「病む人の気持ちを」尊重する九州がんセンター、職員が患者の「知りたいこと」に解答



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 福岡県の都道府県がん診療連携拠点病院として、高度ながん医療提供や情報発信を行っている九州がんセンター(福岡市南区)が、「がんと向き合うあなたへ~知りたいこと、伝えたいこと~」を上梓しました。九州がんセンターの職員が、同センターの取り組みを紹介するほか、がん患者が抱く疑問に分かりやすく答えています。

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「最良のがん医療」目指した活動を書籍で紹介

 一般病床411床を有する九州がんセンターは、「私たちは『病む人の気持ちを』、そして『家族の気持ちを』尊重し、温かく、思いやりのある、最良のがん医療をめざします。」を基本理念に掲げ、がん患者本人やその家族に寄り添った医療を提供しています。2008年2月に福岡県がん診療連携拠点病院の指定を受けて、福岡県のがん医療の中心的な役割を担っています。「世界トップレベルのがん専門病院」を目指しており、藤也寸志院長は、「CQI(Cancer Quality Initiative)研究会」の世話人として(関連記事『胸部食道がん、平均値では胸腔鏡手術のほうが開胸手術よりも術後日数が長い』)、がん医療の質向上を目指したデータ分析などに積極的に取り組んでいます(関連記事『拠点病院は現場の使命感で支えられている、今こそ「医療の質評価」の普及を』)。

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 2016年3月には病院を建て替えてリニューアルオープンし、▼外来・病棟ともに患者のためのスペースを広くする▼がん相談支援センターや緩和ケアセンター、患者サロン、患者図書館などを病院玄関横に集結させる―のように、患者をサポートする設備をより充実させました。

 今般、九州がんセンターの建て替えや、がん診療・研究に関する活動について患者に理解してもらうため、書籍を発刊しました。

「がんと言われたら何を聞けばいい?」

 書籍では62テーマを取り上げ、九州がんセンターの取り組みや、最新の治療などについて、九州がんセンターの職員が分かりやすく解説しています。

 例えば、患者・家族を支えるための九州がんセンターの取り組みとして、2016年3月のリニューアルオープンを機に、▼患者が入院する前から、看護師や薬剤師、栄養士、理学療法士、臨床心理士、ソーシャルワーカー、事務スタッフらが、入院生活の説明や精神面・経済面での相談対応などを行う▼多職種が参加する「皮膚対策チーム」や「高齢者・認知症対策チーム」での話し合いをもとに、入院中のケアの質を高める―のように、「チームで取り組むがん医療」に一層力を入れていることを紹介しています。

 また、「最新・最良の医療」を目指した取り組みとして、放射線治療について、九州がんセンターが、▼肺・肝・脳の定位放射線治療(ピンポイント照射)▼あらゆる部位の強度変調放射線治療―のような高精度放射線治療を提供しており、それぞれの患者数が2016年に過去最大数であったことなどを取り上げています(ピンポイント照射67件、強度変調放射線治療127件)。

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 さらに、「がんと言われたら何を聞けばいい?」「がんになっても仕事は続けられる?」といった、患者が抱くであろう疑問に対して、九州がんセンター職員が分かりやすく丁寧に答えています。

 このうち「がんと言われたら何を聞けばいい?」という疑問には、「まず、がんが体のどの部位に、どのような状態で見つかったかを確認すべきだ」と指摘。また、▼医師が勧める治療法と、その理由▼治療にかかる時間▼入院期間▼費用―を確認した上で治療に臨む必要性なども挙げています。

 がんと診断された患者が今後の治療にどう臨むべきかを考える上で、この書籍が参考になりそうです。

解説を担当したコンサルタント 塚越 篤子(つかごし・あつこ)

tsukagoshi 株式会社グローバルヘルスコンサルティング・ジャパンのコンサルティング部門シニアマネジャー。
テンプル大学教養学部経済学科卒業。経営学修士(MBA)。看護師・助産師として10年以上の臨床経験、医療連携室責任者を経て、入社。医療の標準化効率化支援、看護部活性化、病床管理、医療連携、退院調整などを得意とする。済生会福岡総合病院(事例紹介はこちら)、砂川市立病院など多数の医療機関のコンサルティングを行う。新聞の取材対応や雑誌への寄稿など多数(「隔月刊 地域連携 入退院支援」の掲載報告はこちら)。
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