トップランナーからの学びでさらなる飛躍を―事例で学ぶ、病院経営データ分析入門(7)



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 ベンチマーク分析に基づく院内の改善活動は、病院が提供する医療の質や経営にどのような影響を与えるのか――。その具体的な内容を、「病院ダッシュボード」のユーザー事例をメディ・ウォッチでご紹介させていただいた記事を振り返りながら紐解いていく連載企画。最後は、人材育成の用途におけるソリューションとして、同じユーザーの取り組みから学べることにフォーカスしてお伝えします。

相澤、名二の経営舞台裏

 日本病院学会のランチョンセミナーで、急性期病院のトップランナーの1つとして全国的に知られる相澤病院の運営実態を徹底分析し、「“できているはず”の経営・マネジメント」「機能分化と連携」「地域医療構想を視野に入れた自病院のポジショニング」という3つのテーマに沿って課題を洗い出しました。さらに、全国的にも珍しい病院の分割に踏み切った佐久総合病院の現状も分析しました。

 名古屋第二赤十字病院は「小さな改善で大きな効果」をモットーにした経営分析を通じて、医療資源全体における注射コストを半減させるなど非常に費用対効果の高い改善活動を実践していることが明らかになりました。

 名古屋第二赤十字病院における経営分析には(1)分析対象は症例数の多いものから、(2)分析の目的を明確にして1分析で1つ、(3)ベンチマーク対象は同規模の増収病院、(4)分析結果を鵜呑みにせず影響を調査―の4つのポイントがあると言います。

戦術、資料作成、プレゼンのテクニックも

 導入からわずか1年で、院内を動かして改善成果を示した佐賀県医療センター好生館。短期間で円滑な改善活動を推進できた背景には、大きく6つの戦術がありました。

 改善活動にはさまざまな視点や手法がありますが、効率的に改善を推進していくためには、ある程度の絞り込みも必要です。「クリニカルパスが積極的に運用されている当院の状況を考慮すると、クリニカルパスを見直す方法が一番の近道」と考えたわけです。

 「病院ダッシュボード」を用いることで、済生会福岡総合病院は院内の複数会議からの要望に対して、効率的な資料作成を実現しています。

 全体的な傾向として、(1)自院の経年変化の確認(2)複雑な計算を要する項目(診療密度、外保連指数など)の確認(3)他医療機関との比較―に関連する資料作成の際には、病院ダッシュボードを用いることで、資料作成を効率化できることを示しました。

 重要な改善点を指摘したのに、全く現場が変わらない―。そんな悩みを持たれた病院幹部、診療情報の分析担当の方も多いのではないでしょうか。そういう場合は、伝え方に問題があるかもしれません。

 各診療科は専門家集団であり、たとえ院長が改善に向けた意見をしても、「院長は専門家ではない」と押し返されてしまうこともあります。そういうことを未然に防ぐためには、同じ医師ではなく、全く別の立場の人間が淡々とデータを示す方が伝わることもあります。

連載◆成功事例で学ぶ、病院経営データ分析入門
(1)改革の突破口はベンチマークにあり
(2)急性期一本か機能分化か、決断どうする?
(3)「初の成功例」に最適なのはコスト削減
(4)なぜ、高度急性期の4割が導入するのか
(5)強みが明確になれば、患者は集まる
(6)専門コンサルによる勉強会で使いこなせる
(7)トップランナーからの学びでさらなる飛躍を

 

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