指定難病、2018年度から特発性多中心性キャッスルマン病など加え331疾患に―疾病対策部会



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 特発性多中心性キャッスルマン病やAハプロ不全症など5疾患を、来年度(2018年度)から医療費助成の行われる「指定難病」に追加する—。

 1月17日に開催された厚生科学審議会・疾病対策部会で、こうした内容が了承されました。疾病対策部会の了承は、自動的に「厚生科学審議会の了承」と見做され、4月から指定難病の対象が拡大されることになる見込みです(関連記事はこちらこちら)。

1月17日に開催された、「平成29年度 第1回 厚生科学審議会 疾病対策部会」
1月17日に開催された、「平成29年度 第1回 厚生科学審議会 疾病対策部会」

Aハプロ不全症など5疾患は、既存指定難病に包含する形で追加

厚生労働省は、▽発症の機構が明らかでない▽治療方法が確立していない▽希少な疾病である▽長期の療養が必要である—という要件を満たす疾患を「難病」と位置付けています。さらに難病のうち、▼患者数が我が国で一定数(現在の基準18万人・人口の0.142%未満)に達しない▼客観的な診断基準、またはそれに準ずる基準が確立している—という要件を満たす疾患を「指定難病」と位置づけ、重症患者については医療費の助成が行われます。

どの疾患が「指定難病」の要件を満たしているかは、厚労省に設置された厚生科学審議会・疾病対策部会の下部組織である「指定難病検討委員会」において、専門家によって判断されます。具体的には、研究班や関係学会の提出した情報をもとに、上記要件を満たしているか、さらに「がんや感染症など、他の施策での救済が行われていないか」などをチェックします。

これまでに330疾患(2015年1月実施分:110疾患、2015年7月実施分:196疾患2017年4月実施分:24疾患)が「指定難病」の要件を満たすと判断され、重症者には医療費の助成が行われています。

 今般、新たに研究班や関係学会から情報提供があった61疾患を審査し、下記6疾患が「指定要件を満たす」と判断されました。このうち、「特発性多中心性キャッスルマン病」は新規追加となり、他の5疾患は、既存の指定難病と統合する形で対象に加えられます。したがって、2018年度から指定難病の対象疾患は331疾患となります。

(1)特発性多中心性キャッスルマン病→新規追加
(2)A20ハプロ不全症→【遺伝性自己炎症疾患】(指定難病の告示番号325)の1疾患とする
(3)関節型若年性特発性関節炎→【全身型若年性特発性関節炎】(同107)と統合し、【若年性特発性関節炎】と告示病名を見直す
(4)自己免疫性後天性凝固第V/5因子(F5)欠乏症→【自己免疫性後天性凝固因子欠乏症】(同288)の1疾患とする
(5)ジュベール症候群関連疾患→【有馬症候群】(同177)を包含する【ジュベール症候群関連疾患】とする(告示病名の見直し)
(6)先天性声門下狭窄症→【先天性気管狭窄症】(同330)と統合し、【先天性気管狭窄症/先天性声門下狭窄症】する(告示場号は330を維持)

 1月17日の疾病対策部会では、この内容を了承。この4月(2018年4月)から適用される見込みです。

難病対策の見直しを見据え、「指定難病の基準の再検討」などを求める意見も

 ところで、指定難病を含めた難病対策のベースとなる「難病の患者に対する医療等に関する法律」(難病対策基本法)では、「法施行後5年以内を目途に、施行状況など勘案しつつ、医療費助成の事務の実施主体の在り方や、その他の事項について検討を加え、必要に応じて措置する」旨が規定されています(附則第2条)。

法施行は2015年1月1日であり、この規定に沿えば、遅くとも「2020年1月1日」までに見直しに向けた検討をしなければいけません。改正法案の準備などに係る時間を考慮すれば、「2018年中に見直しに向けた議論を行う」→「2019年の通常国会に改正法案を提出する」というスケジュールが考えられそうです。

この法改正を睨み、1月17日の疾病対策部会では、伊藤たてお参考人(日本難病・疾病団体協議会理事会参与)から「難病対策基本法は、難病研究、医療助成のほかに『患者が尊厳をもって生きられる社会の構築』も謳っている(法第1条、第2条)。指定難病の基準について、医学的な内容のほかに、患者の多様性など『別の側面』を考慮していくことはできないか」といった旨のコメントが出されました。

例えば、「極めて稀な疾患で、研究者もいない」ような疾患に罹患している患者では、そもそもの情報が指定難病検討委員会に上がってこないため「指定難病」として指定されない、つまり医療費助成が受けられないケースもあります。今後、疾病対策部会や、下部組織の難病対策委員会(難病対策の制度見直しを議論する場)で、さまざまな角度から議論が行われることになるでしょう。

 
なお、この日の疾病対策部会では、下部組織の1つである「リウマチ・アレルギー対策委員会」について、▼名称を「リウマチ等対策委員会」(仮称)に改める▼アレルギー対策については、別の「アレルギー疾患対策推進協議会」で議論を行う—ことも了承されました。新医薬品の開発などを踏まえ、「リウマチ対策」(2011年8月31日付け、厚労省健康局疾病対策課長通知)について近く見直し論議がスタートします。

 

 

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