリに従事した時間」を、疾患別リハビリ1単位とみなし、理学療法士等1人当たり1日18単位を標準、1日24単位を上限とし、週108単位以内である
▽疾患別リハビリ1単位を訪問リハビリ・通所リハビリの20分とみなし、理学療法士等1人当たり1日合計8時間以内、週36時間以内である
▽理学療法士等の疾患別リハビリ、通所リハビリ、訪問リハビリにおけるリハビリ従事状況が、勤務簿等に記載されている

 このほか、「別の医療機関の医師から計画的な医学的管理を受けている者」に対し、訪問リハビリ事業所等の医師が、「自らは診療を行わず、当該別の医療機関の医師から情報提供を受けてリハビリテーションを計画、指示してリハビリ実施する」場合において、当該別の医療機関の情報からは、環境因子や社会参加の状況等、リハビリ計画、指示に必要な情報が得られなければ、リハビリ開始前に理学療法士等を訪問して、状態を評価させ、医師・リハビリ専門職で共同してリハビリ計画書を作成し、事業所医師の指示に基づいてリハビリを行うことが必要となります。

 
【施設サービス】

 2018年度改定では、排泄に介護が必要な利用者のうち「支援によって排泄に係る要介護状態を改善できる」と医師等が判断した利用者への▼排泄に介護が必要な要因等の分析▼分析結果を踏まえた計画に基づく支援―について、【排せつ支援加算】(1か月当たり100単位)として評価されることになりました。

 分析・計画策定・支援にあたっては、多職種がガイドラインなどを参考にすることが必要ですが、厚労省は今般、▼EBMに基づく尿失禁診療ガイドライン(2004年 泌尿器科領域の治療標準化に関する研究班)▼男性下部尿路症状診療ガイドライン(2013年 日本排尿機能学会)▼女性下部尿路症状診療ガイドライン(2013年 日本排尿機能学会)▼便失禁診療ガイドライン(2017年 日本大腸肛門病学会)―のいずれもが対象ガイドラインに含まれることを明確にしています。

 また本加算については、「計画に基づく支援を継続して実施した場合は、支援開始日の属する月から起算して6か月以内の期間に限り、1月につき所定単位数を算定する。ただし、同一入所期間中に排せつ支援加算を算定している場合は算定しない」とされました。この点について、次のような考え方を明らかにしています。
▽「支援を継続して実施」とは、「排せつに関して必要な支援が日常的に行われている」ことを意味し、「毎日何らかの支援を行っている」ことまでは求めない
▽6か月より前に改善が達成され、その後、支援なしで排せつ自立を維持できると判断された場合、利用者の希望で支援を中止した場合など、支援開始から6か月経過する前に支援が終了することも想定される。この場合、日常的な支援が行われない月が発生しており、当該月以降、加算は算定できない
▽「同一入所期間中に排せつ支援加算を算定している場合は算定しない」とは、入所中1か月分しか当該加算を算定できないという意味でなく、「加算が算定できる6か月の期間を経過する等によって加算の算定を終了した場合は、支援を継続したり、新たに支援計画を立てたりしても加算を算定できない」という意味である

 

 

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