医師事務作業補助体制加算、より実効ある「負担軽減」策が要件に―中医協総会 第387回(2)



Pocket

 医療従事者のさらなる負担軽減に向けて、2018年度の次期診療報酬改定では、医師事務作業補助体制加算を届け出るためには、「病院勤務医の負担軽減・処遇改善」計画の策定を義務付けることとし、計画の中には「終業から始業までのインターバル確保」や「予定手術前日の当直免除」などの項目を含める―。

1月24日・26日の中央社会保険医療協議会・総会で示された個別改定項目(いわゆる短冊)には、こういった項目が盛り込まれています(関連記事はこちらこちらこちらこちらこちら)。

今回は、1月26日に議論された「新しいニーズにも対応でき、安心・安全で納得できる質の高い医療の実現・充実」「医療従事者の負担軽減、働き方改革の推進」「効率化・適正化を通じた制度の安定性・持続可能性の強化」の中から、気になるものをピックアップしてみましょう。

1月26日に開催された、「第387回 中央社会保険医療協議会 総会」
1月26日に開催された、「第387回 中央社会保険医療協議会 総会」

総合入院体制加算などの「負担軽減」策は、医師だけでなく全医療従事者が対象に

 「医療従事者の負担軽減」は、毎回の改定で重点項目に据えられるとともに、安倍内閣が進める「働き方改革」にも関連する重要項目です。

まず【医師事務作業補助体制加算】について、現在でも施設基準の中で「医療従事者の負担軽減」に関する取り組みを行うことが求められていますが、この内容が厳しく見直されます。具体的には、次のような取り組みを行うことが必要となります。

▼「勤務医の勤務状況を把握し、その改善の必要性などを提言する」責任者を配置する

▼勤務医の勤務時間(特別の関係にある医療機関での勤務時間も含める)・当直を含めた夜間の勤務状況を把握し(客観的手法を用いることが望ましい)、その上で「特定個人に業務負担が集中しないよう配慮した勤務体系」を策定し、職員に周知徹底する

▼多職種からなる役割分担推進委員会・会議を設置し、「勤務医の負担軽減・処遇改善に資する計画」を作成する(委員会・会議は、計画達成状況の評価時や、その他必要に応じて開催する。安全衛生委員会などを活用しても差し支えない)

▼勤務医の負担軽減・処遇の改善に関する取組事項の公開(院内掲示など)

役割分担推進委員会・会議による「勤務医の負担軽減・処遇改善に資する計画」の作成と、取組事項の公表が「厳格化」の柱と言えます。前者の計画には、「医師と医療関係職種、医療関係職種と事務職員等における役割分担の具体的内容」(▽初診時の予診の実施▽静脈採血などの実施▽入院の説明実施▽検査手順の説明実施、服薬指導など)を定めるほか、▼連続当直を行わない勤務体制の実施▼終業から始業までの休息時間の確保(勤務間インターバル)▼予定手術前日の当直・夜勤への配慮▼当直明けの業務内容に対する配慮▼交替勤務制・複数主治医制の実施▼短時間正規雇用医師の活用—のうちの一定以上を定めることなどが求められます。

医療現場、とくに医師の間で【医師事務作業補助体制加算】は「負担軽減に有用である」と高く評価されています。その施設基準の中で「負担軽減・処遇改善の取り組み強化」を求めることで、成果が上がると期待されます。

 
また、こうした見直しは【総合入院体制加算】などの「負担軽減・処遇改善」体制でも行われ、次の2点が注目されます。

▼負担軽減・処遇改善体制の対象を「勤務医」から「勤務する医療従事者全体」に拡大する

▼役割分担推進委員会・会議で「医療従事者の負担軽減・処遇改善に資する計画」を作成し、その計画の中には▽外来診療時間の短縮、地域連携などの外来縮小の取組み(許可病床数400床以上の病院では必須)▽院内保育所の設置(夜間帯保育や病児保育が望ましい)▽医師事務作業補助者配置による勤務医負担軽減▽勤務医の時間外・休日・深夜対応の負担軽減・処遇改善▽看護補助者配置による看護職員負担軽減—の一定以上を盛り込む

▼勤務医の負担軽減・処遇の改善に関する取組事項の公開(院内掲示など)

医師の常勤を要件とする診療報酬、点数の性質を見極めて「常勤換算」も可能に

 医療従事者の負担軽減に関連して「常勤」要件の緩和が行われます。例えば【新生児治療回復室入院医療管理料】では、施設基準の中で「院内に専任の小児科常勤医師が常時1名以上配置されている」ことが規定されています。夜間に患児が急変した場合などに迅速な対応を可能とするための規定ですが、「非常勤医師が活躍する場が狭められている」「小児科でフルタイムで勤務できる医師は限られており、回復室の設置を困難にしている」との課題もあるようです。そこで厚労省は、「専門性の高さ」(医師確保が難しい)と「夜間における緊急対応の必要性の低さ」(必ずしも常勤である必要性が低い)とを勘案し、次の診療報酬項目において「常勤医師」要件を「複数の非常勤医師による常勤換算を認める」と緩和する考えを示しました(関連記事はこちら)。

【小児科】▼新生児治療回復室入院医療管理料▼小児入院医療管理料—など
【産婦人科】▼ハイリスク分娩管理加算(ただし医師3名のうち常勤換算は2名まで)
【リハビリ科】▼心大血管疾患リハビリ料(初期加算含む)▼脳血管疾患等リハビリ料(同)▼廃用症候群リハビリ料(同)▼運動器リハビリ料(同)▼呼吸器リハビリ料(同)▼難病患者リハビリ料▼がん患者リハビリ料▼認知症患者リハビリ料▼リンパ浮腫複合的治療料▼集団コミュニケーション療法料—など
【精神科】▼認知症ケア加算▼救急患者精神科継続支援料—など
【麻酔科】▼麻酔管理料(Ⅱ)(医師5名のうち常勤換算は4名まで)
【その他】▼糖尿病合併症管理料▼移植後患者指導管理料▼遺伝カウンセリング加算—など

急性期一般入医療や地域包括ケア病棟、夜間の看護体制強化を評価する加算を施設

 また、看護職員の負担軽減に向けて「看護補助者との業務分担・共同」推進に向けて、次のような見直しが行われます。

▼看護補助者の配置に係る加算(急性期看護補助体制加算、看護補助加算)の施設基準において、「定期的に看護・看護補助の業務内容を見直す」「身体的拘束などの行動制限を最小化する」取り組みを義務化する

▼看護補助者の配置に係る加算(急性期看護補助体制加算、看護補助加算)の施設基準において、当該看護補助者は「基礎知識を習得できる内容を含む院内研修を年1回以上受講した者」に限定する

▼7対1と10対1の中間的評価など(急性期一般入院料2から6)において、夜間看護職員配置を充実させている病棟を評価する【看護職員夜間16対1配置加算2】を新設する。加算2を届け出るためには、別に定められる「看護職員の負担軽減・処遇改善体制」の整備などが必要である

▼認知症等の患者が一定割合以上入院する地域包括ケア病棟において、夜間の看護職員配置を評価する【看護職員夜間配置加算】を新設する

▼障害者施設等入院基本料(7対1、10対1)において、【看護補助加算】【夜間看護体制加算】を新設する

▼【夜間75対1看護補助加算】の対象病棟を、13対1一般病棟(専門病院含む)から、「13対1入院基本料を算定する全ての病棟」に広げる

オンライン診察料や医学管理料を新設、対象患者は限定

 2018年度の診療報酬改定では、テレビ電話会議システムなどを活用した「オンライン診察・医学管理」を正面から評価することとしています。例えば、慢性疾患で定期的にクリニック外来を受診する患者などでは、自覚症状もなく、仕事の忙しさなどから、ついつい受診を先延ばししにし、最終的に治療から脱落してしまうケースが少なくないと指摘されます。そこで、スマートフォンのテレビ電話機能などを活用して、オンラインで受診することが可能となれば、治療からの脱落を防ぐことができるのではないかと期待されるのです。これは、医療従事者の負担軽減にも一役買うのではないかと期待されています(関連記事はこちら)。

 ただし「対面診療の原則」を否定するものではなく、対象患者はオンライン診察料・医学管理料では「▼特定疾患療養管理料▼てんかん指導料▼難病外来指導管理料▼糖尿病透析予防指導管理料▼地域包括診療料▼認知症地域包括診療料▼生活習慣病管理料▼在宅時医学総合管理料—などを算定する初診以外の患者で、かつ、当該管理に係る初診から一定期間以上(厚労省保険局医療課の迫井正深課長は「半年程度」とコメント)を経過した患者」に限定されます。

【オンライン診療料】
患者の同意を得て、対面診療とオンライン診療を組み合わせた療養計画に沿って、対面診療を行う医師と同じ医師がオンライン診察を行う場合に算定可能

【オンライン医学管理料】
患者の同意を得て、対面診療とオンライン診療を組み合わせた療養計画に沿って、医学管理を行う場合に算定可能(1か月に1回)

【在宅時医学総合管理料 オンライン在宅管理料】
在宅療養患者(施設入居者等を除く)に対し、同意を得て、計画的な医学管理の下に定期的な訪問診療を1回のみ行い、かつ、当該月において訪問診療日以外にオンラインでの医学管理を行った場合に、在宅時医学総合管理料の所定点数に加えて算定できる

オンライン機器・システムの仕様(どのような規格を満たしていなければならないか)については、今後検討されます。

 なお、1月26日の中医協総会で診療側の今村聡委員(日本医師会副会長)は、「現在、治療を継続している患者、医療機関に不利益が及ばないよう配慮すべき」との注文を付けており、解釈通知などの書きぶりが注目されます。

 

 

MW_GHC_logo

 

【関連記事】

現行7対1相当の【急性期一般入院料1】、重症患者割合は30%に決着―中医協総会 第387回(1)
早期の在宅復帰を目指し、入院前からの【入退院支援】を診療報酬で評価―中医協総会 第386回(4)
DPC・II群要件の診療密度、薬剤料は「最も安い後発品」に置き換えて計算―中医協総会 第386回(3)
地域包括ケア病棟、自宅等患者を多く受け入れる中小病院の評価を手厚く―中医協総会 第386回(2)
7対1・10対1を再編した急性期一般入院料、重症患者割合をどう設定するか—中医協総会 第386回(1)
2018年度診療報酬改定で、機能分化や地域包括ケア構築を進めよ―中医協・公聴会
ロボット支援手術を、胃がんや肺がん、食道がんなど12術式にも拡大―中医協総会 第384回(1)
2018年度改定、入院料の再編・統合、かかりつけ機能の評価拡充などが柱に―中医協総会 第382回(3)
かかりつけ機能持つ診療所など、初診料の評価アップへ―中医協総会 第382回(2)
7対1・10対1を再編し7つの急性期入院料を新設、重症患者割合が争点―中医協総会 第382回(1)
【2018年度診療報酬改定総点検3】複数医療機関による訪問診療をどこまで認めるべきか
【2018年度診療報酬改定総点検2】ICTの利活用を推進、オンライン診察等の要件はどうなる
【2018年度診療報酬改定総点検1】入院料を再編・統合、診療実績による段階的評価を導入
2018年度改定、年明けからの個別協議に向け各側がスタンスを表明―中医協総会
麻酔科医の術前術後管理の重要性を勘案し、麻酔管理料の評価充実へ―中医協総会 第379回
「専従」要件の弾力運用、非常勤リハビリスタッフの「常勤換算」を認める―中医協総会 第378回
かかりつけ薬剤師の推進目指すが、「かかりつけ」を名乗ることへの批判も―中医協総会 第377回(5)
介護施設を訪問して入所者を看取った場合の医療機関の評価を拡充―中医協総会 第377回(4)
腹膜透析や腎移植、デジタル画像での病理診断などを診療報酬で推進―中医協総会 第377回(3)
療養病棟入院料も再編、20対1看護、医療区分2・3割合50%がベースに―中医協総会 第377回(2)
「入院前」からの外来で行う退院支援、診療報酬で評価―中医協総会 第377回(1)
薬剤9.1%、材料7.0%の価格乖離、診療報酬本体プラス改定も―中医協総会 第376回(3)
退院支援加算2でも、地域連携診療計画加算の算定を可能に―中医協総会 第376回(2)
7対1から療養までの入院料を再編・統合、2018年度は歴史的大改定―中医協総会 第376回(1)
抗菌剤の適正使用推進、地域包括診療料などの算定促進を目指す—第375回 中医協総会(2)
退院支援加算1、「ICT活用した面会」などを弾力的に認める—第375回 中医協総会(1)
安定冠動脈疾患へのPCI、FFR測定などで「機能的虚血」確認を算定要件に—中医協総会374回(1)
地域包括ケア病棟の評価を2分、救命救急1・3でも看護必要度を測定—中医協総会(2)
7対1・10対1基本料を再編・統合し、新たな入院基本料を創設へ―中医協総会(1)
内科などの有床診療所、より柔軟に介護サービス提供可能に―中医協総会(2)
療養病棟入院基本料、2018年度改定で「療養1」に一本化—中医協総会(1)
訪問看護ステーション、さらなる機能強化に向けた報酬見直しを—中医協総会(2)
病院に併設する訪問看護ステーション、手厚く評価をすべきか—中医協総会(1)
診療報酬でも、「同一・隣接建物に住む患者」への訪問で減算などを検討—中医協総会(1)
紹介状なしに外来受診した場合の特別負担、500床未満の病院にも拡大へ—中医協総会(3)
非常勤医師を組み合わせて「常勤」とみなす仕組みを拡大へ—中医協総会(2)
2016年度改定後に一般病院の損益比率は▲4.2%、過去3番目に悪い—中医協総会(1)
保湿剤のヒルドイド、一部に「極めて大量に処方される」ケースも―中医協総会(3)
生活習慣病管理料、エビデンスに基づく診療支援の促進を目指した見直し―中医協総会(2)
ICT機器用いた遠隔診察、対象疾患や要件を絞って慎重に導入を―中医協総会(1)
臓器移植後の長期入院、患者からの「入院料の15%」実費徴収禁止の対象に―中医協総会
要介護者への維持期リハ、介護保険への完全移行「1年延期」へ―中医協総会(2)
回復期リハ病棟のアウトカム評価、次期改定で厳格化すべきか—中医協総会(1)
統合失調症治療薬クロザピン使用促進に向け、精神療養の包括範囲を見直し—中医協総会(2)
向精神薬の処方制限を2018年度改定で強化、薬剤種類数に加え日数も制限へ—中医協総会(1)
医療安全管理部門への「専従医師」配置を診療報酬で評価すべきか―中医協総会(2)
医療体制の体制強化で守れる命がある、妊婦への外来医療など評価充実へ―中医協総会(1)
抗菌薬適正使用に向けた取り組みや医療用麻薬の投与日数をどう考えるか—中医協総会(2)
小児入院医療管理料、がん拠点病院加算と緩和ケア診療加算を出来高評価に—中医協総会
レセプトへの郵便番号記載、症状詳記添付の廃止、Kコードの大幅見直しなど検討—中医協総会
認知症治療病棟でのBPSD対策や入退院支援の在り方などを検討—中医協総会
2018年度から段階的に診療報酬請求事務の効率化や、診療データ活用などを進める—中医協総会
地域包括ケア病棟、「病院の規模」や「7対1の有無」などと関連させた議論に—中医協総会(1)
医療療養2、介護医療院などへの移行に必要な「経過措置」を検討—中医協総会
オンラインでのサービス担当者会議などを可能にし、医療・介護連携の推進を—中医協・介護給付費分科会の意見交換
要介護・維持期リハビリ、介護保険への移行を促すため、診療報酬での評価やめるべきか—中医協・介護給付費分科会の意見交換(1)
複数医療機関による訪問診療を認めるべきか、患者の状態に応じた在宅医療の報酬をどう考えるか—中医協(1)
かかりつけ薬剤師指導料、対象患者は高齢者や多剤処方患者に絞るべきか—中医協総会(2)
生活習慣病の重症化予防、かかりつけ医と専門医療機関・保険者と医療機関の連携を評価―中医協総会(1)
訪問看護、2018年度同時改定でも事業規模拡大などが論点に―中医協・介護給付費分科会の意見交換(2)
医療機関での看取り前の、関係者間の情報共有などを報酬で評価できないか―中医協・介護給付費分科会の意見交換(1)
7対1・10対1入院基本料、看護配置だけでなくパフォーマンスも評価する報酬体系に―中医協総会(1)
主治医機能に加え、日常生活から在宅までを診る「かかりつけ医機能」を評価へ―中医協総会(1)
2018年度診療報酬改定に向け、臨床現場でのICTやAIの活用をどう考えるか―中医協総会(1)
2018年度改定に向け入院医療の議論も始まる、機能分化に資する入院医療の評価を検討―中医協総会(1)
2018年度改定に向けた議論早くも始まる、第1弾は在宅医療の総論―中医協総会

Pocket